Link.20 火球
体育祭が近づくオーバーチュア理想学園
アマネは今年も出場することを決めた
しかし、それがクラスメイトの貴族「ダーナ」からの反感を受けてしまった
宣戦布告を受けたアマネは、気にしないことにしつつ、優勝を心の中で目指すのだった
◆
〜エルツの魔法実践学〜
魔法訓練室にて
「おぉ!出せた!」
「ようやくですか」
アマネはロゼとの邂逅からずっと、エルツ教授の元で魔法の実践勉強を行なっていた
今行っているのは火の魔法だった
「放出系ってイマイチイメージしにくいんだよ……」
「ふっ、想像力が乏しいですね」
教授にも軽く説明し、セラノアも魔法訓練に参加している。
セラノアはすでに火の初級魔法は使えるようになっていた
「魔力の変換にも慣れてきました。今のアマネ程度の消費量、息を吸うように私の生産スピードのほうが早くできます」
「そりゃ心強い……っつったってまだ初級も初級、一年生の範囲だからそりゃな……」
今まで習った魔法は無属性の基礎魔法。
身体強化や収納、そんな常識的な魔法を習得していった。
やっと迎えた属性魔法の訓練。
アマネは数日難航し、やっと今放つことができたのだった
「おぉ〜!上手くできたみたいだねアマネくん」
「あ、エルツ先生」
「こんにちは」
手を光を防ぐバイザーのようにしてドアを開けて部屋に入ってくるエルツ。
エルツの目線の先には少し焦げた的があった
「どうだい?火球は」
「難しいっすね……イメージはできても自分がやるってなると感覚がわかんないんで」
エルツは一つ、何もない場所に手を入れて杖を取り出す。
アマネが最近習得した「収納」という基礎魔法だ
体重の分だけ負担なく魔力に物を包んで保存できる。物をデータ化して保存するような魔法だった
そしてその杖を的に向けると、その優しげな声のまま一つ唱えた
「『火球』」
その瞬間、アマネよりも圧倒的に大きく速い火球が的の中心に命中した。
着弾すると、火球はその炎をぬらりと的に這わせて蛇のように的をすぐ焼き尽くした
「僕は火魔法得意なわけじゃない。ただ、イメージでプログラムすれば魔力はそれに応えてくれる。
信じるのが大事だよ」
「なるほど……」
アマネが考え込んでいると、エルツが一つアマネに問いかけた
「アマネくんは今年の体育祭出るのかい?」
「はい」
「おお!でもそれなら早く多くの魔法を習得しなきゃね。セラノアさんの権能が使えないのなら尚更基礎は早くしなきゃだよ」
「はは……」
目標は優勝だが、もちろん根拠はない。
完全に大きすぎる分不相応な目標だった
なにせ周りが使える権能を、セラノアは使わない、使えないのだ
つまり……
(落ちこぼれが二人に増えただけ……)
『失礼な。魔法に集中できるのですよ』
「どういうこと?」
「相手は権能を織り込んだ戦い方をする。そしてそれは全員がそうです。私たちが権能を使わない情報を出さなければそれだけで相手に情報戦を仕掛けられます」
セラノアの意見は尤もだ。
権能は使えないのなら幅は狭くなるが戦い方を定めることができる
1年程度では習得しきれない量の魔法があるのだ。
大会までに少しでも役にたつ魔法を覚えれば勝機は十分にあった
「ところで、まだ基礎なのですね」
「うん。無属性の身体強化と収納は基礎中の基礎。だけれども火球や水球は各属性の基礎。これができなきゃ何しても危険なんだよね」
簡単に言えば、それぞれの魔法の特徴を理解するには〜球系の基礎魔法を会得するのが一番なのだそうだ
それができなければ理解度が足りず、暴発する可能性が高いようだった
「ちなみに暴発したら?」
「威力は高くなるけど自分もダメージを受けるよ。それも一回で再起不能な程に」
「えぇ……」
「魔力暴走ってやつさ。自分が出そうとした魔力が詰まってから爆発する。大きすぎるイメージに魔法を出す管が適応しきれずに爆発しちゃうのさ」
アマネとセラノアは両者共々それを想像して少し青くなる
お互いに無理はしないでおこうと念話で確認を取る二人であった
「一回最大出力で槍作成の魔法とかしてみる?」
「死ぬっつってたじゃん!」




