Link.60 目線、そして声
アマネに合流するため、花冠の提案したメイドになることに決めたセラノア
真紅の樹海に出た彼女たちはとある基地に向かっていた
◆
真紅の森 夜10:00
「あーーーー!!!やっっっっと来ましたね!?!?よくも置いていって!」
セラノアはアマリリス一行に連れられ、図書館を出ると森を進んでいた。
ある程度進むとざわざわと声が聞こえ始め、焚き火が見えて来ていた
少し開けた草のないエリアにきたと思えば、突然指を刺しながら一人の青年が怒号をあげて近づいて来ていた
「アマリリス様!何度目ですか!?勝手に離れないでください!」
「ごめんごめんワイズくん」
濃い緑髪の少年はアマリリスの顔を近距離で指差して詰める。
どうやらそれなりに個人的な仲のある相手のようだ
「僕の指揮にも限界があるんです!戦線が崩れたらどうするんですか!」
「崩れないでしょ?君一人でもなんとかなるよ」
「……………あのですね」
そう言う意味じゃないんだよ………という顰めた顔をする少年。
セラノアはなんとなく気持ちがわかる気がしてアマリリスに冷ややかな視線を送っていた
「おっと………なぜか知らないけれど世間一般からのイメージが数%下がってそうだね。こほん………」
頬に汗をかき、苦笑するアマリリス
ユーフォルビアは霊体化しているようだった
「──集合」
端的に、簡潔にそう言うとその周囲にテントを張って休んでいた人々が一斉に集まって来た
ただの一言、それも全員に聞こえたかもわからないほど普通の声量
………どれだけ洗練されているのでしょう
戦線というからには、ここにいるので全員ではないのでしょうが、それでも統率力の高さが窺えますね
「えー、まず状況報告お願いね」
「はっ!左門、負傷者なし、中央門、負傷者3名、右門、負傷者2名。現在治療中です」
「血の魔物の軍勢は現在攻撃を停止。膠着状態です」
「なるほど、お互いに手は出せないね」
部下から報告を受け取ると、目を細めてそれを吟味するアマリリス。
一通り報告が終わると、セラノアの背を押して笑って宣言した
「あぁそれと!彼女はセラノア。堕天使だけど、僕の旧友の弟の友達…………あれ?他人だね?まあひとまず、彼女はこれからここの給仕として働いてくれることになったから、仲良くしてね。」
さらっとした言い方でにへらと笑って言い放った
その言葉に、隊の全員が目を見開き、セラノアを見た
中には顔を顰めてセラノアを睨む者もいる
ふと、その光景にセラノアは体のうちから湧き出るものをより強く感じてしまった
【───死………天………使】
【許さ…………い】
【お前のせい、お前のせいで───!!】
【なんで死なな…………の………?】
【───】
【辛い、痛い、苦……い、熱い…………!!!】
【お前が、お前が、お前が!!】
【天使……………天使………………!!!】
【愚………め……………】
【悪魔……………】
【私の子供をよ──も】
【────────────────】
【実……………忌………】
【死───死ね───ね───!!】
【よくも……国を───!】
【その───壊せ─────】
【─────】
【狂──死ね────】
【全員が─前の死を………願───】
【レミニ────王──なぜ───】
【熱い………………熱……………い……………あは──】
【焼き尽く────から─────も焼き──せよ】
【地獄に堕──、この─魔……】
「っ……………」
思わずセラノアは痛みに目を閉じて俯いてしまう
いや、実際に痛んだわけではない。
精神的な痛みに他ならないがそれでもセラノアにとっては何よりも効く痛みだった
「セラノアちゃん!?」
最後にユーフォルビアの声が聞こえた気がしたが、セラノアには気にすることができない
…………最近は忘れかけていたのかもしれません
あぁ、やっぱり……………許してはいないのですね
───この堕天使を…………どうか許してください
ごめんなさい…………
ごめん……なさい……………
ごめん、なさ…………




