Link.12 あの日
エルツの魔法実践学の1日目が終わり、玄関に倒れるアマネ。
原因は魔力の性質の一つ、天上力がに適応しきれず痺れたことだった。
夕食を食べ、回復したアマネはセラノアにも経験を共有し、二人は「魔力」を感知し動かす感覚を身につけたのだった
◆
「はぁぁぁぁ……」
翌日、アマネは学園の教室の自分の机でまたもや、ため息をついていた
当然その原因はセラノアのヘイローについてだ。
真っ黒に染まり、かつ一部の砕けたそのヘイローは一度姿を現せば大体バレるだろう。
そんな状態で登録など無謀に等しかったのだ
「どうしたもんかなぁ……」
ふと、セラノアが今朝作ってみたと言う魔力を操作してみる。
天使は契約者から初めにもらう血のデータとマナから魔力を作り、自分や契約者に渡すことで魔法を使えるのだ。
今朝はそれを試していた
先日のように痺れることもなく、体内にそれが違和感なく巡っているのが感じられる。
曰く、天上力と淵下力が50%50%ほどの一般的な魔力だそうだ
一般的な配合なんてどこで知るんだか……教科書か
ふと寝ている間にセラノアが盗み見した教科書の存在を思い出して腑に落ちる。
痺れもしない快適な感覚なのでつい手遊びをするように魔力を指から指へ伝わせて遊んでいた
『───!2年Aクラス、アマネくん。至急応接室までいらしてください』
「うぁびっくりした!?」
放送が教室に響き、アマネが呼ばれる。
驚いて飛び上がるように席を立つと、周りからの下手な注目を浴びてしまった。
そそくさと教室を離れ、アマネは急いで学園内の応接室に向かうのだった
◆◆◆
「失礼します」
コンコンコン、とノックをしてから扉を開ける。
そこには、黒い長髪の整った顔をした男が座っていた
「えっと……」
周囲を見渡すと先生がいない。
どうやらこの見覚えのない男しかいないようだった
「初めまして。貴殿がアマネか」
「えっ?あ、はい……」
なんだこの人……どこかで見たことある気が……
ってか威圧感が……
『注意してください。薄くですが、警戒しています。穏やかな話ではないでしょう』
(セラノア?)
『……今、私たちは戦う力を持ちません。この意味を理解しておいてください』
耳元で声が響き、意識をそちらに向けた瞬間、男が目を細めた。
一挙手一投足が、セラノアの忠告によって緊張へ変わる。
気のせいかもわからないほどアマネは体が強張っていた
「………ふっ、そう緊張しなくてもいい。私はロゼ。とある団体の長をしている」
「は、はぁ……」
一筋の汗が伝うほど緊張している状態だが、それでも促された通り向かいのソファに座る。
一応は話すつもりのようなのでアマネも無下にするわけにもいかなかった
「そして私には8歳の娘がいてな、心当たりはあるだろう」
「娘……?あっ」
ふと、そのタイミングでセラノアと契約したあの日のことを思い出した。
あの時、契約のきっかけは逃げ遅れた少女のためだった
「貴殿のおかげで娘の命が助かった。まずは感謝を伝えさせてほしい」
「い、いえ……でもわざわざそのために?」
「そうだと言ったらおかしいかね?」
「い、いえ」
なんだ、普通にいい人そうじゃん……
感謝を伝え、頭を下げるロゼ。
アマネの問いに優しく笑ってそう答える姿には、少し安心感を覚えた
「──だからこそ」
「えっ?」
──瞬間、空気が変わった。
目を伏せたロゼは、とたんに当たりが暗くなったと錯覚するほどの威圧感を帯び、こちらをただ、見ていた
それだけなのに、体が動かなくなってしまう
思考が回らない
体がさらに強張って、動けない……!?
「私はあの日、娘が見たと言うものを知らなければならない。」
「っ………」
空気が詰まる。
声が響く。セラノアが何かを叫んでいるが何も聞こえない。
ただ、目の前の男の声が頭に響くようにこだましていた
「──黒い天輪を、知っているな?」




