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悠久のクロスファンタジア 〜DUAL WORLD〜  作者: はとかぜ
第4章 死霊術師(ネクロマンサー)編
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第111話 殲滅作戦 -Ⅳ-

時雨がいた場所から少し離れた港川区台田、鷺沼修司、高宮咲、光明院亜紀の3人は、ワープホールから延々と湧き出続けるゾンビの対処で手一杯だった。


「亜紀先輩!足取りは掴めそうですか!?」


「魔力を辿っているんだけど……やっぱりゾンビが多すぎてどいつが犯人か分からないね」


そう話していると、修司が取りこぼしたゾンビが大勢亜紀の方向へ襲いかかっていく。


「防ぐなら防いでよ……


『原点を私の心臓に定義』


『原点を中心とした半径10mの立体的な範囲内に位置する、自身を除いた生命体の運動ベクトルを、範囲内に存在する間、強制的に変換させる』」


彼女の魔法は、デフォルトで1=1mと定義されている。軸はxが東西、yが南北、zが上下となる。


ゾンビは亜紀に接触しようと試みるが、すんでのところで弾き返された。この半径10mは、現在完全な不可侵領域となっており、彼女以外の生命体が侵入するのは不可能だ。


魔法は通過出来るが、こいつらみたいに近接しかできなければ、もはや勝ったも同然である。


「犯人の位置を探るのと、ゾンビを防ぐので脳の並行処理大変だからこのゾンビさっさと倒してー」


問題なのは、このベクトル変換が手動であるということ。自動で動く機構を持たない無機物の掌握とは訳が違うのだ。


ゾンビの動きを掌握し、弾き返すならば、脚の付け根から指先までの関節の動きのみならず、空気抵抗など、対象にかかるあらゆる力まで把握する必要があり、その情報は指定した範囲内であれば、必要な全てが脳内に流し込まれる。


この時点で、情報過多で脳みそのメモリがはち切れるようなことにも成りかねないし、情報を得てから、それを用いて数式を組み立て、解を出す。この一連のプロセスを1秒もかけずに完了させ、数が多いのならそれを延々と、同時並行で繰り返す。


無理だ。たとえ合力をはじき出し、それと反対の方向に2倍の力をかけるだけの数式だとしても、亜紀は今、こう見えてかなりの無茶をしている。『幾何学展開』はもともとこんなクセの強いものではなかったはずだ。


「『押し潰せ』!」


修司の『骸骨』によって、亜紀向かって行ったゾンビは一体残らず押し潰され、亜紀はそれを確認してから能力を解除した。


「っはぁ……はぁ……」


「やり過ぎだろ……昔はそんな魔法じゃ無かったろ」


「……ふぅ……自力で……戦えるように……特訓したんだよ……」


亜紀はフラフラと立ち上がる。


数式を用いて発動する魔法だから、できると思って昔試しに使ってみたのだ。


結果、試した日1日は、頭がぼんやりして回らなかった。


(実戦で使ったのは初めてかな……戦えなくはないけど……しばらくこれは封印だね……)


やっぱり駄目だ。こんなの人間の脳みそではスペック不足もいいところ、ファミコンにビッグデータを処理させるようなものだ。


「『多重立方障壁マルチ・キューブ・シールド』」


立方体の魔法防壁を周囲に展開する。形は雰囲気だが、固有魔法が元のため、強度には定評がある。


「……魔力の強度で絞れば、ある程度目算は立てられるかな……」


犯人はいわば、ゾンビを制御する管制塔だ。当然、現実の管制塔と同じように、四方八方に通信の代わりに魔力制御を飛ばしている。完全フリーにできるなら素直に諦めるが、手動制御を行っているのならば、その犯人(管制塔)魔力(電波)が集まるはずだ。


座標が展開されたエリアは総面積10000平方km以上に渡る。遠隔操作がどの程度まで効くのかは不明だが、平都市内及び、その周辺地区に居ると絞って探すしかない。




(いた!こいつだ!明らかに桁が違う魔力が集束してる!)


場所はここからx座標6021、y座標8405離れており、三平方の定理より、ざっと直線距離にして10km、ちょうど中央区の南側にかかるぐらいだ。


「修司!犯人の居場所がわかった!今から説明するから早く行って!」


「わかった!高宮!頼んだ!」


「了解ですっ!」


修司が仕留めそこねたゾンビの大群を、咲があらかた封印する。依然として涼しい顔で立っていたが、やはり勢いがとどまるところを知らない。


亜紀が場所を説明して、修司がそれを理解するまでの僅かな時間で、ゾンビの数は封印前の8割ほどの数まで回復し、すぐにでもこちらを飲み込まんとする勢いだ。


「埒が明かないな……この際ここは放棄するか」


「結局元凶を倒せば終わるしね、それが一番手っ取り早い」


亜紀は咲を呼び寄せ、ゾンビの流れが到達する寸前で能力を発動、数十m離れた場所まで転移した。




「時雨さんに連絡つきますかね……私たちだけじゃ不安なんですけど……」


「そうねー……連絡する暇があるといいのだけど……」




亜紀がそう話しかけたとき、3人の耳が、防災無線のノイズ音を捉えた。


『ザザッ……ザッ……あー、マイクテスマイクテス……


wwe(光よ) (dx,ρπρ)(共鳴せよ)1cof≈eθ (一筋の槍となり)ka+ λρ<(天地を) (dx,uvτ)(駆けろ)


『ハイパービーム』』


詠唱だ。




「っ!?『防げ』!骸骨!」


ビルを貫き、光のビームは3人のいた場所へと到達する。骸骨により、すんでのところで防がれたが、爆風の影響で、建物のガラスや外壁はバキバキに割れる。


バレるのが早すぎだ。一体どんな手を使って……


『逆探知用の術式を組み上げていないと思ったか?この程度なら造作もないさ。


さあ、第2ラウンドだ』

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