第111話 始めての鹿型との対峙
ダンジョン入り口で、防具で身を固めた斑鳩がそこにはいた。
今までまともにダンジョンに入った事がなかった。
1回目は、教習所で落下
2回目は、山奥の過疎化したダンジョン
3回目は、猪型に連れ込まれたダンジョン
入り口付近で待っていると、結構な数の人達が出入りしていた。
暫くすると瀧山講師がやってきた。
「またせたね。
結構ガッチリ装備固めてるね」
「瀧山講師こそ、最低限の装備しかしてませんね」
「そりゃそうさ、ここは鹿型だからね
ちょっとやそっとの装備じゃ意味ないからね。
下手に身体が重くなったら避けれる攻撃も避けれないからね」
「え、、、普通にガッチリ着てしまった」
「まあいいんじゃないかな?そんな感じの人もいるし
取り敢えず行こっか〜」
…
……
………
「おぉ〜これが中型ダンジョン!」
そこは、端の方は岩や木が生えていて
真ん中は草原の様になっていた。
「まあボチボチやるか〜、そうそう危なくなったら直ぐに逃げる様に木が生えている所とかに行けば逃げやすいからな」
「ですね〜、鹿型って足か速そうだから直線だと逃げれそうにないですね」
それから木と草原エリアの境目辺りを2人は進んでいた。
突然瀧山講師が小声で
「隠れろ」
と言ってきたので声に従って斑鳩は瀧山講師と一緒に隠れた。
暫くすると、10匹程の群れが歩いてやってきた。
息を殺しながら待っていると、数十メートル先を群れが通り過ぎて行く
瀧山講師は徐にロケットの形をした玩具の様な物を取り出した。
「なんですかそれ?」
「まあ、見てれば解る。」
瀧山講師は、人がいないのを確認し
ロケットから紐を引っ張ると、けたたましい音と共にロケットが飛んで行く
それに反応した鹿型のモンスターが追いかけ始める。
1番後方にいた鹿にむかい全力で近くに落ちていた石を投げつける。
すると一匹だけが、斑鳩達の方に向かって来た。
「よし!久々だけど上手くいった。
斑鳩君後よろしく
危なそうになったら助けるから1回1人で倒してみて」
「えっ…いきなりですね。先に言って欲しかった。心の準備が…」
「グダグタいってないで、きたよ!」
斑鳩は、槍を構えて鹿型のモンスターを待ち構える。
角を出しながら突っ込んで来たので
槍でそのまま頭を突こうとしたが
「ダメ!頭は硬いからそんな槍じゃ折れるだけ躱して」
言われた通りに躱す。
本当なら躱しながら攻撃すればいいんだが
持っている槍は3m程だったので小回りがきかなかった。
ただ躱しただけになってしまう。
上手く躱せたが、モンスターとの距離は2m程になってしまう。
持っていた槍を横に投げ、ホルスターにあるマチェットを構えた。
鹿型は、躱され一度通り過ぎたが直ぐに振り返り、斑鳩に近距離から串刺しにしようと再度角を向け突くが距離が近いせいでスピードが出るまもなく躱される。
躱しながら、斑鳩は左前足を斬りつける。
「キイイイィ」
鹿独特の鳴き声で痛がりながら威嚇する。
その後何度か斬りつけると動きが鈍くなりその隙に斑鳩は先程横に投げた槍を拾い首元を突き素早く引き抜き
更に何度か突き刺し、止めに槍を上から振り被り首を半分程切り裂く
すると殆ど動けなくなり、止めにマチェットに持ち直し首をハネた。
「ふぅ………」
「なんとか無傷で倒せた感じね。それでもよくやったわ」
「…ありがとう」
「じゃあ素材剥ぎしましょうか、革も歯も良い値段だけど
こいつらの、仲間戻ってきたら厄介だから
角と魔石だけにしときましょ」
慣れた手つきで、瀧山講師は角を切り落とし
魔石を引き抜く。すると鹿型モンスターの身体は、霧の様に消えていった。
頭の部分だけは消えずに残っていた。
「首だけ残りましたね。」
「不思議よね。魔石を抜く前に切り離した部分は消えないのよね」
その後何度か同じ事を繰り返してその日の狩りは終わった。
「そろそろ帰りましょうか、素材は帰りに査定してもらいましょ
魔石はどうする?ハムスターにあげる?」
「良かったら魔石は下さい、何か又スキルが貰えるかもしれないから」
「そうね。あっロケット代とアルコール代は必要経費だから素材を換金したら貰うからね。」
ロケット代は解るが、アルコール代は何かモヤモヤした感じが残った。
素材買取カウンターに行くと、それなりに人がいた。
カウンターで素材を渡すと引換券を貰い
役所の待ち時間の様に待たされ
その後お金を貰えた。
必要経費を除いた余りは3万円だった。
「微妙ですね…」
「次からは魔石持って帰るの半分位にしましょうか、2人で3万ってちょっと割に合わないわね」
「キャシーには悪いけどそうしましょう、槍でも折れたら大赤字になりそうだし」
そしてその日は、ダンジョン近くの駅から電車で帰った。
瀧山講師も、酔ってないとはいえアルコール濃度が上がってる状態だったので、素直に電車で帰っていった。




