Link.11 魔法実践学④
エルツの魔法実践学に向かうと、そこにはアマネと同じ境遇だった「ルピナス」という少年もいた
元々そのおかげで友人だったルピナスは、アマネに天使がついたことを祝福していた。
エルツはそんな二人に魔道具と魔法の基本的な説明を"目で"見せるのだった
◆
「はぁ……疲れたぁ」
靴を脱ぐ気力もなく、そのまま玄関に倒れ込む。
あの後、少しだけ講習を受けると「もう遅いし今日はここまで!」と打ち切って終わらせてくれた。
自分の部屋のドアを閉めると、すぐさま玄関に倒れ込んでしまった。
正直……痺れてエネルギーを使いすぎたから腹が減った……
「……虚弱ですね」
「他人事みたいに言うなよ……セラノアも興味あるならやる?」
セラノアは目の前に霊体化を解除して現れる。
その目は呆れを強く表していた
助けてはくれないようで自力でなんとか起き上がった
「今日は何食べたい?」
「正気ですか?そこで倒れた人に作ってもらうほど残酷ではありませんよ」
「え?」
そう言うと、「そこに座っててください」と言いセラノアはエプロンをつけて料理を始めた
少し意外な光景に固まっていたが、ふと油と醤油を間違えそうになっていた所を見て我に帰る。
結局二人で夕食を作ることにした
◆◆◆
「結局、お前どこにいたんだ?」
「ずっと真上を浮いてましたよ」
「はい?」
夕食が終わり、ベッドの上に座って座学の宿題をするアマネ。
そんな中、セラノアは足だけを霊体化させて天井近くまで浮遊して見せていた
「まあいいや……そうだ、魔力の感じ方、まだセラノアは実践してないよな?」
「はい」
「まだ教授からもらった分が余ってるし、やってみようぜ。ほら手」
「……変態」
「これくらい許せよ!?」
特に照れるでもなくただただ軽蔑の表情を浮かべるセラノア。
これは放課後の実践学で受けたもので、魔力を他人から流してもらい、それで魔力の流れや感覚を知ると言うものだった。
もちろんセラノアも見ていたのだが、第三者には説明があってもしていることは男同士で手を繋いでキャッキャしている光景だった
「私そう言う趣味はありません」
「ボケてんの!?わざとだよね!?ネタだよね!?」
「さあ?」
「いーから!ほらはやく。魔法会得したいんでしょ?」
「仕方ないですね。そんなに手を繋ぎたいのなら」
「もーそれでいいよ……」
そう言いつつ、アマネとセラノアは片手を繋ぐ。
放課後の訓練で覚えた魔力の感覚を相手の手に送るイメージをするアマネ。
すると、セラノアは少し驚いたような表情をした後、手に意識を集中させた
「どう?痺れる感じする?」
「しませんね。魔力はわかりました」
「あれ?痺れないの?」
なお、アマネが教授から魔力を送られた時は魔力の伝った場所が痺れて痛みこそないものの、座りっぱなしから立った時のような痺れが全身に回っていた
「ふっ、虚弱なのではないですか?」
「腹立つ〜……けどマジでそうっぽいからなんとも言い難い……」
鼻で笑うように言うセラノア。
不思議そうに手を閉じ開きするアマネを見てセラノアは再び手を取る
「もう一度してみてください。少し気になることがあります」
「ん?わかったよ」
セラノアが再び魔力を受け取ると、口に指を当てて考え込んでしまった。
もう教授からもらった分の魔力がなくなったことに気づき、アマネは少しやってしまったなと感じだが、セラノアの少し真剣な表情を見てまあいいかと許容した
「……これは、天上力が多い魔力ですね」
「天上力が?」
「はい……私と契約しているから、天上力に拒否反応が出ているのかもしれません」
「それってセラノアが苦手な力だからか?」
セラノアの分析によると、天使が本来許容し、好むマナ。天上力は堕天使にとっては元は好んでいたものの今ではそうでもない力になっているそうだ
そのためセラノアは元々天上力を知っていたから痺れなかったものの、どちらも知らないまま堕天使や悪魔の好むマナである淵下力が馴染んだアマネは少しの拒否反応が出たようだった
「まぁ……魔法はマナであればなんでもいいから別にいいか……きっと慣れるよな?」
「はい。そうだと思います」
(ならば、なぜあの教授は天上力の割合が多い調合をわざわざした魔力を彼に……?……普通の天使なら気分のいい贈り物ですし、深く考える必要はありませんか)
ふと嫌な予感がしたセラノアだったが、今すぐ何か起こると言うならあの場で起こっていた、と結論付けてしまい、考えることをやめた。
「そういえば、明日中にお前の登録をしなきゃな」
「言っていましたね。……認識が合っていれば、堕天使ではまずいのでは?」
「……確かに?──あれ!?やばくない!?」
この人は結局こう言う人なんだな、と少し呆れたセラノア。
頭を抱える自分の契約者にため息を一つはいて窓から夜空を眺めていた
【星を、俺は後何年見られるだろうな。見られなくなったら、───はお前に任せなければな】
「……もう星が見えなくなってしまいましたね」
頭の中にノイズ混じりの言葉が響いた気がした
町あかりのせいで浮かばない星に、一つセラノアは言葉をこぼすのだった




