Link.42 楽屋
ネメシアの権能によってゴーレムを倒した一行。
そしてゴールに辿り着いたのだった
◆
『おぉ〜っとォ!!初めに出てきたのは──』
会場が一気に盛り上がる
司会の教員が腕を振り上げ、宣言した
『──シュピーゲルチームだ〜〜〜ッ!!!』
ダーナをリーダーとして登録していたらしく、司会はそのチーム名を読み上げた。
「第一会場に戻ってくるのか……」
どうやら、ゴールは転移装置になっており入ると視界は光に包まれ、次の瞬間には活気あふれる第一会場に転移していた
アマネは楽しげに周りを見回す
初めてここまで来れたためにかなり興奮が隠しきれていないようだった
「こ、これって手を振るべきかな?」
「たかがこの競技での一位ですよ。下手に恥を晒さないでください」
「久しぶりの辛口ぃ……」
そわそわとしてセラノアにそんなことを聞くといつも通り、この競技中はなかなか見なかった辛口評価が復活していた
ただ冷たく見ていたので本気でそう思っている様子だ
「それを相談する地点ですでに無様だ」
「いーだろ別に初めてなんだよ……」
ダーナからも同じような意見を飛ばされ、少し落ち込むアマネ。
どうやら少し先の戦いであの二人は息が合ってきてしまっているようだった
「はぁ……流石に疲れました………魔力が……足りない」
「全く……軟弱な!」
アニスさんたちも無事ではあるようだが、戦いで魔力を使いすぎたのかかなりげっそりとしていた
契約者となったからには、魔力が枯渇すると逆に不調をきたす。
簡単に言えば魔力への依存性だが天使と共に生きる契約者はそのデメリットを帳消しにするほどの戦う力を持っているのだ
「こちらです」
「あ、ありがとうございます」
結局軽く手を振って満面の笑みで退場したアマネは楽屋近くで案内をするスタッフに連れられて移動した
個々人の楽屋が用意できる規模なのだからやはり世界トップの学園だと認識せざるを得ない
地下では禁止されていたが、セラノアはやっと浮けるようになったために足を霊体化してついてきていた
この快適さに表情を和らげている
「今回はあまり出番がありませんでしたね」
「まあでもいい経験だよ」
軽く反省会を移動しながらしている二人
しかし、ふと少しの違和感を覚えた
「あれ?そういえば、ここって楽屋の通路だっけ」
「おや?確かに、前来た時と見た景色が違う気が……」
あたりを見ると、開催前に待機していた地上の楽屋ではなく、どうやら一階下の地下の楽屋群のエリアに来ているようだった
「あの……俺たちの楽屋って確か1Fにあるはずなんですけど」
「………」
少し、おかしな空気を感じた二人は警戒を強め、目の前のスタッフから目を離さないようにした
ゆっくりと、スタッフが振り返る
不気味な空気が辺りを支配し、二人は緊張の汗をかいた──
「───あれぇっ!?そ、そうでやしたか!?すいやせんね!」
瞬間、その空気は霧散した
スタッフは軽いノリで頭を掻くと地図を確認して謝罪をしてきた
その様子に少し呆気に取られた二人だが、どうやら杞憂だったようで胸を撫で下ろした
「あ、あぁ……いえいえ大丈夫です!……そうだ!今回よく周り見てなかったし、せっかくだからこの周り見てもいいですか?」
相手が別に敵意も悪意もなさそうだと判断すると、アマネはスタッフにそんな提案をした
スタッフ側もきょとんとしたが、すぐに満面の笑みを浮かべてアマネの手を取った
「へっ?あぁ!ありがとうございやす!いやぁ拙者も日雇いなもので………へへ、ちょっと道に迷っちまったんです」
少し不思議な話し方だな、と感じる
しかし、この話し方は東の国の訛りに似ており、そう言う人もたまにいるため深くは気に留めなかった
「そうですね、私も少し見てみたいです」
「んじゃ決まりだな!スタッフさん、お願いします!」
「はいっ!」
地下に並ぶ装飾の施された楽屋を、三人は少し見て回ることになった。




