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エンゲージ・リンク  作者: 花酔
第一章 問いと契約のオーバーチュア編

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3/90

Link.3 残響都市③

学園の「落ちこぼれ」アマネ

彼はクラスメイトの命令により、亡国「レミニセンス」の廃墟に来ていた

とある教会を探索していたところ、足場が悪く地下室まで落ちてしまった

──そこにいたのは、鎖に繋がれた不思議な少女だった


◆


「あなたは誰ですか」


そう言った少女の顔は天井のガラスから差し込む月明かりに照らされ、よく見えた


赤い目に、黒い髪、どうやら白い毛もその(黒髪の)内側にあるようだ。

月明かりに照らされた少女は、自分と変わらない年頃に見えた。

しかし、一点においては自分と──人間とは違う


それは──


「黒い………天使の輪(ヘイロー)………!?」


月明かりでやっとわかった。

あれは暗いからそう見えたんじゃない

──始めから黒かったんだ


アマネはその事実に驚きつつも思考を回していた


本来、天使とは白い髪の毛を一部に持ち、かつ白い天輪(ヘイロー)がその頭上にある力ある存在を指す。

そんな中、彼女は天使に違いないのだろうが特異な黒い天輪(ヘイロー)を持っていたのだ


それが指す意味は──罪の証

──堕天使(だてんし)という種族だった


「っ……」

「……質問に答えてはどうですか。人(・)と(・)し(・)て(・)、無視は褒められたものではありませんよ」

「えっ?あ、あぁ……」


黒いヘイロー──堕天使。

人を一人でも殺した天使はその罪により天輪は黒く染まる。

犯罪者などにはたまにいるものの、一般人が目にすることは滅多(めった)にない存在に間違いないのだ


"人"としての常識を堕天使に咎(とが)められたことで、少し冷静になったアマネは躊躇いつつも声を発した


「お……俺は、アマネ……」

「アマネ、覚えておきます。私はセラノア。よろしくお願いしますね」

「へ?あ、あぁ……?」


よろしくおねがいします?

な、何を言ってるんだ?

まるでこれからよろしくみたいな──

いや、でも………もしかして


天使と契約をすれば人間は魔法を使える。

それはおそらく堕天使も含まれるだろう


──つまり、契約すれば俺も……!


「あぁ、忘れていました」

「へ?」

「答えてください──あなたの「欲」はなんですか?」


よく?ヨク?……欲?

なんで、そんなこと聞くんだ………?

天使との契約って、そんなのいるっけ……?


天使との契約は単純なもので、とある木の元で祈(いの)ればいい、あとは気に入られさえすれば契約できるのだ

その質問の意味がわからないアマネは混乱して言葉を発せずにいた


「……え、えっと」

「なにかあるでしょう?」

「──……」


──あれ……?

俺って……なにがしたかったんだっけ


欲について聞かれ、アマネは一つくらいあるだろうと考えた。しかし、思いつくものはなかった


その様子を察したのか、セラノアはため息をひとつついて立ち上がった


「欲のひとつもないのですか」

「え、えっと……」



「──面(・)白(・)く(・)な(・)い(・)人(・)で(・)す(・)ね(・)」



少し残念そうにそう言い放つと、目を閉じてセラノアはアマネに背を向けてふわっと姿を消してしまった


「まっ、待って……!」


しかしその声はもう虚無に消えるだけだった

手を伸ばしたもののその手は空を切っていた


「………面白くない………」


アマネは消えたことを実感し、しゃがんでため息をついた

何が何だかわからない状況だが、静かなアマネの世界では、その一言は少しの揺らぎを与えていた

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― 新着の感想 ―
3話まで読ませていただきました! 「誰もが天使と契約する世界」で、天使に選ばれないアマネという設定がまず面白いです。廃墟探索から鎖に繋がれた少女との遭遇、さらに黒い天輪を持つ堕天使という展開に一気に…
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