濡れ衣と朝食
書くのが楽しいので日課になりそうです
まだまだ至らない点は多いですが、誰かの暇つぶしになれば幸いです
雨漏りの音以外が止んだ空間に肩を落とす親子
言葉に出せないなにかを心に秘めているようで、普通ならば詮索はしないものなのだが…
「先ほどの不愉快な男との御関係は?」
ペストマスクの男は好奇心が他のすべてより優先されるようだった
「お見苦しいところを見せてしまいました…お客様には関係のないことです」
「そう言われても困る」
「……」
ヒゲの親父は当然不機嫌になり黙ってしまう
「じゃあ、そこの娘
代わりに教えてくれないかな?」
「…ッ!?」
あまりの空気の読めなさに絶句する親子
「お客さん…その…人には詮索されたくないことの1つや2つあるものでしょう?」
「たしかに、その通りだな…
ウム、すまなかった」
「わかっていただけたようで…」
「次また来ると言っていたし、あの不愉快な男に直接聞くことにするよ」
「…………………」
もはや親子は呆れ果てていた
しかし、次の日状況は一変する
雨が止み、久しぶりの太陽を拝めたことだけでなく
上半身と下半身がお別れした状態の中年男、リチャードの遺体が発見されたからだ
こぞって街の人々は月夜亭に押し寄せた
トムがやったのではないかと疑っているのだ
「リチャードは嫌な奴だったが、殺すことはないじゃないか!!」
「人殺し!」「バケモノ!」
人々は暴徒と成り果て石や卵など宿に投げつけられる
ガブリエルは知っていた、昨晩宿から誰も外に出ていないことを
中年男からどうやって聞き出そうか考え事をしていたら朝になっていたからである
「待ちたまえ、リチャード氏が殺されたことは本当だとしてだ
トム氏は昨晩この宿から一歩も出てないぞ?
どうやって殺すというのだ?」
群衆は反論する
「昨夜、リチャードさんはこの宿に向かったっきり帰ってきてないんだ!」
さらに反論しても暴徒たちは聞き入れてはくれなかった、むしろよそ者のガブリエルが疑われてもおかしくない状況であったが…
自体はむしろ違う方向へ悪化していった
「そうか!わかったぞ!
この親子は魔物なんだ!
だから宿から一歩も出ずにリチャードさんを殺せたんだ!!」
「おい待て、どうしてそうなるんだ!?
チャールズさん!わたしたちは何十年もの仲だろ?」
「私たちは人間よ!!」
親子が取り乱すと、それがさも証拠であるかのように縛られて外に連れていかれてしまう
「キミたち!!」
大きな声で叫ぶガブリエル
親子は庇ってくれるのかと期待の眼差しを向ける
その場の全員が注目するなか、放った言葉は…
「その親子を離してくれないか?私の朝食がまだなのだよ」
「なっ…なによアンタ!!わたしたちの命よりも自分の朝食の心配!?」
「実に昨日の夕食が美味だったのでな、是非とも朝食も頂きたいのだよ」
「最低よ!アナタって人は!」
娘は泣き出してしまう
ガブリエルは無実の罪で魔物扱いされる親子のことよりも朝食のことの方が一大事であった
暴徒たちにも呆れられ、コイツはただのアホだとスルー
朝食抜きのまま、ガブリエルは事件現場に向かう
なぜならば無実を証明しなければ親子は解放されずに朝食を食べることができないようだと悟ったからである
「困ったものだ、私はただ朝食を食べたいだけなのに」
現場に着くと流石に遺体は移動されたらしく血の跡もだいぶ夜の雨に流されていた…が
地面はぬかるんでおり、なんらかの痕跡残っている可能性は僅かながらあった
「フム、なるほどなるほど」
ペストマスクの中の眼光が鋭く光る
「たしかに魔物の仕業なようだな」
ガブリエルは懐の刃物の柄を強く握りしめた
というわけで、前回の回想の続きです
やりたいことはあるのですが、なかなかうまく文章に起こすのが大変ですね




