第112話 殲滅作戦 -Ⅴ- ※閲覧注意
(破壊音!やっと事態が動いたみたいね)
焼き払ったゾンビに囲まれながら、私は遠くで破壊音がするのを優れた聴力で捉えた。
焼けたアスファルトの地面を思いっきり蹴って、私は上空に飛び上がる。沿岸部には点々と煙が上がっていて、戦いの苛烈さを表していた。
『陽山時雨……いや、セレナ・エキスマリン。君に来られると少し面倒だから、そこで止まってもらおうか』
「っ!?何で……まさか、こいつも……」
裏の人間!防災無線を使って私の本名を公にするとは、大胆なことをしてくれる!
『役に立たない有機物どもを集めた自信作だ。せいぜい楽しんでくれ。アデュー☆』
ブツンッ
「蜉ゥ縺代m蜉ゥ縺代m蜉ゥ縺代m蜉ゥ縺代m繧?a繧阪d繧√m蜻ェ縺??繧阪≧縺ゅ?縺溘∪繧?°縺ャ縺ッ繧?◆縺ゅ↑縺阪↑縺ゅ▽縺ソ縺。縺ェ縺ッ縺ェ繧医■繧?シ医※縺ヲ縺ッ」
「マジかよこいつ……いくらなんでも倫理観捨て過ぎだよ!」
飛び上がった上空から見下ろすと、そこに居たのは、さっき倒したはずのゾンビだけではない、新たに生きている人間を取り込み、巨大に成長した、もはや人の形も取らない化け物。
遠目から見えるのは、一面の腐った肉と、苦痛に歪んだ人間の顔、流れ出るおびただしい血液、
人の腕、脚、目、胴体、
それは清々しいまでに生命を冒涜した、倫理観をマリアナ海溝に置いてきたような狂った作品だった。
「何やこいつら!?気持ちわりぃ!?」
「飲み込まれる!?早く飛ぶよ冬木!こんな形で人生終了なんてゴメンだよ!」
「呪堂!なんとかして!私たちこのままじゃ死ぬ!」
「無理だよ!こいつら生きてないから僕の魔法効かない!」
「あああああああっ!タズゲデぐぁぁ……
「何だ……この惨状は……」
全てが飲み込まれる。彼らはまだ知らなかった。固有魔法の真の力を。
『『狂った屍』』
「こんな本能的な恐怖と不快感を感じたのは久しぶりね」
影響範囲がかなり広い、生半な攻撃は意味をなさないだろう。
ならば、自分の身体にダメージを与えないギリギリの出力で、この肉の塊を焼き尽くす。
「出力最大!
『オーバーバーン』!!」
そう、さっきのビル爆破とは比にならない大火力で。
◇◇◇
粉塵と煙が空気に立ちこめ、範囲内の建物は跡形なく産業廃棄物となった。
余熱が空間を焼き、50℃近い気温の中を、陽山時雨は歩いている。
彼女が魔法を発動した直後、至近距離で食らえば、普通に人間を蒸発させられるレベルの熱線が、街を焼いた。
それから数秒遅れて本命の火球がそれらを包み、そのさらに外周に爆風をまき散らした。
『狂った屍』それを倒すこと以外、何も考えずに放った強烈な一撃、だというのに、
「……何で動いている?」
確かにそれは燃えていた。だけど、骨をむき出しにしながらそれはまだ形を保っていた。もともと形なんて有ってないようなものだったが、まだ止まってはいないということは嫌と言うほどわかった。
「繧?i縺輔↑縺ョ縺薙※縺ィ繧√f辭ア縺??縺??縺?李縺?李縺医■縺医?繧翫i縺輔i縺ェ縺溘%縺ヲ繧薙?縺、縺ソ縺ォ縺ャ繧」
おぞましい姿だった。全身に炎をまとい、炭化した身体がボロボロと崩れ落ち、数多の口から発されていたのは、人の言葉じゃない何かだ。
「繧、繝願干隕九↑縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ=縺√=縺√=縺√=」
魔力が一気に増大し、『狂った屍』は巨大魔法弾を形成する。ただひたすらに魔力を放出している、そこには策も何もない、圧倒的な暴力。
「ぐっ……!?」
私はいきなり腰が膝が抜けるような感覚を覚えた。
(さっきの魔法の反動が今になって!?)
体勢を立て直したかったが、足に力が入らない。魔法を酷使した影響か、魔力を練ることも叶わない。
間に合わな―――――
「おんどおりゃぁぁぁぁぁァァァァァ!!!!」
魔法弾が轟音を撒き散らして爆発し、空気中へと霧散する。
地面に衝突する直前の出来事だった。そこには右手を突き上げて立つ一つの人影があった。
「そうやって無茶するから土壇場で死にかけるんや。やっぱりまだまだ高校生やな」
「……へ……」
あの攻撃を拳1つで受け止めたのは意外な人物だった。端々が破れたり焦げたりしたラフな服装をした金髪ピアス、
冬木圭介は、目の前に立っていた。




