↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エンゲージ・リンク  作者: 花酔
第3章 広がる世界のカプリチオ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
84/90

Link.81 side:セラノア 権能

訓練場での日々を過ごし、フラクタスに来て4日目になるアマネ

時は進み、1週間基地にいたセラノアは、話に出ていた移動の時がやってきていた


◆


「さて、セラノアちゃん、ひとつ選択肢をあげよう」

「はい?」


医務室を出て、共に廊下に出たタイミングでアマリリスからそう言われた

なんのことかわからないセラノアは首を傾げていた


「アマネくんの場所は引き続き探すよ。ただ、今から彼らは戦場に行く。一緒にくるかい?」

「……………」


つまり、悪く言えば共に死地にくるか、この後方でただ、今戦場にいて、帰ってくる人の世話をして情報を待つか、どうする?ということですね


良く言えば──強くなるための場数を踏める

………もちろん、安全ではありませんが


「迷いませんよ。行きます」

「そう言うと思ったよ」


セラノアは、自分の"選択"を後悔しない

戦闘狂なわけではないが、戦場の経験は大事なものだろう


───強くならなければいけません

そうでなければ、私はまた………


毒にやられ、足手纏いと化したあの時を思い出す

悔しさに唇を少し噛んだセラノアは前を向いた


◆◆◆

「──ここが」


夜、他の隊員と共に森を抜ける

焼け尽きた不毛の大地

赤い死骸が辺りに散乱した、他の形容もできないほどの戦場だった


「ここが、真紅の樹海の名の由来です」

「………樹海………皮肉ですね」


副隊長であるワイズが隣でセラノアに補足する

どうやらあまり後方にいなかったワイズは偵察をよく単独でしていたようで、隊員の中で最も若いものの、最も場慣れしていると言えるようだった。


不毛の大地がどうして樹海と呼ばれるのか

それは、基地のあるまだ燃え尽きていない樹海のこともあるが、この赤が散乱した戦場はまるで赤い木々の生える樹海のようだった


真紅とは、血の赤というわけですか


「セラノアさん、危険になったらすぐに大声で呼んでください。僕でも、"彼女"でも。いつでもみんなあなたを見れるわけではありません。厳しいようですが、ここに来たからにはあなたも戦力です。お願いします」

「わかりました」


セラノアは短く返事をする

ワイズが彼女という相手は一人

彼の天使である存在のことだった


「ほえ?エーデルの話〜?」

「うん、そうだよ。呼ばれたら、このお姉ちゃんも守ってあげて欲しいんだ」

「わかった!」


ワイズがかがんで目線を合わせ、話しかけるのは彼の天使「エーデル」

まだ6歳程度の見た目だが、ワイズは副隊長。

権能は確実に強いものだろうと察せられた


「守る、というとどういう能力なのですか?」

「はい、僕たちはこ(・)う(・)すると、目線の先の人に"揺籠"を作れるんです」

「わ………!?」


ワイズは、歩きつつ人差し指と親指で輪を作る。

そして、そこから目を覗かせると、セラノアに白い羽模様の入った透明な揺籠が現れた

セラノアからは触れられないようだ


「これは………?」

「エーデルの能力です。『尊び育む空の揺籠(エーデルワイス)』。真名の技しかないのは少しお恥ずかしい限りです……」


真名と言われてセラノアは思い出す

セラノアの権能にも一応真名がある。

〈墜落紅(エリュテイア)〉はただの技だ


ただ………使わないと考えてからは失念していましたね


それに、堕天使には反転した権能がもう一つある

罪架の数で強化され、埋め尽くされ、セラノアは元の権能(本来の力)がもうなんなのかわからなくなっていた


「真名の技は1番効果が高い分、消費も激しいんでしたね。何度も使える技ではないのでは?」

「はい、なので今のは限界まで薄めて、弱めて使いました。使える回数に影響はありませんよ」


マナの消費は、魔力の消費とは違い、意識して行う呼吸のようなもの。

過剰に吸い吐きを繰り返すと体力を使うのだ


真名という概念は、1000年前にはなかったが、アマネの教科書にあったためセラノアは理解し、自分の権能の名を自覚していた


ふと、そこでセラノアは疑問を持った


「………しかし、天使の権能は人間は使えないのでは?」


今、ワイズは自分の手で権能を発動し、調整したような口ぶりと動きだった

そこにセラノアは少し焦りを見せていた


「ん?ああ、エーデルの権能は特殊なんです。たまに主人も権能を使える権能もあるんですよ。効果は弱まりますがね」

「なるほど………」


そう言う感覚はないためセラノアの権能はそう言う類のものではないとなんとなく感じられた

安心したセラノアは胸を撫で下ろした


「自分の権能が使われたらまずかったのですか?」


ワイズが聞く

セラノアは少し悩んだ末に、実質現場監督のワイズにアマネにも言っていないことを打ち明けることにした


なにせ、これからなぜ使わないのか、使えないのか

確実に聞かれることになることは簡単に予想できたためだった


「私は、私の罪架に権能を使うと同時に苦しめられます。そして───」


少し目を伏せ、悲しげな表情をして言った


「恐らく………堕天使の権能を使うと私は、アマネの心(・)を奪ってしまうんです」




アマネの心を奪うセラノア(意味深)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。