第106話 教習所卒業はアッサリしていた。
教習所で一通りの検査を行ったが特に何もなかった。
ダンジョン内に入った時に猪型に踏み潰された肩も自己治癒(中)があったので、一晩寝たら怪我の痕跡すらなく
検査直前まで忘れていたくらいだった。
その後、1泊する事になり大人しく朝まで寝ていた。
次の日は朝から、30分程の聴き取り調査があったがこれに関しても特に問題なく
「全く同じ形の石が2個あって、その上で1時間ほどお菓子を食べながら考え事をしていたら出られた」
と言った事には流石に突っ込まれた。
「何故、如何にも怪しい岩の上で寛いでるんだ。
罠の類だったらどうするんだ!」
と心配もされた。
流石に夢の中で白い空間内で言われたとは言えなかったし
出る方法は、今後迷い込んだ人用に広めたかったのでこれだけは、変に思われたとしても言わずにはいられなかった。
その後、通常の教習所の開始時刻が訪れた。
昨日あんな事があったが平常に始まった。
教室に行くと、佐藤と南條がいた。
「昨日は大変だったな。身体に異常はないか?」
「大丈夫です。2人にも心配かけて
捜索もしてもらってたみたいで有難う御座います。」
「いいよいいよそんな事、それよりどうやってダンジョン内に入ったんだろ?
あの時急に現れた猪型、出たり入ったりをしてるのかな?」
「う〜ん、どうなんだろ?普段なら出たら出たままなのに又戻って行くって、なんだったんだろ?」
これに関しては意味が解らなかった。
暫くすると、郷山講師がやってきた。
「皆来てるな!
今日で、最後の講習になる。
昨日は色々あったが皆無事で何よりだ。
これで今日からお前達は、ワーカーのFランクの資格を得ることになった。
これからは、専業でワーカー、副業でワーカーどっちにするかは解らないが
何もしないとかは止めてくれ
出来ればこれっきりにせず。
身近にいるハグレを倒す等してほしい
現状、人手が全く足りてなく
日に日に、ハグレの出没件数が増えていっている。」
その後色々と郷山講師が話していた。
書類の手続きも済ませ無事に最後まで残ったメンバー達はFランクになれた。
最後に
「おめでとう、これからも頑張ってくれ」
とは言われたがアッサリとした教習所最後の日だった。
郷山と南條に、お疲れ様会を今度開こうと言われた。
流石に1泊入院した次の日になる今日は大人しく帰る事になった。
…
……
………
自宅に帰宅すると、母親が出てきた。
一応、昨日の夜に心配しなくても大丈夫とは言っておいたが帰ってみると
「孝一!大丈夫!怪我とかなかった?心配したのよ!」
「ただいま〜、大丈夫大丈夫。
ちょっとダンジョンに間違って入ってしまって抜け出すのに手間取っただけだから」
「本当に大丈夫だったの?」
「うん大丈夫、ダンジョン内のモンスターも大人しくしてるのが殆どでそこまでの危険はなかったから」
とても本当の事を言うことはできなかった………
色々と問い詰められたが、『大丈夫だった!』の一点張りで切り抜けた。
元いた世界では、ずっと1人で心配なんてされた事もない日が続いてたから、どうして対応したらいいかも解らなかった。
…
……
自室に戻ると次に待ち受けていたのが…
『我の魔石は!まだなの?早く頂戴!』
「あれ?餌に混ざって無かった?」
『無かったわよ!昨日の昼までしか無かったわよ!』
「あ〜昨日の夜には帰ってる予定だったからな、そう言えばそうかちょっと待ってて」
玄関から魔石を持ってきてあげると、貪るように魔石を吸い尽くした。
ダンジョンに無理矢理連れ込まれて大変だったと事情を説明したが
『ふ〜ん言い訳は聞かないわよ!
大変だったのは解ったけど、それとこれとは別問題だわよ!』
別問題らしい…
「一応、明日また集まって今後の相談する事になってるから」
『そうなのね。明日になる前に前々から言おうとしてたんだけど、ちょっと残酷な事を言うかもしれないけど言っとくわ』
「えっ?何かヤバイ事でも起きてるのか?」
『ヤバイと言えばヤバイわね。
以前、辻本さんが好きだとかどうとか言ってた話あるわよね』
「彼氏がいたとかか?もしかして!」
『むしろそっちのほうが良かったかもしれないわ
貴方、辻本さんが好きとか言って話
まともに女の人と付き合った事がない人がちょっと優しくしてくれる女の人がいたら
脈アリ?とか、好きとか誤解してしまう事ね。
まあ、今後変な行動起こさなければいいけど、下手に告白とかしようものならキモイで嫌われてしまうわよ』
「ぇ゙…そ、そうなのか…」
『私が聞いている話の内容だけではね。
だって、好きになる要素なんてないからね今の所
でもまだ捨てたもんじゃないわよ
貴方、人とお付き合いしたこと無いでしょ?
だから、これからも焦らず仲良くやってれば、その気持ちが本当の好きって気持ちになるかもしれないから
それからなら告白するなりなんなりすればいいわ
ただ今下手に動くと、キモイ人とかロクなことにならないわ
まだまだ若いんだし、今の気持ちを自分でもキチンと考えて向き合いなさい
それと相手がどんな風に思っているかも考えなさい』
「はい…解りました。確かにちょっと優しくされて舞い上がってただけかもしれません…
早とちりで、色々台無しにしたくないです……」
『よし!よく言った!
それじゃぁ、魔石のオカワリ!』
「それとこれとは別ですね」
『なんなのよ!上手いこといったと思ったのに』
「ハハハ、魔石持ってくるよ。
変なこと言ってたらこれからも宜しくな」
ここに、ハムスターと人間との師弟関係の様な物が生まれつつあった。
師匠になるのはハムスターだったが………




