Link.66 アルバ
アリスの問いに答えられないアマネ
そんな中、声をかけてくれたのはアルバという青年だった
◆
「ごめんなさい」
王宮の中で、しばらく歩いているとアルバが口を開いた
先ほどまでの自信のなさそうな声ではなく、ただ真摯に謝罪を述べていた
「えっ?」
「あなたを騙したことです。僕は一般人のふりをして、あなたに庇われましたから……」
「…………はは、そんなこと気にしなくていいよ。そのおかげで、俺も少しは成長できた」
「そ、そう言ってもらえると救われます」
へにゃりと気の抜けた表情で笑うアルバ
アマネは先ほどの影響が抜けないものの、アルバに少し癒されている気がした
「そのさ、アルバはアリスの野望について知ってるのか?」
「はい」
てことは、賛成派なのか………
いや、この国は今充実してて、とてもアリスが不人気な王とは思えない
………これも一種のカリスマなのか
「僕は、戦争が嫌いです………僕の能力も、戦闘向きではありません」
「あぁ、そういえば能力があるんだったな」
「はい。落涙というキメラの能力です。」
アルバは話を続ける
どうやら少し慣れてきて、口調にも緊張の色がだんだんと少なくなってきていた
「僕の能力は感情の詮索。嘘を見抜いたり、人の感情に敏感になったり、悪意のある人を見抜けます」
「へぇ、便利な能力だな」
「はい………へへ、それで王様も僕を買ってくれています」
嬉しそうなアルバは後頭部を掻き、照れくさそうに歩みを進める
アマネもそれについていきつつ、話を聞き続けた
「………僕の姉のノーチェは、逆に戦闘系の能力です。僕たちは二人とも、愚王に実験されていたんです」
「……………そうか」
ってことは、アリスも…………
アマネがそう考えているのを察したのか、能力なのか、アルバが振り返って笑いかける
「あっ、でも勘違いしないでください!………恨みももちろんしますが、感謝もしてるんです」
「…………悪い、気を遣わせた」
「!………ふふ、あなたは優しいですね」
アルバの笑みに、アマネは心を刺されたような錯覚を覚える
人体実験など、良いものなわけがない。
「恨みもする」その言葉が意味するのは、壮絶なキメラ制作の実験であると簡単に理解できた
「ここがあなたの部屋です。その………過激な野望を持っていますが、王様、悪い人ではないんです」
「………そうかぁ………」
その言葉を聞いて、アマネはますます自分の心がぐちゃぐちゃになっていくのを感じてしまった
民から愛される王
しかし、その道に沿って進むのは荊を切り分けるしかない
………きっと、同じキメラでここにいる子たちは、みんな喜んでその荊に飛び込むんだろう
それほどまでのカリスマを、アマネはアリスに感じてしまったのだった
「アルバ、もう少し、話を聞いても良いか?」
「えっ?その、お疲れじゃ………」
「いいんだ。情報が欲しい………マズくなければ、頼む」
「──はい!」
疲れてはいる。
しかし、アルバのおかげで少し落ち着いた
アマネはそのまま、アルバからこの国やキメラについて聞くことにした




