Link.59 side:セラノア 取引
無事試練を突破し、フラクタスに迎えられたアマネに
花冠によってここはオラトリオではないと告げられたセラノア
アマネに続き、セラノアにも、試練が訪れていた──
◆
「ここは真紅の樹海。セフィロトの樹が守るべき戦線の一つだよ」
「真紅の樹海………?戦線の一つ………?」
アマネ曰く、数人のセフィロトの樹は、四方から来る悪魔の軍勢から、オラトリオを守っている任務についていると聞いていましたが………
………まさか、ここは
「最前線………!?」
「ってわけでもないよ」
「そ、そうなんですか」
なんだ、と胸を撫で下ろしたセラノアに、アマリリスはけろっとした顔で言い放つ
「けど、一人でここを抜けようというのなら、その最前線の魔物に殺されても文句は言えないね」
「……………脅しですか?」
ここから離れることは推奨しない
そうは言うがこちらはアマネを探しに行きたいと言ったばかりだ。
それを阻害する言動は脅しのほかなかった
「チッチッチ………甘いね」
しかし、想像していた反応とは違い、机の上に腰をかけアマリリスは格好つけて言葉を紡いだ
「君にはしばらく──」
アマリリスはわざと間を置き、指を一本立てる。
「──メイドとして、働いてほしいんだ」
まるで言葉にエコーがかかった様な錯覚を覚える馬鹿げた提案に、構えていたセラノアの目はジト目にならざるを得なかった
「帰ります」
「まーったまった!!君一人で帰ったとして、生きて帰れる保証はない!こちらとしては弟くんが送って来た客なんだ。信用はしてるさ!」
なぜ……と思ったものの、この図書館を見てもわかる
セラノアの命はこの人たちにとっては些細なものなのだ
それほどまでに力量差があることは理解していた
強さ故の余裕………いや、助かりますが癪ですね
「客を働かせる人はまともなのでしょうか」
「うーんごもっとも。しかし君も割と傲慢じゃないか?」
ふん、と胸を張って言い返すセラノアにアマリリスは苦笑しながら答えた
「君の衣食住は保証してあげる。ただ、人員が足りないんだ。ついでに君の主人も探してあげるよ」
「…………その代わりに働けと」
………相手は花冠アマリリス
これほどまでの実力者が共に探してくれる
悪くない条件でしょう………
少なくとも、私が死んでいないと言うことはアマネも死んでいないはず
………無事かどうかはさておき
「わかりました。受けます」
「よっし!これでディンちゃんと遊ぶ時間が増える〜!」
「…………は?」
引き受けた途端、近くにまだいた鹿に頬擦りするアマリリス。
どうやら仕事量が減る分愛鹿に構おうとしていたようだった
…………バカなんでしょうか
なんなんでしょう、この人
よくわからないですね………
天使であるユーフォルビアはくすくすと笑ってなにも口を出してこない。
よくわからないものの、この様子ならば案外苦も無くなんとかなるだろうと思っていた
──この戦場の実態を、知るまでは




