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エンゲージ・リンク  作者: 花酔
第2章 巡る思惑のカノン編

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29/92

Link.28 予選

ゴール前に立ちはだかる先輩

思惑はわからないが突破しなければならない壁は高い

しかし、セラノアはどうやらその方法を見つけたようで──


◆


『あれは重複された魔法です』


念話でアマネに話しかけるセラノア。

周りに情報を渡さないためである


『『痺画(パラライズ・ベール)』は本来触れない魔法。となると触れるのはきっと他の魔法が重なっているからです』

(──『障壁(バリア)』に付与してる?)

『はい。きっと同じように『障壁』に風属性の何かを付与しています……どうやってそれを発動しているのかは分かりませんが』


二人はまだ付与魔法について詳しくない。

2種類ある付与魔法のうちの一つを使ったこの障壁は、魔法の効果を物体に刻み込み、条件を満たした時だけ発動させるものだった。

2種類はそれぞれ地雷や罠のようなものと燃え続ける松明に近いもの。

共通点は持続性と自動性に優れたものなのだ


(つまり言いたいことは痺画と風を攻略すればただの障壁ってことか)

『はい』


軽い情報共有が終わると、アマネは壁の前に立ち、できる限り近づいた。


「……誰かは知らないけど先輩」

「おや?ここを通るのかい?」


他の生徒を見ていた先輩と思しき人物は二人を見る。真正面から近づく二人に興味があるようだった


「──ええ、通していただきます。『炎撃(フレア)』!」


アマネが真剣な目で構え、セラノアが丁寧に一礼すると、セラノアはそのまま流れるように素早い動きでバリアに触れず先輩に向かって炎を放った


「無駄だって──」

「それは、見てのお楽しみです!」


そしてそのまま継続的に炎を出し続けるセラノアは手を近づけていく。

手のひらが自身の出した炎に触れるほどまでに近づけている。


──痺画は発動していなかった


「準備はいいですか?」

「ふふ、どんとこい!」

「じゃー失礼しますね!避けろノア!」


セラノアが問うと先輩は楽しそうに答える。

そちらに視線を向けた瞬間、アマネはセラノアの背後から攻撃を仕掛けた


「『雷撃(ボルター)』!」

「っ!!」


セラノアは振り返ることなく僅かに身をずらす。

セラノアの出す炎の中に手を突っ込んだアマネはその手のひらから雷撃を放った。

炎の魔法によって雷属性の痺画は相殺され、雷の魔法で風属性を相殺する。


相性の有利な属性を重ねることで、障壁だけを直接攻撃できたのだった


「『貫っ……ぬけぇぇっ!!』」


全力で叫びながら気合を入れて雷撃を放ち続ける。

すると、次第に障壁にヒビが入り───


バリン!と音を立てて透明な破片が宙を舞った


しかし、それは一部分のみで体が入る大きさの穴ではなく──


「──ほへぇ〜!うんうんっ、合(・)格(・)!」

「へっ?」

「えっ?きゃっ!?」


前のめりに魔法を維持していた二人は突然大きく開(・)い(・)た(・)障壁にバランスを崩して倒れ込んでしまった


「君たちはちゃんと勉強してるね〜。属性相性をよぉく見抜いた!風は特に見にくくしたつもりなんだけどねぇ」


あっけらかんと話すその先輩の話には、悔しさなどは全くなく、振り返るとすでに開いた穴は閉じていた


「さ、ほら早くゲートをくぐりな?あーと1分〜!」

「はっ?ちょっ、急ごうセラノア!!!」

「は、はい!!」


二人は状況がよくわからないまま再びカタパルトを使ってゲートをくぐり、第二会場に向かった


「っしひとまず──」

「ゴール……です!!」


二人はギリギリ第二会場の門を潜った。

瞬間、ビーッ!!!という強い音が鳴り、予選試験の終了が宣告された


残り制限時間──0分

アマネ・セラノアペア、予選──合格

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