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悠久のクロスファンタジア 〜DUAL WORLD〜  作者: はとかぜ
第4章 死霊術師(ネクロマンサー)編
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第114話 殲滅作戦 -Ⅶ-

「作戦はこうです。まずは、私が今から見せる模様を、亜紀さんにできるだけ大きく空中に描いてもらいます」


そう言って、咲は御札を1枚取り出して、そこに描かれた模様を指さす。


「これって……魔法刻印?」


「そうです。私の固有魔法のものです」


「なるほど……なんとなく理解したよ」


そう、この作戦は明らかにキャパオーバーだ。魔法刻印は大きければ大きいだけ強い効果を持ち、対象範囲もかなり拡大する。それを差し引いても、数十平方kmに渡る範囲のこの化け物を封印するのは、絶対に咲の魔力量では無理だ。




「……私が普段行っている封印方法は、簡易的で、かつ即座に封印出来るように私が改良したものです。大抵の相手ならそれで十分だったから。


それを本来の形に戻して、少しでも魔力量を減らします。時間が掛かります、だから、鷺沼さんはこの駐車場を守っていてください!」


今、咲たちが立っているのは、とあるショッピングモールの立体駐車場の屋上だ。あまり店内は混んでいなかったのか、ここには車は1台も停まっていなかった。


「わかった!亜紀!早く始めろ!」


「言われなくても!」


亜紀は御札を見つめて、まずはその形をしっかりと覚え、数式に変換する。かなり複雑だが、不可能な図形ではない。かなり規則性のある幾何学模様だ。やりようはいくらでもある。




「……よし、いける!」


亜紀は数分足らずで答えを出し、数式を元に小さく魔法陣を生成する。


もちろんこれだけではない。構成する辺などの比率を同一になるように拡張、要するに相似の図形を作り出し、それを超高空に映し出す!


「……!」


「上手くいったわ!あとはお願い!」


真昼間の空を光り輝く魔法陣が覆い尽くす。咲は「はいっ!」と返事をして、すぐに魔法を発動する。


空中に浮かんだ魔法陣に魔力を流し込むように、祈りを捧げるように。


「成功したようだな、なら俺はここを死守しないとな」


修司は自分の魔力を大きく回す。そして、


「『顕現せよ』」


現れたのは巨大な頭蓋骨と、それに繋がるように背骨や肋、腕の骨が現れる。人体の骨格フルセットだ。


鷺沼修司の『骸骨』は、巨大な骸骨を召喚する固有魔法である。だが、見た目は白いわけではなく、むしろ全身真っ黒だ。


基本的に一部だけを召喚させるのだが、強力な敵や巨大な敵を相手するときは、完全顕現させて戦わせる。破壊力はかなりのもので、ビルの1つくらいなら余裕で押しつぶせる。


(こいつの形は不定形に見えるが、実際は人間を繋げているだけ、肉体を融合させたりしているわけじゃない!要はゾンビの集合体だ!)


これがグネグネ動いて、スライムのように不定形な形を取るようであればかなりまずかったが、よくよく見れば組体操をしているようなものだった。


まあ、こんな猟奇的な組体操なんて知らないが。


「骸骨、駐車場に登ってくるやつを見逃すな。見つけ次第押し潰せ」


◇◇◇




魔法で、詠唱は強い意味を持つ。


「天地よ


私に力を与え給え。


理外の存在を刈り取るために」




特殊魔法に限った話ではない。固有魔法の力を最大限発揮するための詠唱だって存在する。


「命あるものに救済を。


(よこしま)な魔に、永久(とこしえ)の虚を」




湧き上がる魔力を自分のものとして、自身の理想を体現する、


「さあ、時は満ちた。


聖なる光は魔を捉え、私を導く道標となる」




魂の祈り。


「舞いあがれ!解き放て!


祈りは体を成し、さらなる光は世界に希望をもたらす」




さっきまで並の人間程度しかなかった魔力は、既に数十倍に膨れ上がり、空に浮かぶ魔法陣はさらに光を増す。


「光は鎖となり、魔の力を封じる。


魂は私の手の内にあり。


悪夢は間もなく終わりを迎える!」




光は鎖となり、広範囲の屍の動きを制する。


奴は、うめき声を出して、拘束を抜けようと画策するが、それは徒労に終わるようであった。




「命も、想いも、魂も


肉体(からだ)とともに、私の内に封じよう。




『 封 印 』っ!!!!」




「縺ゅ?縺ゅ↑縺輔◆縺セ縺溘↑縺セ繧?◆縺ェ縺溘↑縺溘↑縺。縺ェ繧?∩繧!!!!!」


人間の悲鳴のような断末魔が響き渡り、広範囲に広がっていた屍は、魔法陣から発せられる強大な光に飲まれ、


現し世から消失した。




◇◇◇


バタリと、高宮咲は倒れ込んだ。


死んではいない。ギリギリで魔力の一部を体内に抑えたからだ。


「……寝ちゃった……」


「上手くいったようだな!」


亜紀は、倒れ込んだ咲の身体を起こして、近くの壁に立てかける。彼女はスウスウと、気持ちよさそうな寝息を立てて、ぴくとも動かない。まるでこのまま涅槃にでも入りそうなほどに。


「……さすがに限界か……今回のMVPだな」


「うん、そうだね。あとは任せよう。残りの人たちに」




――――――




1人の男を前にして、冬木が言う。


「みーつけた。いやーよかったわ、あれは俺等じゃどうにもできんかった。流石やな」


「楽しんでもらえて何よりだね。1人のアーティストとしては嬉しい言葉だ」


それに続いて夏鈴も、


「悪趣味な椅子じゃない。それも自分で作ったの?SNSに上げたら盛り上がるんじゃない?」


「ああ、そうだな。盛り上がるだろうな」


悪趣味な椅子、人間の死体を組体操のように組み上げて、その上に悠々自適に腰掛ける男、まるで彼女たちが来るのを待っていたようだった。


そんな男に、時雨は言い放つ。


「でさ、警戒心とか無いのかな?


今、無傷な人間が、3人目の前にいるわけだけど」


「心配いらないさ。もうほぼ互角なレベルまで削った君たちも、俺のコマにしてやるよ♪


徹底的に痛めつけてさぁ!!」

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