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エンゲージ・リンク  作者: 花酔
第3章 広がる世界のカプリチオ編

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Link.68 side:セラノア 1週間後

ひとまず、波の国フラクタスに滞在することにしたアマネ

時間は飛び、真紅の樹海では1週間が経っていた──


◆


「セラたん!笑ってー!」

「うるさいです!静かに食べてください!」


あれから1週間。

セラノアはユーフォルビアとは離れ、この基地にて仕事をしていた

食事を作ったり、洗濯をしたり


元々家事をしていた数人の隊員から習いながら行っていた


「いやぁほんと飲み込み早いし素直だから助かるよ」

「理解に苦しみます………堕天使ですよ?」

「ま、ここにいる人たちみんな今の君を見てるだけだからね」


一人の長身メガネの隊員にそう言われるセラノア。

彼は戦闘向きではないらしく、家事などをしていた一人だった


名前は………忘れました

興味もありません


「そーそーセラたんが堕天使(人殺し)とかどうでもいいんだよね〜いやほんと、こんな美味い飯作ってくれて可愛い癒し!マジ俺の嫁!」

「違うわ俺の嫁だ!」

「ええいやかましいです!!誰の嫁でもありません!!」


ここに来て、メイド服を着てから扱いがこんな感じなのだ

調子が狂うったらありゃしなかった


「………チッ」


少し遠くで舌打ちをする影が一つ

ふと、セラノアは夜の食事時に離れる人影を見つけていた


………?どこにいくのでしょう


「ちょっと休憩します」

「お?珍しい。いいよいいよ〜」


なんとなく、気になったセラノアはその人影を追うことにした


◆◆◆

「クソが……!!どいつもこいつもあんなクソ野郎にデレデレしやがって!!」


ドンッ!と強く木を叩く男

褐色肌で赤い髪の男は、口汚く一人でセラノアを罵っていた


「───誰だ」

「えっ、あ………その……」


ガサッという音が聞こえ、男が振り返る

そこには、少し不安げな表情のセラノアがいた

あからさまに嫌そうな顔をする男


「何の用だよ、害虫」

「がいっ………!?私は、セラノアです!」

「はんっ、人殺しが立派に自己主張か?私は人を殺して今はアイドルしてますってか?気色悪ぃ」

「っ……───?」


望んでこんなことしてるわけじゃ………


言葉を出そうとしたが、その言葉が出ることはなかった

代わりに現れたのは───空から落ちる、赤い汁だった


ボトッ、と妙に重さを持った音を鳴らし、赤い液体はセラノアと男の間に落下した


「───これは……」

「危ねえ!!!」


瞬間、セラノアの目の前には、赤く細い、針が目の前で止まっていた

夜目が効かず、見えないために反応できなかった

なにが起こったのか理解できないまま、地面に再びボトリと落ち、潰れた赤い液体からは、煙が噴き出ていた


「チッ………なんでこんな所に」

「……………ぁ、ありがとう、ございます」


ふと、その煙の元を見ると男の義手が液体を貫いていた

セラノアはそこで男が助けてくれたのだと理解できた


「黙れ。てめぇに感謝されることほど気持ち悪いことはねぇんだよ」


義手………しかも熱を発する魔道具のようですね


罵倒されているにも関わらず、不思議そうにセラノアはその義手を観察する

男はさらに顔を引き攣らせていた


「なんなんだよてめぇ………早くどっか行きやがれ!」

「え、えっと………食事は取らないのですか?」

「正気か?てめぇなんぞが作った飯食うわけねえだろ」


男はセラノアの質問に嫌悪感という言葉の似合う表情で答える

怒鳴って殴りかかってこないだけでもマシだろうと思えた


「………確かに。──なんで皆さん疑いもせずに食べるんでしょう?」

「はぁ???」


セラノアは男の話に一理あると考え出した

セラノアは口元に手を当て、男の存在を忘れたかのように考え込んだ。


「お前………キモいな」

「誰がキモいのですか!失礼ですよ!?」


男はさらに引き攣った顔になっている

心底気持ち悪いと思い、引いている顔だった

セラノアは一度考えるのをやめ、男のその言葉と表情に物申した


「気に入らないのなら一緒に考えてください。どうして私の料理をみんな疑いもせずに食べるのか」


色々とおかしいが、セラノアは夜、知識欲が増幅する傾向があった

それは寝ることも忘れるほどで、教科書を眠らず夜通し見ていたのもそれが理由だった


もちろん、天使に睡眠は必要ないが


「……………やってられねぇ」


男はげんなりしてそのまま隊員たちのいる基地へと戻っていってしまった

その様子を理解できないセラノアだが、遠く離れるのは危険であるとも伝えたかったので結果的に、「いいか」と自分も基地への歩みを進めるのだった

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