↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RISELESS 新兵から始める王国戦記  作者: 藤堂拓哉
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/87

第十四話 集団戦闘

アルメリア歴174年5月31日。


ローウェン小隊。


訓練場。


十二人の隊員がベルンの前へ並んでいた。


「今日は」


ベルンが全員を見渡す。


「集団戦闘訓練を行う」


隊員たちの表情が。


僅かに変わる。


これまで。


一対一での実戦訓練は行った。


連携を意識した訓練も。


少しずつ始めている。


だが。


複数人に分かれ。


実際に戦う形式は。


これが初めてだった。


「小隊を六人ずつに分け」


ベルンが続ける。


「実戦を想定した戦闘訓練を行う」


そして。


ルールを説明する。


「各隊は、指揮官の指示に従うこと」


一度。


全員を見る。


「全滅、もしくは戦闘続行が不可能になった時点で終了とする」


「それじゃ」


ベルンの隣にいたコルティオが。


一歩前へ出る。


「各隊を発表するよ」


手元を見る。


「まず、第一部隊」


顔を上げる。


「隊長、ラウル・ローウェン隊長」


ラウル。


「ロッコ・ハルデリック」


ロッコ。


「エレナ・ローフェンス少尉」


エレナ。


「ニコ・ベイル」


ニコ。


「アレン・クレイド」


アレン。


そして。


コルティオが。


自分を指差す。


「僕だ」


続いて。


反対側を見る。


「第二部隊」


「隊長、ベルン・クラウゼル中尉」


ベルン。


「グレゴール・バーデン少尉」


グレゴール。


「テオ・ハーシェル」


テオ。


「ハンス・レイデル」


ハンス。


「ノエル・リード」


ノエル。


「ザック・ヘルマン」


ザック。


二つの部隊。


六人。


対。


六人。


「以上」


コルティオが。


手元を閉じる。


「三十分の作戦準備時間を取った後」


全員を見る。


「訓練開始とする」


◇ ◇ ◇


第一部隊。


ラウルは五人を集めていた。


ロッコ。


エレナ。


ニコ。


アレン。


コルティオ。


全員がラウルを見る。


「初めての」


ラウルが口を開く。


「複数人での実戦形式だ」


少し。


間を置く。


「連携力の強化は十分か?」


「……」


ロッコが苦笑する。


ニコも。


困ったような顔をした。


まだ。


十分。


そう言い切れる者など。


いない。


「なに」


ラウルは。


そんな二人を見て少し笑う。


「気にするな」


「……え?」


「これまで訓練したことを、まずはやればいい」


肩の力を抜くように。


そう言う。


「気楽にいこう」


ロッコとニコの表情が。


少しだけ緩んだ。


だが。


次の瞬間。


ラウルの顔から。


笑みが消えた。


「ただし」


五人を見る。


「必ず勝つぞ」


「……!」


空気が。


変わった。


隊員たちの表情が引き締まる。


その中で。


一人だけ。


コルティオは笑っていた。


「……」


ラウルなら。


そう言うと思っていた。


「今回の実戦訓練」


ラウルが五人を見る。


「必要のない人間は、一人もいない」


ニコが。


僅かに顔を上げる。


ロッコも。


ラウルを見る。


「一人一人の力を合わせて勝つ」


そして。


「そのための策もある」


エレナの手に。


僅かに力が入る。


(策……)


この男は。


どう戦うつもりなのか。


アレンは。


ラウルを。


真っ直ぐに見つめていた。


その目には期待がある。


そして。


憧れにも似たものが浮かんでいた。


「まず――」


ラウルが。


作戦を話し始める。


五人が。


その声へ。


耳を傾けた。


◇ ◇ ◇


作戦準備時間が終わった。


訓練場の。


両端。


二つの部隊が。


互いに向かい合っている。


第一部隊。


ラウル。


第二部隊。


ベルン。


互いに。


相手を見る。


ベルンが手を上げる。


そして。


「――始め!」


腕を振り下ろした。


同時。


両部隊が。


一斉に動き出す。


「先頭!」


コルティオが叫ぶ。


「グレゴール! ザック!」


敵の配置を。


素早く確認する。


「その後ろにテオっす!」


ラウルの目が。


動く。


想定していた形。


「作戦通りだ!」


すぐに。


指示を出す。


「ロッコ!」


「頼むぞ!」


「うっす!」


ロッコが。


前へ出る。


その顔には。


これまでにないほど。


力が入っていた。


頭の中に。


先ほど。


ラウルから言われた言葉が。


残っている。


――ロッコにしかできないことを任せたい。


その一言。


――少しの間でいい。


――全身全霊で、俺たちを守ってくれ。


ロッコにしかできないこと。


そんな言葉。


今まで。


言われたことなどなかった。


ノロマ。


デブ。


でかいだけ。


昔から。


何度も。


何度も。


浴びせられてきた。


大きな身体。


遅い動き。


それは。


ずっと。


欠点だった。


だが。


今。


隊長は。


それを。


自分にしかできないことだと言った。


(必ず……)


ロッコは。


剣を握り締める。


(守るんだ!)


正面。


グレゴール。


そして。


ザック。


二人が。


一気に迫る。


「どけぇ!」


グレゴールが叫ぶ。


「ロッコ!」


二本の剣が。


迫る。


ロッコは。


逃げなかった。


「ぐっ……!」


大きく。


剣を振る。


――ガキィン!!


剣と剣が。


激しくぶつかる。


グレゴール。


ザック。


二人分の力。


それを。


ロッコが。


一人で受けた。


「なっ――」


グレゴールの顔が。


変わる。


ロッコの足が。


地面を踏み締める。


「ぐ……」


身体へ。


力を込める。


「ぐおぉぉあああ!!」


一気に。


剣を押し返した。


「うおっ!」


「ぐっ!」


グレゴールとザックが。


同時に後方へ弾かれる。


「よくやった!」


ラウルの声。


すぐに。


次の指示。


「コルティオ!」


「はい!」


「アレン!」


「はい!」


二人が。


走る。


ロッコの。


右側。


そこを。


一気に抜けた。


速い。


コルティオ。


そして。


アレン。


二人が。


凄まじい勢いで。


第二部隊へ迫る。


「……!」


ベルンが目を見開く。


(まさか)


ロッコを見る。


(バーデン少尉とザックを二人まとめて押し返すとは)


予想以上。


だが。


驚いている時間はない。


迫る。


コルティオ。


アレン。


「やはり来るか!」


ベルンが叫ぶ。


「ハンス!」


「はい!」


「テオ!」


「はい!」


「二人を止めろ!」


ハンスが。


槍を構える。


テオも。


すぐに動く。


二人が。


コルティオとアレンの前へ。


入る。


ベルンは。


予想外の状況でも。


即座に。


配置を修正する。


その時。


「エレナ!」


ラウルの声。


それだけ。


細かい指示は。


なかった。


だが。


エレナは。


迷わない。


「はい!」


ロッコの。


左側。


一気に。


駆け抜ける。


「……!」


ベルンが。


すぐに気付く。


右。


コルティオ。


アレン。


左。


エレナ。


中央。


ロッコ。


「ノエル!」


「は、はい!」


「前へ!」


ノエルを。


エレナへ向かわせる。


だが。


ベルンにも。


分かっていた。


(これは……)


エレナと。


ノエル。


(戦力差がありすぎる)


ノエル一人では。


長く持たない。


ベルン自身も左へ寄る。


エレナを二人で止める。


その間にハンスとテオが戻ってくるのを待つ。


そう判断した。


だが。


その時だった。


「ぐわっ!」


「がはっ!」


「……!?」


ベルンが。


声の方を見る。


中央。


そこには。


信じ難い光景があった。


「ぐっ……!」


「くそっ!」


グレゴール。


そして。


ザック。


二人が。


ロッコによって。


地面へ押し付けられていた。


「ぐぅぅ……!」


ロッコが。


必死に。


二人を抑えている。


技術など。


ない。


綺麗な戦い方でもない。


ただ。


その大きな身体と。


圧倒的な力で。


二人を。


前へ行かせない。


(これはまずい!)


ベルンの思考が。


一気に回る。


グレゴール。


ザック。


第二部隊の前線戦力。


その二人がロッコ一人に拘束されている。


ベルンがすぐにノエルの方を見る。


だが。


遅かった。


「……っ」


ノエルは。


すでに。


地面へ倒れている。


その前。


剣を構える。


エレナ。


(早すぎる……!)


もう。


ハンスとテオを。


待っている余裕はない。


ベルンは。


剣を構えた。


「来い!」


エレナが。


踏み込む。


――キィン!


剣が。


ぶつかる。


ベルンも。


応じる。


一撃。


二撃。


三撃。


速い。


そして。


正確。


(やはり強い!)


ベルンは。


必死に。


エレナの剣を受ける。


ここを。


抜かせるわけにはいかない。


自分が耐える。


ハンスとテオが戻るまで。


耐えれば。


まだ。


立て直せる。


そう。


思った。


その時。


――トン。


「……?」


背中に。


何かが。


触れた。


硬い。


細い。


ベルンの。


動きが止まる。


「……」


時間が。


止まったようだった。


エレナも。


剣を止めている。


ベルンは。


ゆっくりと。


自分の背後を見る。


そこには。


剣を。


ベルンの背中へ当てた。


一人の男。


「……な」


ベルンの目が。


僅かに見開かれる。


いるはずがない。


少なくとも。


ベルンの頭の中では。


ここにいるはずのない男。


ニコ・ベイル。


ベルンは。


ただ。


その姿を見つめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。