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【完結】こちら異世界転生管理局  作者: ただみかえで
第7章 7つのスキル
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第53話 色

「ミルティ先輩の世界って、ほんとこう……」

「なーんにもないでしょ?」

「……はい」


 今は定時連絡の時間。

 一ヶ月に一回くらいの頻度で行っている。

 といっても向こう(転生局)とこっち(地球)で時間の進みが違うので、向こう時間では3日に1回くらいのものだ。

 最初こそ3日おき(向こうでは8時間おき)だったんだけど、緊急時以外はそこまで頻繁じゃなくていいだろう、ってことでこうなった。


「ほんと、転生局来るまで食事がこんなに楽しいものだなんて思わなかったもの。

 ああ、また『居酒屋』に行きたいわー。

 螢子ちゃん、早く帰ってきてー!」

「あはは、私も早く帰りたいです」

 ここまで約2年。

 もっとサクサク進むと思ったんだけど、このままだといつまでかかるやら。

「で、そんな話するってことは……」

「はい、全く進展なしです。

 もうほんと、ヒントがなさすぎですよここ」

「なーーんにもないからねぇ」

 さっきよりも『なんにも』を強調する先輩……。

 ほんと、困ったものだ。


 なんせ、世界を4つに分割して『どこが対象エリアか』を真贋判定(ジャッジメント)で見たら、全部の地域に『YES』が出てしまったのだ。

 だからといって、場所が合っているなら、と、そのまま1週間ほど待ってみたものの何も起こらなかった。

 そこで、何か手がかりがないか、ミルティ先輩に教えてもらったスポットや街をこの2年をかけて巡ってみたけれど、全くなにもつかめなかった。

 完全に手詰まりになってしまった。


 まぁ、おかげで『ドア』に『行きたい場所を念じればそこに繋がる』って機能があることはわかったけど。

 結局はどこに行ったらいいか分からないので、宝の持ち腐れ状態だ。

 それに……そんな機能あるなら、千代ちゃんの里に行くときに使いたかったよ……大変だったな、山道……。


「なんか、もっと特徴的な建物とか、有名なスポットとか、そういうのないんですか?」

「そう言われてもねぇ。

 ちょっとでも可能性のある場所は全部言ったわよ~。

 そもそもそういう場所少ないのよ。

 いろんな街見てきたからわかるでしょ?」

「……ですよねぇ。

 どこ行っても同じような建物に同じ格好の人たちで、本当に違う街に来たのか、って思うことばかりですよ」

 たまーにちょっとだけ他と違う建物とかあったけど、有名なスポットか? と言われると首を傾げてしまう程度のものだった。


「生きてた頃はそれが普通で気付かなかったけれど、今にして思えばどこもかしこも白と黒(モノトーン)しかないのって辛気臭いったらないわよねぇ……」

「ええ、ほんと……え? 『白と黒』??

 『ベージュ』ですよね??」

「何言ってるのよ、螢子ちゃん。

 『中間の色(グレー)』くらいはあるけど、ベージュなんてないわよ?」

「本当ですか!?」

「こんなことで嘘をついてどうするの?

 ……え、そういうこと?

 今螢子ちゃんの目には『ベージュ』に見えている、ってこと?」

「そうです、そのとおりです!」


 やっと、やっとヒントを見つけた!

 今の今まで『色』を話題にしたことがなかったなんて、盲点だった。

 『色味がない』『辛気臭い』『どこに行っても同じような建物ばかり』、という共通認識が間違っていなかったせいで会話に齟齬はでなかった。

 さすがに見えているものが間違っているだなんて思いもよらなかった。


「では、ちょっと色々試してみます」

「うん、がんばって。

 何かあったら、定時連絡以外でも連絡してきていいからね」

「はい」


 そう言って通信を切る。


 さてと。

 ヒントはわかったけれど、何をしたらいいかな。

 今の私のスキルで使えそうなもの……うーん、どうにもなさそうだなぁ。

 組み合わせ、でも、うまく行かなさそうだし。

 新しいスキルを作るしかない、か。


 今必要な力、ってなんだろうか。

 見えないものを見る力?

 いや、違うな。

 別に何かが隠れているわけではない。

 じゃあ、何が見えたらいいんだろうか。


 ミルティ先輩によると、どうやらこの世界は『白と黒(モノトーン)』の世界なのだという。

 けれど、私が見る限り、どこもかしこも『ベージュ』だ。

 日の当たる所は他よりも少しだけ赤く焼けた砂の色、って感じではあるものの、全体的にのっぺりとしている。

 この違いはなんだろう……?


 ああ、そうか。

 私が見えているものが本当の姿ではない、ってことか。

 つまり……本当の姿を見抜くもの(スキル)が必要?

 うん、その方向性でよさそうだ。


 よし。


 紫翡翠の眼(ラベンダーアイ)発動!


 目に力が集まっていくのがわかる。

 『近くを凝視するように、全体を俯瞰して見る』。

 紫翡翠の眼(ラベンダーアイ)を使う上での基本を思い出す。

 俯瞰をしていきながら違和感を探る。

 見えているものが全てではなく、見えているものが真実とは限らない。

 視野が広がる……私を中心に本当ならば見えていない範囲までも『眼』に捉える。


 全てを疑え!


 真実を暴け!!


 スキル:真実の鏡《アブソリュート・ミラー》


パリイイイィィィィィィン!!!!!!


 ガラスの割れるような大きな音と共に、見えていた世界が崩壊した。


いつも応援ありがとうございます♪

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