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どうやら、ホラー映画のモブに転生したらしい  作者: 御仕舞
第一章 何がKに起こったか

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2 . カップルはイチャイチャする


「おい絢音、大丈夫か?」


 離れてくださーい!

殺人鬼にカップルと間違われて殺されるでしょうが!

グロッキー気分で、キャンプ場に着いた私は、一歩も車から出ることなく、俯いて、考え込んでいた。

責任感の強いサークル主の金光先輩が私の隣にやってきて、肩をそっと叩く。


 他のメンバーには、酔いが治まったら外に出るからと伝えていたが、金光先輩は気になって戻ってくれたらしい。

それとも、マイカーに吐かれることを心配したのだろうか?


「大丈夫です。あの、肩触るのセクハラですからね」

「ハハハ!絢音は面白いなー!」


 何がだ、肩を組むな。

私は女で、貴様は男だぞ、どう考えても男女の距離感おかしいだろうが。

彼女持ちがしていい態度ではない。

まじでこいつ一回どつきたい。


「あと呼び捨てもやめろと」

「何か心配事でもあるのか?」


 私が女ってわかってる?というぐらいのスキンシップを繰り出す明るい能天気アホに、謎の人望があるのが果てしなくムカつくし、なんでこいつに恋人がいて私に恋人がいないのかが人生の命題だが、これはいいチャンスかも知れない。


 とりあえず運転手でサークル主の金光先輩を説得してしまえば帰れるのだ。

そのまま黄色い病院に連れて行かれないよう、頭がおかしいと思われないよう、金光先輩にそこはかとなく不穏さをアピールしておこう。


「えっと、車の中で、山下先輩が話してたじゃないですか、このキャンプ場の怪談話」

「あぁ、あの噂か」


 金光先輩は爽やかな笑顔で首を傾げた。


「絢音、もしかしてビビってるのか?可愛いなー」

「セクハラやめろ!」

「心配すんな!」


 と金光先輩は胸を張り、私の両肩を掴むとキメ顔で、


「俺が絢音を守るから」

「はあ?」


 本編で雑に殺された奴が何言ってんだ。

あと、彼女持ちのくせに、自意識過剰じゃなければ、私口説かれてる?


 もしかして、スプラッター映画あるあるで、処女が生き残る法則の真逆、『イチャイチャカップルは死ぬ』の法則を、世界から強制されてる?

私はゾッとした。

前世も含めて恋人いない歴の私だから、若干この世界を舐めていたが、彼女持ちとですら、強制的にカップルにさせられるのであれば、死亡率がぐんと上がるというか、確実に死ぬ。


 ちなみに、強制力が理由とはいえ、金光先輩は殺されても仕方なかったのでは?と好感度がキャンプ行く前と比較してもとんでもなく地に落ちて、穴掘って、地球の裏側まで到達してる。


 私は心底軽蔑したという顔をしたが、金光先輩は何一つ気付かず、そのままドンと胸を叩いた。


「それにほら、このキャンプ場は警察署近いし、防犯カメラだって結構あるんだ。だから所詮は噂だ、安心しろ」


 映画の中の警察は無能って決まってるから、全然安心できないし、そもそも、最初に殺されたのは管理人だから、防犯カメラは既に敵の手に落ちてる。


「大丈夫だ!ほら見ろ、他のみんなもうテント立て始めてるぞ。バーベキューも用意してるんだ。絢音のために特別メニューもあるからさ、早くこいよ!」


 気持ちの悪くなった私に気を使ってくれたのかな?

金光先輩以外の皆ありがとう。

でも、なんか逃げ出そうとするたびに、皆からの優しさで雁字搦めで引き止められているような気持ちもするよ。

これも世界の強制力?

ここから一人で逃げ出す選択肢ある?

だけど拷問じみた殺され方もイヤだ!

叫びたい気持ちを堪えつつ、私は深呼吸した。


「分かりました…ただ、先輩にお願いがあります」


 飼い主に構われて尻尾を振る犬のように、


「なんだ?遠慮なく言っていいぞ」


 嬉しげな表情だが、遠慮なんてない。


「噂を調べてみたいので、一緒についてきてくれませんか?」


 なんかあったら、金光先輩を盾にするのみ。









【一人にしてくれませんか】

→【一緒についてきてくれませんか?】



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