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悠久のクロスファンタジア 〜DUAL WORLD〜  作者: はとかぜ
第4章 死霊術師(ネクロマンサー)編
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第115話 死霊術師(ネクロマンサー)

幼い頃から、俺は狂っていると言われ続けてきた。


実際そうだ。俺の固有魔法の事もあったし、それは全然間違っていない。


みんなみんなこう聞いてくる。何で人を殺すのか。何で人の命を、ここまで弄べるのか。


悲しい過去なんてあると思ったか?理由は簡単だ。俺が楽しいからやるんだ。人の命なんてただの玩具、それは人類30万年に及ぶ歴史が教えてくれている。


人が人を支配して何が悪い。ましてや命すら絶たれたただの有機物をどうしようが俺の勝手だ。




「そうだろう!?なあ!?」


「1ミリも分からんわ!」


まだ奥に控えていた膨大な人数のゾンビが溢れ出す。時雨と圭介は、魔法攻撃による爆風と熱線で、その集団を有無を言わせず吹き飛ばす。


「写真に……写れ!」


夏鈴も魔法を発動しようと、手の中の風景を写真に切り取る。


結果は失敗。あの元凶が写真の中に写らなかったからだ。私が写真を撮る寸前、何体かのゾンビで遮られて、ほとんど何も写らなかった。


「ちぃっ……厄介な……」


「俺の力の前には誰も近づけない!お前らにはもう勝てない!勝てないんだよぉ!!!!」




時雨は思った。狂っていると。


頭のネジが飛んだやつなんてこれまで腐る程見てきたが、こいつは悪意はあるのに止めようとしない、人を殺すことにここまで躊躇していない奴は初めてだ。


自分の力に酔っているわけでもなければ、何か高尚な使命を持っているわけでもない……


人が息を吸うように、魔物が魔力を放つように、ただ()()()()のこととして動いている。


何も殺人に快楽を覚えるからという一点張りではない。


うざい、うるさい、邪魔、そんな些細な動機で人を殺してきたのだろう。それが全て当たり前だと思っていたから。




(啖呵切ったは良いものの、あいつの言った通りこちらは3人いるけど全員消耗している。悔しいことだけど、今は3人でやっと互角だ)


たが、あいつの発動した『狂った屍』の反動だって、全くなしというわけではないはずだ。あと何体ゾンビを同時操作できるのか、そして手数はあといくつあるのか……未だに未知数だが、作戦開始時より圧倒的に減っているのは間違いない!


(ギアを上げろ!最大火力で焼き尽くせ!)


「2人共!全身守って!」


時雨の呼びかけを聞いて、ゾンビを倒し続けていた二人は、全身に装甲を纏った、そして、


「『フレイムヒートレイ』」


広範囲に拡散する熱光線で、周囲のゾンビの体表面を焼く。当然それだけでは収まりきらず、さらに火力は上がり、範囲内のゾンビは炎に包まれて焼き尽くされる。オーブンの何倍の温度かわからないが、周囲の金属は赤からオレンジ、そして白へと変わって溶けていく。


「ああああああ゛あ゛あ゛あ゛ァァァァ!!」


ゾンビの絶叫が響き渡る。耳をつんざくような声だ。


そして、その熱戦は元凶に直撃し、同じように身体を焼き尽くした。


一点集中させれば火力も高く、並大抵の防壁では防ぐことすら叶わない。


光に包まれて、死霊術師の身体が消えていく。


◇◇◇




私は荒い息を吐いて、膝を押さえて地面を見た。もう元凶ははいない。オールクリアだ。


「……はあはぁ……これで……」




「……すごいなぁ……まさかここまで簡単に殺られるとは思っていなかった」


「……!?いや、でも、さっき防壁も貫通して……」


そのはずだった。さっき身体は焼き尽くしたはずだ。何でこいつは生きている!?




「スペアの肉体だよ。ゾンビがいる限り、僕を殺し切ることはできない」


固有魔法『死霊術』は、人間、魔物、そして普通の動物まで、あらゆる死体を操ることができる。


やろうと思えば固有魔法を使えるような個体も作れるし、大量のゾンビを寄せ集め、『狂った屍』のような大規模攻撃も可能だ。


そして、ゾンビを自分自身の残機にすることもできる。


「……道理で……初めて見たとき顔色が悪かったわけだ!さっきの身体は一体誰の身体だったの!?」


ようやく合点がいった。こいつがさっきからこんなに大規模な魔法を連続で使用しているのは、魔力が尽きたら身体を乗り換える、それを何度も繰り返していたからだ。


残基であり魔力タンクでもある。倫理観なんて欠片もない正常な精神ではやっていけない固有魔法……


分かっている。その力を持ってしまった時点で、それはもはや予定調和に過ぎない。


なにかのきっかけで力を自覚し、それを至極当然のように扱ってしまうようになってしまった。




まるで……それはまるで……昔の私を見ているようだった。


(……違う……違う……違う!!)


見たくなかったから叫んだ。自分は正常なんだと、そう思いたかった。




「……さっきのは、俺の父親の身体だ」


「……っつ!?」


「ずっと取っておいたんだ。強靭な体だったし、僕の初めてのゾンビだしね」


こいつは、父親ですら、ただの玩具でしかなかったのだ。ちょっとだけ大切な、断捨離してもどうしても残ってしまう玩具。




「お前に燃やされた。だから、お前はもっと永く持ってくれよ?」




やめろ。そんな目で見るな。




彼が肯定してくれたから!私は立ち直れたのに……




何で―――――――…………

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