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5話 出会い2

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馬に乗ってきた人は俺たちの足元近くにある斬撃痕をチラリと見る。そしてこちらに向き直る。兜を被っているため確かなことは言えないが、その目が警戒の色を帯びてるとなんとなしに感じる。俺は焦りを見せないように目を合わせる。


「何があったかの説明を求める。もちろん。嘘偽りを吐いた時点で貴様らは刑罰の対象になりえることを覚悟しておけ。」


声で決めつけるのは良くはないと思うが、おそらく女性だと俺は感じた。アメノに助けを求めたいところだが、下手に目を合わせるとよくない勘違いが生まれる可能性があるためグッと堪える。


「…実はさっき男に襲われて殺されそうになってたんですよ。もちろん俺たちは相手に手を引くよう伝えましたよ。けどそれでも襲ってきたので仕方なくで…。」

「それでここまでの戦闘痕が発生するものか。戦闘をしたというなら誰と戦闘したというのだ。」


確かにここまでの痕がある戦闘はなかなかないだろう。


「髪は白髪で短髪。体はそれなりに筋肉があったな。後は…「耳にイヤリングを付けてたよ」…らしいです。」


俺は先ほどまでアメノと対峙していた男の容姿を思い出しながら話す。途中でアメノが思い出したかのように補足説明をする。目の前の人は空を見上げるように考え込む仕草を見せる。


「…その男は何と言っていた。」

「確か…。俺たちとマジの戦闘をするとかどうとか。」

「…なるほど。そいつは指名手配中の盗賊である可能性が高いな。…戦闘があり、それが正当なものであるとまず認めよう。」


ホッと俺は胸を撫でおろし、アメノはフッと息を吐いた。


「それでは身元の確認をできるものを提示してくれ。」


空気が凍った。大前提として俺は異世界転移者で身元を保証できるものは存在しない。アメノに至ってはなおさらである。一応は俺の妹として話を通すつもりだが、俺の身元が保証できない以上意味のない設定である。今までは焦りを見せないために目を向けなかったアメノに助けを求めるように目で見やる。


「私たちは異世界転移者で、身元を保証できるものはないの。」


どおやら異世界転移は言ってはならない言葉的なものではないらしく、目の前の人は特に驚いた様子を見せない。(兜を被っているから恐らくだが)


「ならば左手の甲を見せてくれ。」

「?別にかまいませんけど…。それが今の話となんの関係があるんですか?」


俺は疑問に思いながらも手の甲を見せるように腕を差し出す。その時だが、俺は自分の手の甲に淡い光を放つ紋章のようなものを見た。それは鳥のような形をしており、よく目を凝らさなければ見えないほど薄く光っている。


「…なにこれ?」

「それは【異世界転移者の紋章】だ。…ここまで薄い紋章を見るのは初めてだが、偽造の類ではなさそうだな。」


そこで目の前の人は警戒が解けたのか、頭に付けてた兜を脱ぎ取る。兜に纏められていたであろう青い髪がファッと広がる。髪自体はあまり長くはないが手入れは欠かしていないのか、サラサラとした髪質で太陽光をわずかに反射してキラキラと光っているように見える。顔はさすが異世界というべきか、さっき戦っていた男も整った顔をしていたが、こちらも同じくらい整った顔をしている。アメノをかわいい系に分類するなら、目の前の女性はかっこいい系だ。身長を考えても、アメノとはタイプが真逆だ。


「誤解は解けた?」

「そうだな…。ちなみにこの戦闘痕はどっちが付けた?」

「私。これ(俺)は後ろから見てただけ。ちなみに兄。」


妹を盾にして兄は後ろから応援していただけという最低の方程式を作られてしまった。しかし、ここで焦って弁明するのは二流のすること。一流は堂々と答える。


「ふっ。よくやったな我が妹よ。」

「兄よ。少し逃げそうになっていたことは気づいていたぞ。」


目の前の女性の目がゴミを見る目へと変わってしまった。嵌められたわ。姑息!卑怯!

俺たちがギャーギャー騒いでいると、女性はため息を吐いた。


「まったく。気を張って話すのが馬鹿らしくなるな。見たところ貴様たちはまだ異世界転移者登録をしていないと見た。ついてこい町に案内してやる。」


女性は馬の手綱を引き、案内するように前に進む。そして何かを思い出したかのようにこちらに向き直る。


「すまない。自己紹介が遅れたな。私の名はレイヴェル・アクシス。今向かう領主の娘だ。」

「む、すみませんこちらもすっかり忘れていました。俺はムラクモ。こっちはアメノです。さっきも言った通り、ついさっきこの世界に来た転移者です。」

「?異世界人なら普通、苗字を持っているのではないか?」


レイヴェルはこてんと首をかしげてそう尋ねる。俺は焦りを見せないよう、考えていた考え(言い訳)を話す。


「実は異世界に来るタイミングで苗字は犠牲になったんだ。だから苗字は覚えていないんです。」

「なるほど。たまに能力を獲得するときに対価として捧げる時があるというが、苗字がその対象になることもあるのだな。」

次回は4日後になる気がする

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