Link.83 紅い魔人①
自分の権能は、アマネの心を奪ってしまうと明かしたセラノア
そして、到着した場所は森の最前線だった
◆
「では、これより2週間。貴方たちにはこの砦の防衛にあたっていただきます。最近では、飛ぶ敵も現れているとのこと。遠距離隊は細心の注意を払ってください」
「「「はっ!!」」」
砦の屋上にて、後方にいた隊の全員が集まる
まだ辺りでは今まで守っていた隊員が作業をしているが、この集会が終わり次第交代するそうだ
「なので、今後そのようなケースでは───」
「ワイズ様!!」
話がそろそろ終わりそうだ、というところで見たことのない隊員が一人、声を上げた
恐らく今から交代する隊員の一人だろう
肩から血を流しており、ひどい怪我を負っていた
「───敵襲です!!数は………約2000!!」
「………!珍しいですね」
こちらの総勢は1000人ほど。
大体2倍の数をぶつけられていた
ワイズは焦る様子はなくそのまま指示を続けた
「貴方はすぐに治療を受けてください。B部隊、襲撃箇所へ向かってください!」
私たちはB部隊というのですね
端的で呼びやすい
………
そういえば区別する名を知らなかったなとセラノアは納得感と同時に緊張と期待を募らせていた
息を大きく吸い、隊員たちについていく
成長のチャンスと同時に、本物の戦場
セラノアも共に向かうことにした
◆◆◆
「…………っ」
──この光景は……心臓に悪いですね
焦土。それはセラノアの最も恐怖するトラウマの一つでもあった
ひどい汗をかきつつも、突撃していく隊員たちになんとか続こうとふらふらと一歩ずつ踏み出していった
気絶は、しません
悪意を向けられていないのです
──耐えて、セラノア
耐えるんです。耐えて、救って!
「っ────あぁぁぁぁぁああああっ!!!!」
無理やり奮い立たせた心のまま、焦土に降り立つ
目の前には、無数に広がり攻めてくる真っ赤な悪魔。
火を纏っており、赤い液体が体から滴り落ちているスライムが動物に擬態しているような姿だった
セラノアは叫ぶままに手を掲げ、上からの遠距離攻撃として水球を打ち込んだ
「『水球』ッ!!!」
足を霊体化させて空中に浮かびながら、他の味方の射線に重ならないように攻撃を続ける
それに続き、一部の天使がセラノアと同じ方法を取り始めた
セラノアよりも威力は格段に上。
魔法を使う天使がそもそも少ないため、恐らく遠距離攻撃の権能なのだろう
悔しさと、恐怖と、緊張にセラノアは唇を噛んで血を流す
感情も戦場もぐちゃぐちゃのまま、セラノアの戦争が幕を開けた




