Link.35 表か裏か
この競技のゴール条件に気づいたアマネたちは先を急ぐ
しかし、どうやら背後に迫る陰謀は一つではないようで……
◆
「なっっ……がいな」
「どうやって学園の地下にこんなに長い通路を作ったんでしょう……」
広く暗闇で先が見えないほどに広がる空間に一同は疲弊していた
休むこともこの橋の上ではままならず、進む以外の選択肢がないのだ
「静かにしろ……気が散る」
相変わらずの口でダーナは呻く。
そんな様子に汗をかきつつ苦笑するアマネは現状頭が回りそうになかった。
「………主よ」
「うぇっ!?喋れるの!?」
突如として口を開いた目隠しをしているダーナの天使。
非常に不気味な容姿をしているが、どこか神聖さを感じるその天使は低い声で、しかしはっきり聞こえる声で言った
「──崩れる」
「はっ?」
「なっ……アマネ!!」
「わっ、きゃぁぁぁっ!!」
「チッ!」
その宣言の直後、背後から小さな音が響いてきた
その音はだんだんとこちらに近づいてきていて──
視界にその音を出す対象(壊れる橋)を目視した時にはもう遅く、足元に残るのは浮遊感のみとなっていた
粉々に砕けた橋と共に一同は下に向かって落下してしまったのだった
◆◆◆
『おぉっとぉ!?シュピーゲルチーム!思わぬ落下だーーー!』
観客の集うこの楕円形に広がるの第一会場。
天井のある大規模なドーム型の建物であるが故に、その外周は天井があるだけの屋外とも言えるような観客席ではなく、完全な屋内となっている。
ほとんどの人がモニターの見えやすい観客席にいる中、二つの人影はガラリとした屋内の2階廊下に足音を響かせていた
「なァ主殿?わざわざここに来た理由はなんだ?別に俺たちはここにいなくてもいいだろ?」
一人の黒いスーツを着た男が隣にいる小柄な男に話しかける
小柄な男は気配の揺れも全くないほど落ち着いて、目線を会場の巨大モニターに向けた
「………」
「はぁ………はいはい、確かにそォだ。念話で話さなきゃァいつ聞かれてるかわかったもんじゃねェしな?」
呆れるような、そんなため息混じりの声で何も言わない男に答えるスーツの男。
どうやら二人は契約している契約者のようだった
「ったく面白味がねぇご主人様だぜ?ホンっト」
モニターから視線を通路の先に戻した小柄な男は、ふと目を閉じ、右手の手のひらを空に向け、前方に突き出した
「さて、何を得て、何を賭ける?」
「──"味方"の一時的な認識阻害。あとは任せるよ」
男の声が初めて発せられる
宣言であるそれを聞いた長身の男──黒い輪を持つ男は口角を不気味にあげ、宣言した
「ならばお前の『存在感』を賭け金としよう。失敗すればお前は誰からも認知されなくなる」
「好きにしなよ」
そう言うと、主人である男の手には一枚の金のコインが生まれていた
「『表か?裏か?』」
笑みを深めた堕天使である男は問いを口にした
そして、窓の外の観客の歓声に目を向けると、すぐに契約者の言葉に耳を傾けた
まるで、すべて予定通りの指揮者のように
「───"裏"だ」




