休暇前のお茶会
今日はお茶会です。
『お茶会』は晴れた土曜日に行われた。
入退室は自由だ。狭い店なので、客たちは由里や亘に一言かけて去っていった。食事とお茶はセルフだが、茶葉やお湯の補充がなかなか忙しかった。お湯を入れたばかりのポットから飲もうとするのを止めなくてはいけないという場面もあった。
「亘さん。茉莉香ちゃんの大学のこと説得してくれたんですって?ご両親にお礼を言われたわよ」
(わー!)
亘は気恥ずかしさに襲われた。年下とはいえ、偉そうに言ってしまったのだ。
なかったことにしてほしいものだ。
「ふふっ・・・。あなたも立派な“おせっかい”の仲間入りね」
そういえば、亘は由里にあれこれ心配をかけてきたのだと思う。口うるさく思うこともあったが、心の中ではありがたく感じていた。
(“おせっかい”か・・・・・・)
今までは、上から目線の嫌な奴らだと思っていたが、自分も同類になるとは。
(それにしても、あれは恥ずかしい)
慣れるには時間がかかりそうだ。
カウンターで久美子と荒木がスマホを見ながら、なにやらはしゃいでいる。
亘がのぞき込むと動画を見ていた。
メイド姿の“茉莉香ちゃん”というキャラクターがなにやら解説している。
なかなかこれが好評らしい。
(自分もそんなこと考えたっけ・・・・?)
同じ発想が面白くない。
荒木は、今回の件で社長賞を取り、主任に昇格するらしい。
(転んでもいないくせに、濡れ手に粟だな)
「はい。茉莉香ちゃんおつかれさま」
忙しく店内を回る茉莉香に、由里が華やかな香りのするお茶を差し出した。
「茉莉香茶よ。茉莉香ちゃんと同じ名前ね。リラックス効果があって、美容にもいいのよ」
「ありがとうございます」
「それから茉莉香の花言葉はね“愛らしさ、柔和、優美”よ」
「わぁ!照れちゃう」
茶会のお開きの時間が近づいた。誰かが亘に挨拶をするように促す。
「え・・・・・と、今日はお集まりいただきありがとうございました。
由里さんの後を継いでどこまでやれるかわかりませんが、自分なりに頑張りたいと思います。しばらくお休みしますが、再開の折にはご来店ください。美味しいお茶を用意してお待ちしております」
すでに人が少なくなった店内からぱらぱらと拍手が起こった。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
このお話は、いったんここでおしまいです。
これからles quatre saisonsがどうなっていくのか?
それほど遠くない日に続きを書いていきたいと思います。
それまで休暇に入らせていただきます。




