Link.47 蔓のように這う毒
急襲された体育祭
アマネ達は目の前に現れた敵に追い詰められていた
◆
「ダーナ!?」
「時間がない。急げ!」
突如、堕天使の背後から現れたダーナの指示に従い、アマネたちは部屋を脱出した。
先生も連れて行きたかったものの、そんな時間はなさそうだ
「何が起こってるんだ!?」
「わからない。が、確認しただけでも六人。人々から逃げられている存在がいた」
おそらく鏡で確認したのだろう情報を惜しげも無く教えてくれるダーナ。
緊急時には流石に嫌味も出にくくなっているのだろうな
「助かる──ってセラノア!?」
「っ…………」
セラノアの手を引きながら走っていると、ガクンと腕に強い重さを感じた。
後ろを見ると、セラノアは尋常ではない汗をかき、目は虚だった。
「大丈夫か!?っ………さっきの短剣、毒か!」
瞬間的にアマネは思考を巡らせ、この現状の原因を考察する。
それに気づいた時、ふと後ろから響く声が聞こえた
「あ〜ぁ………辛いねぇ………辛いだろうねぇ………えへえへえへぇっ………その表情を近くで見たかった………」
「…………あれは本当に元天使なのか」
どこから出したのか、2本のクナイのような柄にある穴に指を通し、揺らしながら堕天使が近づいてきていた
ダーナはセラノアの容体を責めるかと思ったものの、一瞥した後すぐに敵に向き直った
「鏡」
「御」
短く鏡の天使に指示を出すと、周囲、廊下の目の届く範囲に複数の鏡片が浮かび上がった
数枚はアマネとセラノア二人の周りにあり、守られていた
「光が効くのならば、俺の敵ではない」
「ウィッヒ!威勢がいいなぁ……」
瞬間、堕天使の白い髪の毛が紫に輝き足元からは勢いよく紫がかった荊のある蔓が2本ダーナに襲いかかってきた
「蔦!?」
「その程度のものがどうした!」
ダーナが吠えると、放った光線は2本の蔦を一撃で焼き切る。
耐久力はあまりないようだ
「ウィッヒッヒ………脆い?脆いよねぇ、強いよねぇ、君は………でも、さ?………君で壊せるなら先生なんて余裕で僕を制圧できると思わない〜?」
にんまりと笑う堕天使
ふと、セラノアを抱えつつアマネはその切られた蔦を見た
「…………っ、ダーナ!下がれ!!!」
「は?なにを──」
瞬間、焼き切れてボトリと落ちた蔦、何にも繋がっていない蔦は複数の穴を開き、煙を吹き出した
「っ………!!」
アマネはセラノアを横抱きに急いでその場を離れる。
地面から溢れる煙だったため、ダーナよりも後ろにいたアマネたちはその煙を吸わずに済んだ。
しかし、蔦を至近距離で焼き切ったダーナは──
「っ………!」
「口………隠すよねぇ………!」
「───なっ………っぁ"あ"っ!!」
煙で覆われた視界から現れた堕天使の短剣で、口を覆った腕を切られていた
切断こそされていないものの、それなりに深く、口を隠した右腕は今はもう使えないほどのものだった。
「ダーナッ!!!」
「っ………う………クソッ…………!!」
堕天使はそのまま一度切ると、煙の向こうへと姿を眩ませる。
まだすぐ近くにいるが、ヒットアンドアウェイを繰り返すつもりのようだ
「いいねぇ、いいよぉ………いいからさぁ………君のその顔、もぉっと見たくなっちゃったぁ………いけない、いけないなぁ………任務を忘れちゃうじゃないかぁ……」
言葉は廊下に響き、二人を戦慄させる
痛みよりも、言葉の方が毒だった
「………任務」
「………セラノアを殺すんだと。んで俺も攫うって」
「………逃げれるなら、逃げてください………」
「セラノアっ!」
自力で動いていなかったからか、少し話せるようになったセラノアは虚な目のままダーナに要求する。
ダーナは振り返り、頰に汗を一筋垂らした
(逃げる………俺が?……………そうなれば、また───)
なにかを考え、歯噛みするダーナ。
しかし、ふとその表情は緩んだ
「は、はは………」
「ダーナ………?」
ダーナは悪辣な笑みを浮かべ、笑う
「いいだろう、堕天使………今から、お前の1番嫌がることをしてやる」




