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エンゲージ・リンク  作者: 花酔
第3章 広がる世界のカプリチオ編

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Link.78 ??の声

訓練が終わり、その日のうちに歓迎会を開催したヴァウ

あまりの振り回し様に、百尾の黒隊長のノーチェによってヴァウはお灸を添えられた

そしてアマネは、誤って手元にあったお酒を飲み、意識を手放すのだった


◆


「うぅん……………」


響き続ける虫の音、灼熱の太陽、一面の向日葵(ひまわり)

あぁ、夏だな


…………って、ここどこだ?

頭がぼんやりする…………


『やあ、起きた?おはよう────くん』

「ん…………?誰………だ………?」


眠気が消えないアマネはあたりを見渡す

人影はないが、一面向日葵(ひまわり)が咲いていた

しかし、どこからか水の音が聞こえる気がする


………どこだ?


「………この向日葵(ひまわり)、俺を見てる………?」


歩くと、全ての向日葵(ひまわり)がアマネを目線で追うように首を動かしていた

ただ、アマネは不思議とぼーっとして、懐古の気持ちすら湧いていた


ふと、聞こえた気がする声を思い出す

アマネはその声を辿って視線を動かした


「…………たしか、こっちから声が………」


ゆっくりと、振り向くと、そこには巨大な水の玉

ひまわりを潰さないギリギリほどの高さに浮いていた


「………………」

『幸せを、願ってるんだ』


ただ目を奪われていると、また声がした

水たまりの向こうだ


神聖なほど透明だが、その内には青紫の光がバチバチと弾けている

向こう側は見えそうになかった


『だから、知って。君の──を。そして、叶えてね』

「…………………」


彼はなにも言えない

ただ、何者かもわからない


───静かに、彼は水に触れた


◆◆◆

「っ……………!」


目を覚ますと、そこはフラクタスで用意されている自室だった

ただ、カチャカチャと音が鳴っており、一人ではないようだった


「……………」


アマネはただ、自身の状態を把握する

汗をかき、なにか焦っていたのか息が荒くなっていた


ふと、右手に少しの抵抗を感じ、見るとそこにはノーチェがいた


【あっ…………起きた?】

「えっ?あ、あぁ…………」


ノーチェは優しく火文字で心配してくれる

アマネはただ混乱したまま答えるしかできなかった


【うなされてて、悪夢を見てたみたいだから、手を握ったら安心するかなって………】


悪夢………?

なにか、夢を見てた気がする………


しかし思い出せないアマネは、笑って「大丈夫だよ」とノーチェに言い、立ち上がった


「ところでこの音は………?」

「あっ、ノーチェ!起きたら伝えてって言ったでしょ!」


部屋の中にあるキッチンから、聞き慣れた声がした

ノーチェの弟、アルバだ

エプロンをした、羊耳のアルバはなんとも愛らしい


こんな弟がいたらなと一人っ子ながらに思うアマネ

ただ、ノーチェは火文字を使わずにただアルバを見ていた


返事しないのかな?

仲悪いんだろうか……?


「まあ………確かに。僕が冷静じゃなかった。ごめんノーチェ」

「ん?えっ?」


タメ口のアルバも珍しいが、それよりも驚いたのは何も言っていないはずのノーチェがアルバに謝らせたように見えたことだった


「アイコンタクトって極まると会話までできるんだな………」

「あ、ごめんなさいアマネさん………これは姉のテレパシーです。火文字は他の人に向けて後で作ったもので、これも姉の能力の一つなんです」


話を聞くと、どうやら酒場で見せた吹き飛ばしも、このテレパシーも表裏の狐という悪魔のキメラとしての能力らしい


「もー!人がいる時にテレパシーで文句言うなって!伝わんないでしょ!?」

「…………」


はは、仲が悪いんだかいいんだか…………


姉弟の絡みを見ていると、アマネはだんだんと焦燥感を忘れ、ただ心が温まる思いになっていた

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