第29話 バロックの音楽家 eins
バロックの音楽家、カールの人生。
カール: 1708年のドイツ(ディンケルスビュール)に産まれる。
両親は二人とも音楽家として活動していた。
それに感化され、カールはドイツ一の音楽家を目指した。
カール「ワタシの名はカール、ドイツの音楽家だったものだッ。」
カール「かつて色々あってねェ...こうして霊体となり、ここへ来たんだッ!」
その色々も気になるところだけれど、何より渡くんだ。
意識が戻らない。
ずっと目を瞑ったまま起きない。
目瞑ってたっけ。
カール「ンンン...目を覚ますまで時間がありそうだ。
...そうだなァ、ではちょうどいい。話してあげようッ。ワタシがなぜここに居るのか。そして」
ーーーー「なぜ君を知っているのか。」ーーーー
「いやァ、どうもどうも。ご清聴ありがとゥ。」
ここは自由都市ディンケルスビュール。
小さな小さなこの町に、一人の青年がいた。
青年は、音楽家として活動していた。
それはそれは一生懸命に、熱心に活動していた。
演奏会に集まるのは20人程度。
ただ、日に日に参加する人は増えている。
そこにやりがいを感じ、毎日活動に励んでいた。
曲を沢山作り、演奏し、少しずつ、確実に。彼の世間的評価は上がっていた。
ーーー二年後ーーー
「明日の演奏会ッ!参加者は約200人ッ!小さなこの町で行うには大きすぎるほどッ!」
青年は自分を奮い立たせるため、大声で言った。
明日、今までで一番の拍手喝采が鳴り響くだろう。
本当に楽しみだ。
青年はそう思った。
それと同時に、不安があった。
200もの人間に対し、自分の演奏が通じるのか。
評価されるのか。
カールはこう考えた。
200人の人間全員を魅了する。
それは難しいことだ。
しかし、自分の演奏には少なくとも、誰かを魅了する力がある。全員じゃなくていい。一人でも。
一人でも拍手をしてくれるだけでいい。
そう考えた。
ーーー演奏会終了後ーーー
「ありがとうッ!!」
歓声、拍手。
カールは、人生で初めての光を見た。
眩しく、美しい。
ギラギラと照るその光は、まさにカールの心情を
表していた。
カールは、自分の名を心の中で呟いた。
ーーーある夜ーーー
カールは自室で寝ていた。
横の机上には、30もの完成した楽譜、そして完成間近の楽譜がある。
それは今までで一番の出来だった。
カールは5日間、寝ずに曲を作り続けていた。
しかし、これ以上の無理をすれば、いい曲は作れない。そう考え、カールは仮眠をとっていた。
ガチャッ
カールの部屋のドアが開いた。
カールは気付いていない。
さすがに疲れがたまっているため、少しの物音では
体も動かない。
開いたドアから、痩せた男が部屋に入ってきた。
男は机を見た。
男はカールを見た。
男は、机の上の楽譜を手に取った。
「ッ!?」
「誰だ君はッ!!」
男「ああ!クソ!」
男は右腕を振り上げた。
ナイフを持った右腕を
男「お前のっ!せいで!」
男「お前のっ!せいで!」
男「お前のっ!お前のっ!」
ーーーお前のせいでーーー
いやぁ、歴史は繰り返させない。
恩人のためなら尚更ね。(伏線)




