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悠久のクロスファンタジア 〜DUAL WORLD〜  作者: はとかぜ
第4章 死霊術師(ネクロマンサー)編
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第119話 ハッピーエンド?

反戸にある総合病院の一室で、高宮先輩と私は話していた。


身体自体には特に異常は無かったが、あの大規模魔術を行使したこともあり、経過観察という名目で彼女は入院していた。


というか、実際それでぶっ倒れた。魔力をミリ残し出来たから良かったものの、あとちょっとオーバーしていたら、魔力切れで死んでいた。


「その節は……まあ、今度はもっとセーブしますよ……」


魔法耐性の処理オーバー、無理矢理に魔術回路をこじ開けるような真似をすると、どんな反動が来るかわからない。美空さんにそれを忠告されていたらしい。


基本人間には、自分の魔法に対する耐性がある。だがそれも無限ではない。私の場合、タングステン(W)の沸点5555℃を超えたあたりから、使用箇所に軽いやけどを負うし、長時間続ければ跡が残ることもある。


当然熱いし、もとよりこんな火力使う機会もない。


高宮先輩だって、完全詠唱で上限を引き上げても魔力量ギリギリ、気絶するくらいの反動はあった。あの狂った屍を正しい使い方を逸脱しない範囲で扱っていたあいつって、まあまあ強かったのか?


「……まあ、あのときはそうするしかなかったんだから、それで良かったんじゃない?」


「そうですね。そう思っておきます」


悔しい話だが、どうしようもない敵というのは存在する。私だけではあれは倒せなかった。高宮先輩が封印していなかったら、多分みんな全滅だった。




「……これで、本当に良かったんでしょうか」


「……封印の話?」


「それはもう良いんです。あのときは生きている人を助けたいと思って、ずっと何も考えずにゾンビを倒していた。


……よく考えれば、私たち、人を殺していたんですよね」




結局死体だった、とは、とてもじゃないけど考えられない、ってことかな。


……ようやくわかった。あの死霊術師がハンターばかりを狙っていた理由。点が繋がって、線になったような感覚がした。


対峙したとき異様にイライラしていた理由、




あいつは、人が躊躇して、苦悩して、後悔しながらゾンビを殺す姿を見てうまいお茶でも飲もうと思っていたんだ。


結果としては、みんなドーパミンドバドバで、そんな事考えている暇無かったけど、冷静になったときの精神ダメージは激しいものだった。


昨日、放課後に圭介を訪ねたとき、少し口数が少なかったのはそのせいだった。


(……そう言えば、あのあと夏鈴さんとも話したっけ……)




◆◆◆


「あ、こんにちはー!昨日ぶりだねー!」


圭介のところを訪れたついでに夏鈴の学校の寮を訪れた。


曰く、悩みでもなんでも聞いてくれるそうなので、ありがたくその発言にあやかろうと思う。


私は彼女に案内してもらってクッションに座った。


「……あの話、聞いてもらう」


「そう言えばそんなこと言っていたね……一体どんな頼みが飛んでくるのか……ちょっとやそっとじゃ驚かないから……


「私の好きな人のこと」


「ブッフオォッ!!??」


ちょうど目の前に座っていた彼女は盛大に噴き出した。いやはや、恐ろしいフラグ回収速度である。さすがに突拍子過ぎただろうか?


噴きこぼした麦茶を拭こうと、夏鈴は「ちょっとまってて」と言い、ヨロヨロと立ち上がってキッチンに向かい、湿らせた布巾を持ってくる。


コップとテーブルを布巾で入念に拭き取り、濡れたクッションを取り替えて、夏鈴さんは一息置いて、


「もう一度お願い」


「だから……私の好きな人のこと」


「やっぱり聞き間違いじゃなかった……私彼氏も居ないのに……」


なんかおかしなこと言ったかな?私はただ友達関係の話をしたかっただけなのに。


「どうすればいいと思う?」


「うーん……あ、相手との共通点を見つけてみるとか?」


「共通点……」


正治くんとの共通点……私、実際そういうことってあんまり考えたことなかったからなぁ……


見境なく人を助けようとするところ?でも、私ってそんな性格じゃ無いよなぁ……


「わかんない……」


「まあ、難しいよね。私だって他の誰かとの共通点なんてわからないもん」


少し考えてみたけど、正治くんと私はいろんなところが正反対だと思う。


彼には守りたいと思える友人がいるし、信頼もされている。私は、もう誰もいない。正直、正治くんの事もよくわかっていないし、このことを考えると、自分がただの異物なんじゃないかと思ってしまう。


裏なんてめっきり無さそうな性格してるし、隠し事だらけの私とは大違いだ。


「恋人がいない私が言っても説得力無いけどさ……毎日あいさつでもなんでもいいから、積極的に関わりを持っていったら、次第に自分と似ているところとか、わかるんじゃないかな?


まだ高校生活、始まって1ヶ月くらいでしょ?」


「……そういうものかなぁ」


気長に、ってことか。そんなに焦っているものでもないし、それくらいがちょうどいいのかも。


「ありがとう。相談乗ってくれて」


「大丈夫大丈夫!せっかくだしゆっくりしていって!その話をもっとよく聞きたいの!」


聞いてもつまらないと思うけど、まあ、いっか。






◇◇◇




―――――…………




「不穏な気配ね」


血の池の中で、彼女はつぶやく。

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