表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヘリオスの末裔  作者: まきの・えり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/13

12

       12

 それ以後は、朝ご飯を食べたり、帰る準備をしたりして、皆でばたばたしていた。

 真由と里中君と不登校だった三橋君は、なぜか意気投合して一緒にいるようになった。ま、泣くときも一緒だったし、気が合うんだろう。

 問題は、小橋君だった。太陽接近以降、お兄様が話しかけても上の空だし、テレビの臨時ニュースで、「地球連邦」の話題が出ても、興味も関心も示さなかった。啓子が荷物をまとめたりして、世話を焼いている。

 私も、のろのろと準備をしていた。

「みんな、地球連邦だぞ、地球連邦。地球連盟だって、地球連合だって、うまく機能しなかったというのに、地球連邦と名前を変えただけで、うまくいくはずがないじゃないか……」

「大石先生、少し黙っていてもらえませんか。考え事があるので」と小橋君が平坦なお経のような声で言うと、「あ、ああ」と言って、大石先生の永遠に続きそうだった熱弁は止まった。

「小橋、大丈夫か? 何かあったら先生に言うんだぞ」

「はい。地球連邦は、うまく機能するでしょう」とお経のような声。

「そう思うのか、小橋。理由は何だ」

「もう、誰が偉いとか、どの国が強いとかいう時代では無くなったからです」

「じゃあ、どういう時代になったと言うんだ、小橋」

「戦争の無い平和な時代になった、ということです」

「そんな時代は、歴史を紐解く限り、これまで存在しなかったんだぞ、小橋」

「これから、存在するようになります」

 先生は、小橋君の額に手を当てた。

「熱は無いようだな。安田、帰るまで、小橋をよろしく頼むぞ」

「わかりました」と啓子が答えた。

「山下は、どうする?」と先生は、話の矛先を私に向けた。

「はい?」

「言ってみれば、ここは山下の家だろう? ここで解散してもいいんだぞ」

「ああ、そうですね」と私は学校に帰らなければいけないものと思い込んでいた。

「朱音、そうさせてもらったら?」といつの間にか、お母さま登場。先生が、なぜか、あたふたしている。美女免疫が無いのだろうか。

「うん」どうしようかな~。

「私達も、ここで解散でいいですか?」と啓子が言った。

「うん?」と大石先生。

「どっちみち、土日は朱音の家に泊めてもらうことになってましたし」(ええ?)

「そうだったのか」(そうだった?)

「そうだったんです」と真由、里中君、小橋君、それになぜか、三橋君もハモッた。

「三橋、お前は、今回初めて会ったんだろう?」

「三橋君も、仲間です!」と里中君がキッパリと言った。

「それは、先生としても、非常に嬉しいことだ。三橋も、ここで解散」

「やったー!!」と真由と里中君にハイタッチする三橋君。

 なぜか、大石先生は、ハンカチで目元を拭っている。どうしたのだろう??

「ずる~い」という声がした。見なくてもわかる、藤原加奈だ。

「私も、ここで解散がいいです」

「俺も」「私も」「僕も」という声が上がり続け、大石先生は、しばし黙っていた。

「皆の気持ちもわかるが、ここは温泉旅館だ。残りの生徒達は、一旦、学校まで戻って、そこで解散だ。後は、親御さんと相談して、改めて宿泊予約を取るなり、泊まりに来るなりしなさい」

「は~い」と藤原加奈の「ずる~い」という顔を筆頭に、皆、不承不承返事をした、という感じだ。

 皆を乗せたバスは、お弁当入りの保温パックと共に、お昼前に帰って行った。

「大石先生、泣いてたみたいだけど」と私は言った。

「学校に来ない、三橋君のことを、心配してたんでしょ。それが、合宿に参加して、友達もできて、安心したんじゃないの?」

「へ~~」そうなのか。

「それに……」と啓子は、三橋君を見たので、私も見た。

「三橋君は、朱音のことを好きみたいだし……」と啓子。

「え~~~~!!」

「やっぱり。気がついてないとは思ってたけど」

「え~~~~!!」

「朱音、鈍すぎ。あれだけハッキリ、気になるとか、写真をもらったとか言われてるのに」

「え~~~~!!」

「もう、いいわ。あんなに美しいお兄さんがいるってのも、不幸な話なのね~」

「お兄様と三橋君と、どういう関係があるの?」


「オーッホッホッホ」と笑いながら、そばで聞いていたらしい、ミーアキャットが時枝祥子の姿になった。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ