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ヘリオスの末裔  作者: まきの・えり


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 ミーアキャットから人間になった時枝祥子は、またも、美女度を異常にアップさせていった。だから、美しさも限界を超すと、化け物に近く見えるんだってば。わかんないのかな?

「わたくし、この朱音をお借りしていきますけど、よろしいですわね」

「朱音、いいの?」(こんな化け猫女と一緒で?)と啓子が言った。

「僕がついていくよ」と小橋君。能面で言われると、時枝祥子といい勝負だ。

「私達は、『幸せ配達プロジェクト』に行ってくるよ。三橋が困っている子供達を助けたいんだってさ」と啓子が言った。

「そうなの~」と真由と里中君と三橋君が同時に言った。

 そのそばで、お兄様がニコニコ(?)して、手を振っている。不気味な光景だ。

 時枝祥子は私の手を無理やり握ると、ぐんぐんと上空に登り始めた。小橋君が小型ロケットみたいに追いかけて来るが、追い付かないみたいだ。

 お兄様、私は、太陽で燃やされてしまうんでしょうか……と涙目で訴えるが、笑顔しか返って来ない……


「さて、ここらで一休みしようか」と時枝祥子が言った。普通の美女に戻っている。

「ここらと言っても……」空中なんですけど……

「人間なんて、放っておけばいいのに」と時枝祥子。

「放っておくとは?」と私。

「勝手に戦争でも何でもして、滅亡したければすればいいじゃないの」

「はあ……」

「大体、種としては頭打ち状態。これ以上進化する訳じゃなし、宇宙の平和に貢献する訳じゃなし」

「はあ……」何を言ってるのかわかりません。

「ヘレナさんは、何が気に入らないんですか」と何とか追い付いた小橋君。

「何がって、何もかもよ」と月の女神さんは、淋しそうな横顔を見せる。

 おお! 美女の淋しそうな横顔って、なんて美しいんだろう。

「ヘリオスさんに愛されたいんですね。一直線に」

「そうよ。悪い? 人間なんか放っておいて欲しいのよ!」

「じゃあ、僕がいいことを教えましょう」

 ずるーい、と私は藤原加奈になった。二人は、私にわからないように、閉ざされたテレパシーを使ったみたいだ。そんなことができることも知らなかった。


 とりあえず、私も『幸せ配達プロジェクト』に参加して、世界中を回って、困っている子供達を助けることにした。いうなれば、フレーム配達だ。

 驚いたことに、美女の時枝祥子もプロジェクトの一員になっていた。

 難病に苦しんでいる子供達、飢えて死にかけている子供達、誰からも愛情をもらえない子供達。

 それは、人間に限らなかった。


 地球連邦も活躍していた。ようだ。

 紛争地帯に行き、紛争を力を合わせて解決していった。らしい。

 そして、ついには、国境というもの、というか、国というものが無くなったらしかった。

『地球は一人一人のために 一人一人は地球のために』

 私達は、一人一人が『地球人』ということになった。


 そんなある日のこと、テレビの放送局の一つが、中学校を取材にやってきた。

 みな、とても疲れた顔をして、機材を運んでいた。

「テレビの前の地球人の皆さん、おはようございます。この中学校が、スポーツ界における、数々の新記録を樹立したという中学校です。さて、見た所は、普通の田舎の中学校ですが、こんな辺鄙な場所で、どうすれば、新記録を樹立できるようになるものでしょうか」

 私達は、好き放題な姿になって、校庭を走り回っていた。

「ええと、あのう、テレビ局のものなんですが、どうも、人の姿が見当たりません。どなたか、いらっしゃいませんか~? この動物たちは、一体、何をしているのでしょうか。謎は深まるばかりです」


 レッサーパンダになっていた、校長先生が、とても残念そうに走るのをやめて、人間の姿になった。


               了






 

 

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