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真由と里中君に触りまくられていたミーアキャットが人間の姿になった。
うむむ。
転校生の時枝祥子も美女だったが、今回は、美女を通り越している。化け物……あ、ごめん。
「私は、ヘレナ。月の女神よ」
はい、はい、はい。月の女神ね、そうですか。
「ヘリオスの後を追ってきたのよ。あ、誤解しないで、ヘリオスは兄だから」
はい、はい、はい。意味わかんない。お兄様の後を追いたい、私みたいな人だったのね。
「あなたなんて、ヘリオスの妹なんかじゃないわ」と時枝祥子が言った。
誰だか知らない人の妹な訳ないじゃん、バッカじゃないの。
「いらっしゃい」と時枝祥子、もとい月の女神のヘレナさんは言った。両手を広げている。
私達五人は、吸い寄せられるように、手を取り合って円形になった。
「わああああああ!!」と私達を代表するように、三橋君が叫んでいた。
凄い、と私達は思った。
飛んでるなんてもんじゃなく、ぐんぐんと上空に上がっている。
下を見ると、丸い円が見えた。地球儀だ……地球儀に違いない……
「わ、わ、わわわわわ」と三橋君。表現力が豊かというか、貧しいというか……
「わ~~~ん」と真由と里中君が声を一つにして泣いていた。
私達は、どんどん大きくなる太陽に向かって進んでいたのだ。熱いんですけど。
「太陽の表面温度は、5800度。中心部は、1500万度。あらゆる物資は溶けて、プラズマ状態になる」と小橋君が、ブツブツとお経のような平坦な声で唱えている。
さすが、小橋君、と思ってみると、手をつないだまま、意識を失っているようだ。
「いい加減にしておけ」と突然、お兄様が中空に現れた。
「お兄様……」とヘレナさん。
「その呼び方はやめろ、と言っただろう」
「じゃあ、なんてお呼びすればよろしいのですか?!」
偉い! あんたは偉い! と私は思った。私が強く言えなかったことを、よくぞハッキリと言ってくれた!!
「今は、山下明良だ。お前は、時枝祥子」
「はい……」とヘレナさん、もとい時枝さん。
私達は、来た時同様に、お兄様を先頭にして、元の場所に戻って行った。
いや、来た時よりも早かった? まだ、辺りは薄暗かったからだ。
「わ~~~ん」と泣いている声が三重に聞こえる。
真由と里中君に、三橋君が合流した格好だ。
小橋君は? と見ると完全に放心状態だ。
「や、山下先輩!」と藤原加奈の声がした。今回は、「ずる~い」は無いようだ。
「おはよう、藤原さん」とお兄様は、優しい声で言った。
「おは、おは、おはようございます」と藤原加奈。
恥ずかしがる様子は、可愛いかもしれない。なぜか、心の隅でムッとしている。
私は、私は、お兄様に、優しい声なんて、かけられたことがない……のに……
「ふふん」と時枝祥子に、ポンポンと肩を叩かれた。
うわ、むかつく。
ふあ~~あ、とあくびをすると、時枝祥子はミーアキャットに戻った。
謎だ。
美女の時枝祥子にはむかつくのに、ミーアキャットには、むかつかない。
と思っていると、サボテンの一つが人間の姿になった。
これは、もしかすると、皆が騒いでいた、若くて身長が伸びたという、アマリカのスランプ大統領?
『地球連邦ですかな』と隣のサボテンも人間の姿に。
これは、ローヤのフーチン大統領?
『地球連邦ですな』とスランプ大統領。
『私達の権力は永遠に続く』
わあはっはっはっは、と二人は声をそろえて笑っていた。
そして、二人同時に、姿が消えた……
瞬間移動? そんなバナナ、と私は思った……サボテンだったけど……




