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ペストマスクと修道女  作者: こじかつ
5/8

回想と宿屋

今日もきちんと投稿しますよー!

空は雨雲に覆われ、ポツポツと雨が降り続けている

街を歩く人は皆傘を差しているが、1人だけびしょ濡れのシルクハットを被ったペストマスクの男は空を見上げて立ち尽くしていた


「今日もやみそうにないか…」


ポツリと呟くと歩き始めた


ここ数日間ずっと雨が降り続けており、川の水はだいぶ水位を上げていた

このところ雨が全く降っていなかったため、誰もが恵みの雨だと大喜びしたものだった

しかし、ポツポツとはいえあまりにも降り続けているために土砂崩れや川の氾濫がそろそろ心配され始めていた



ガブリエルはひとまず宿屋に泊まることにした

この街に入るときにも外から見えていた一際大きな建物がいかにもゴージャスなデザインの高級ホテルであった


この街で一番高級そうなホテルに入ろうとするガブリエルだが

「お、お客様!申し訳ありませんが…びしょ濡れは困ります!

床が汚れてしまいますので…どうか、お引き取りを…」

ドアマンに行く手を遮られる

「なんだね、キミは?私に意見できる立場だと言うのかね?」

「申し訳ありません…ほかのお客様のご迷惑にもなりますので…」


そこにいかにも高級スーツを着ている男がびしょ濡れで駆けてくると

「おかえりなさいませジョーンズ様、どうぞ当ホテル自慢の高級タオルでございます

どうかこれでお身体を拭かれてください、風邪をひいてしまいますよ」

「ああ、かたじけない」

と、ホテルの中へ入って行く


「おい、アイツが良くて何故私がダメなのだ?」

「……」

ドアマンは苦笑いを顔に貼り付けたまま黙る

「フン!誰がこんなセンスのないホテルなんぞに泊まってやるものか!!実に不愉快だ!!」

プンプンと機嫌が悪くなったガブリエルは踵を返した



そして、たまには安い宿もいいものだと近くの小さなボロ屋に入っていく


雨漏りは当然だというように床には多数の桶や皿が置いてあり、ぴちゃんぽちゃんと水の音を奏でている


「いらっしゃいませ!月夜亭へようこそ!何泊のご予定ですか?

あっ、お客様びしょ濡れではないですか!どうぞこのタオルで拭いてください!」


タオルを渡したくれたのは、この宿の看板娘だろうか?10歳前後の娘が出迎えてくれた

頭には三角巾、ワンピースの上にエプロン姿で髪の短い活発な子であった


「ほう、この宿は子供が経営しているのか…珍しいな」

と、関心していると

「いらっしゃいませ!お部屋まで荷物を運ばせていただきますね」

と、カウンターの奥から娘の父親であろうヒゲの親父が出てきた


ボロ屋だけあってベッドも簡素なもので窓もガタつき、もちろん雨漏りも多い

朝食と夕食はつくそうだが、こんな有様だとどんな料理が出てくるかわかったものではない


しかし、この親子はとても人当たりの良い接客で不愉快ではないとガブリエルは感じた


不安に感じていた夕食も素朴ながらも素材の味を活かしたジャガイモ料理でホクホクのじゃがいもがガブリエルの胃袋を満足させた

親子はペストマスクを着用したままの食事光景にびっくりはするものの、久しぶりの客に精一杯のおもてなしをしようと張り切っているようだった


ガブリエルがちょうど食事を終え、看板娘が食器を洗っている頃であった


ガチャリと宿の扉が開き、ギラギラした装飾品を身体中に身につけた宝石人間のような中年男が入ってきた


「いい加減、この土地を売ってはもらえないかな?

こんな宿に客なんて…!?

コイツは驚いた!はははは!!

こんなボロ屋に泊まるくらいならウチに来るといい、少しくらいならまけてやるからよ」

不愉快な男だ、ガブリエルはあの高級ホテルで感じたものと同じものを感じた


「り、リチャードさん…困りますよお客さんの前で…」

「トムさんね、あんたがさっさとこの土地を売ってくれないからこのお客さんも間違えてこんなところに泊まってしまったんだよ、そうだよなぁ?」


ガブリエルは中年男をジロっと見る

「キミ、あの高級ホテルの関係者かな?」

「そうだとも!また1番の高級ホテル

リチャードクラブスイートの経営者だ」

「ほう…なるほどな

どおりで不愉快な男なわけだ」

「なんだと?おかしな仮面を付けた田舎の貧乏人だと思って、優しくうちのホテルに泊めてやろうとしてやってんのによお!」

中年男は苛立ちを露わにする


「リチャードさん!!お客様を侮辱することはこのわたしが許しませんよ!」

「ちっ…しゃーねぇなぁ

また来るからよ、いい返事待ってるぜ」

リチャードは乱暴に扉を開けて出て行く


その後ろ姿を見送るトムのヒゲが怒りで震えているようにも見えた


ちょっとだけ回想を挟もうかなぁって思ってましたが、少し長くなりそうです

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