第113話 簡易結界は高い
斑鳩と瀧山講師はダンジョン前の売店にいた。
池を封印する為に簡易結界を選んでいた。
「値段がピンキリですね」
「斑鳩、お金ある?ワタシはちょっと…寂しい感じなのよ」
「えっ?この前のお金どうしたんですか?」
「いや〜、ワタシの槍結構高かったでしょ?実はあれ、ダンジョン攻略のお金で買ったばっかりだったのよ」
「自慢されてたけど、全財産で買った感じか………」
「面目ない……」
「大丈夫ですよ、自分は昨日買った装備品以外には使ってなかったからそのまま残ってます。
辻本さんも、作戦が上手く行きそうなら
経費として組合から費用が出るって言ってたし…
これって返ってきますよね?」
「お、おぅ、返ってくるんじゃないか?
上手く行けばだけど」
「頑張りましょう!」
その後、池に設置する為の少しグレードが高い簡易結界4個を購入した。
総額100万円
…
……
………
「先ずは池探しだな、一応手元にある地図によると入り口から1km程離れた所の岩山の中にあるらしい」
「1kmってどうやって測るんですか?」
「もちろん感覚で測るしかないな」
「マジですか…」
「流石に嘘に決まってるだろ
今は左側が森みたいで、右側が岩山みたいになってるだろ?
それが、反対に左側が岩山で右側が森みたいになれば1kmにはならないが近くにはなってるみたいだ」
「酔っ払いの感覚で進むとか不安にさせないで下さいよ」
「最近、酷い言い方が多くないか?別にいいが
それじゃあ左側の森に沿って奥に進むぞ」
その後2人は、順調に奥に進んでいった。
暫くすると、左側が岩山になっていたので岩山を登り進む事になった。
岩山と言っても、どちらかと言えば岩場みたいな岩山になっている。
無言で瀧山講師が斑鳩を制止する
小声で斑鳩が聞く
「どうしたんですか?」
「水溜りのような池が見えてきたが、周りに鹿型がいる。今行くと10匹程いるが全て倒さないといけなくなる」
「又ロケットの出番ですか?」
「そうだな、嫌な予感はするがそれしか無いな」
ロケットの進行方向の見える範囲に他の人がいない事を確認しロケットを飛ばす。
けたたましい音を発しながら鹿型のモンスターを誘導した。
「5匹残ってるな、奴等にとってもここは大事な場所らしいな…」
「倒すしかないですね…」
「そうだな、不意打ちで倒せそうなのは一匹だけだから四匹とは正面から倒さないといけなくなるな…
まあ倒さなくても結界が機能しだしたらそれで成功になるから
不意打ちと同時に結界を起動してくれ
一分程2人で持ちこたえれば結界効果で奴等は手出し出来ないはずだ」
「解りました。」
2人は最低限の荷物だけを持って風下になるダンジョン奥に回り込み作戦を実行した。
一匹目を瀧山講師が槍で首元にある魔石のある場所に突き刺す。
酒臭いが、講師なだけあり急所を狙う精度は完璧だった。
斑鳩がそれに合わせ簡易結界を起動させる。
一分さえ耐えれば、5m四方は普通のモンスターは入れない結界を張り巡らせる。
しかし、一匹倒した事による異変と結界の起動音に反応し残りの四匹の鹿型は襲い掛ってきた。
斑鳩と瀧山講師は槍を構え対峙する。
人を見ると見境なしに襲ってくるモンスターであっても、流石に一瞬で仲間モンスターを一匹倒したのを警戒し飛び掛かるのを躊躇している。
この時点で10秒は経過している。
「斑鳩、結界は動かすなよ動かすと結界が形成されるまでの時間がリセットされる。」
「解ってます。それよりこいつらどうしましょ、四匹はキツイです。」
四匹は、斑鳩と瀧山講師を囲うように四方向に別れて構えだした。
「モンスターなのに連携とかこれだから群れでいるタイプ嫌いなんだよ」
瀧山講師が愚痴る
鹿型が斑鳩の方が弱いと察した四匹の狙いは斑鳩に向きだした。
「えっ?俺?」
「斑鳩いけるか?後40秒程だ、幸い岩山だから奴等も下手に速度は出せない
お前が走り出したら追いかけるがかわせるはずだ」
「無茶言いますね。でもそれしか無さそうです。」
斑鳩に向けての包囲網が狭くなって行く。
斑鳩は四匹中、1番小さい方に走り出す。
「一匹は任せろ!」
瀧山講師は、槍を大振りで一匹を完全に足止めする。
残りの3匹は、斑鳩を追いかけ出した。
斑鳩は岩場をすり抜けるかのように走り出す。
シールド(小)を、狼型に追いかけられた時の様に地面と水平方向に向け出現させ
足止めを試みたが、本当に一瞬の足止めにしかならなかった。
鹿型の角周辺は、非常に硬くなっている為にガラスを割るかのようにシールドを走りながら砕いていく。
「くそっ、ならこれではどうだ」
今度は、鹿型が追ってくるのを見越して足元にシールドを出現させながら逃げる。
すると、先頭にいた一匹がシールドを踏み抜き転んでしまう。
「よし!」
斑鳩は声を上げる。
「斑鳩、こっちに戻ってこい!」
瀧山講師が斑鳩を呼ぶ、数秒しかたっていないが、引きつけた鹿型を倒したようだった。
簡易結界前に戻った斑鳩は瀧山講師と横並びになる。
一匹はコケて少し離れているので、一瞬だけだが各自一対一の構図になった。
斑鳩を追いかけてきていた。鹿型は、2対2の構図になり動きを止める。
睨み合いの膠着状態だが、今回に限ってはそれはそれでいい
後数秒待てば結界が機能してくれるからだ。
「斑鳩避けろ!」
「えっ?うぐっ………」
斑鳩が不意を突かれ、吹き飛ばされる。
さっきコケていた鹿型が横から斑鳩を突き飛ばす。
角が刺さらなかったのは幸いだ。
更に幸いだったのは、簡易結界が起動し
斑鳩が飛ばされたのも簡易結界の中だった
その後の追撃を喰らわなくて済んだ。
池に残った鹿型は後3匹いるが、簡易結界内には手出しが出来ず膠着状態になっている。
それを尻目に、残りの簡易結界を次々に起動させ池全体を結界で覆い、鹿型を締め出した。




