Link.31 チーム
第一競技「地下対抗チーム戦」が開始した
落下するアマネたち
その先に待ち受ける人物とは──
◆
「っ──!『風撃』!!ってあれ?」
暗闇に落ちると、煉瓦造りの床が近づいてきた
落下の衝撃を和らげるために風撃を放ったものの、風はアマネに干渉することはなかった。
そんなものは関係ないと言わんばかりに地面につく寸前に落下は止まり、衝撃はまるで吸い取られたように消えてそのまま静かに着地した。
「安全設計だな……当たり前か」
ふと周りを見渡すと自分の他に2人の人間が同じ部屋に落ちていた
一人は黒い髪の中に濃い緑の毛が目立つ大人しげな女生徒と……もう一人は見覚えのある顔だった
「なっ………」
「だ、ダーナ!?」
もう一人の金髪の男はダーナ。アマネのクラスメイトであり貴族の男だった。
宣戦布告に似たことをしてきたあまり仲は良くない男だ
「………どなたです?」
「あれだよ、体育祭前に潰すって言ってきた人」
「あぁ、あの小物ですか」
「ちょっ……セラノア!?」
どうやらアマネのチームはこの3人のようだった。
それぞれの天使も共に落ちてきたようで、一人はセラノア。
もう一人は赤髪の活発そうな女性天使
そして最後に藍色の髪に褐色肌と目隠しが目立つ巨大な天使だった。
は、初めて見たな……ダーナの天使……
全長2m以上はありそうだ……
「……何を見ている」
「あっ、いやなんでも!」
ダーナが恨めしそうにこちらを睨んで言う
それに対して下手な諍いを起こしたくないアマネは誤魔化していた
「そ、その………いい、ですか………?」
「あ、ごめん。何?」
「えっと………その、チームみたいですし……自己紹介、しませんか………?」
最後の一人であるおどおどした少女は小さく手を挙げ、おずおずと口を開いた。
アマネはその様子に申し訳ないことをしたなと思いつつ、視線を合わせるためにひとまずしゃがみ込んで話を聞くことにした
「名乗らずとも知っているはずだろう」
「いや知らないから聞いてると思うんだよ……えっと、俺はアマネ。よろしく」
「ゎ、わたっ、わたたしはアニ……スと申します」
どうやらフランクに来られたことに緊張したのか、ダーナの圧に怖がったのか声がどもるアニスという少女。
それを見た背後にいる赤髪の天使がアニスの肩を掴んで言った
「なんだ情けない!!我が主人ならシャキッとしろ!この腑抜け!」
「あぅぅ……」
どうやら見た目通り気の強い天使のようだ
よく見ると両腕は半袖で、タトゥーが入っていた
思っている以上にクレイジーなのかもしれない
「えっと……結局あなた……様はなんと言うお名前でいらっしゃいますでしょうか………?」
明らかに普段よりも勇気を出して頑張っていることが伝わってくる。
普段を知らない身でも、こういう第一声が得意な性質ではないのだろう
「えっと、この人はダーナ。ダーナシュピーゲルだよアニスさん」
「ふん」
「え、えっと……よろし……シュピーゲル!?し、しししし真理の………!?」
「……チッ」
何に驚いているのか
いまいちダーナに興味のないアマネは深く考えずにこの部屋を観察した
「お、蝋燭あった。これか!青白い綺麗な炎だな」
「見ればわかる発言は馬鹿の専売特許だな」
「………刺々しいの今はやめない?」
「ふん」
チームだと言うのにあまりにも協力する気のないダーナにだんだんと苛立ってくるアマネ。
苛立てるということはそれなりに自分の意思をしっかりと持てていると言うことでもあるのだが、それを本人は知る由もない
「ぉ、おちついて……」
「はぁ……ごめんごめん。冷静になるよ」
「ふん、早くしろ。この火がゴールへ導く道具だろう?」
「お前なぁ………!はぁ、もういいよ」
これから起こるトラブルの数々を想像するだけで頭が痛い。
アマネはダーナのことは置いておいてこの試験の攻略に神経を向けた
「この炎、揺らぐ方向が一定ですね」
「あ、ほんとだ………!」
「確かに、流石ノア!」
「………誰でも気づくだろう」
セラノアが炎を覗き込む。
そして一つの法則性を見抜くに至った。
炎はどうやら部屋の扉に揺らいでおり、どう言う理屈か部屋を出ると揺らぐ方向が変わっていた
「これ通りに行けば……!」
「ゴールできる………!」
「頑張ろう!アニスさん」
「はいっ!」
「あー……ダーナ……くん?もな?」
「やかましい」
方向性だけは一致団結(?)した三人は部屋を出て第一競技の攻略を開始した




