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RISELESS 新兵から始める王国戦記  作者: 藤堂拓哉
第二章

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第十一話 中隊会議

アルメリア歴174年5月24日。


この日。


ルミエル中隊が発足してから。


初めてとなる会議が開かれた。


会議室に集まったのは。


中隊長。


リシア・ルミエル少佐。


そして。


その指揮下に置かれる。


五人の小隊長。


マーク・オベール大尉。


コルド・ルビック大尉。


ガレス・ブロッカ大尉。


リゼット・ロゼリア中尉。


そして。


ラウル・ローウェン少尉。


六人が。


一つの机を囲んでいた。


「それでは」


リシアが。


全員を見渡す。


「会議を始めます」


五人の視線がリシアへ向く。


「といっても」


少しだけ。


表情を緩める。


「今日は顔合わせが主な目的よ」


まだ。


ルミエル中隊そのものが。


新しい。


小隊長同士にも。


面識のない者がいる。


そんな中。


ラウルは。


一つの視線に気付いていた。


「……」


ガレス・ブロッカ大尉。


腕を組み。


席へ座ったまま。


ラウルを見ている。


いや。


見ているというより。


睨んでいる。


そんな表現の方が。


近かった。


(……なんだ?)


ラウルには。


理由が分からない。


これまで。


ガレスと話したことはない。


「特に」


リシアが口を開く。


「ブロッカ大尉とロゼリア中尉は、面識のない者もいるわよね?」


「そうですね!」


すぐに。


明るい声が返ってきた。


リゼットが。


勢いよく姿勢を正す。


「初めまして!」


そして。


笑顔を見せた。


「リゼット・ロゼリアです!」


その声は。


会議室の空気を。


少し明るくする。


「中尉になったばかりではありますが、小隊長経験はあります!」


一度。


全員を見渡す。


「よろしくお願いしますね!」


「よろしく」


「よろしくな」


返事が返る。


リゼット・ロゼリア。


明るく。


はっきりしている。


初対面でも。


話しやすさを感じさせる。


気持ちのいい女性だった。


その隣。


ガレスが。


口を開く。


「ガレス・ブロッカだ」


低い声。


「よろしく頼む」


それだけ。


リゼットとは。


対照的だった。


硬い。


必要なことだけを話す。


そんな印象。


その後も。


マーク。


コルド。


そして。


ラウル。


順番に。


簡単な挨拶を交わしていく。


だが。


その間も。


ラウルには。


気になるものがあった。


ガレスの視線。


やはり自分を見ている。


それも。


決して好意的なものではない。


(俺が何かしたか?)


考えてみる。


だが。


思い当たることはなかった。


「それじゃあ」


全員の挨拶が終わったところで。


リシアが。


話を進める。


「今後の予定について話すわ」


五人が。


再びリシアを見る。


「六月中に」


リシアが言う。


「中隊訓練を二回」


そして。


「大隊訓練を一回、予定しているわ」


「……もうですか?」


マークが。


少し驚いたように聞く。


「新しく発足した小隊ばかりですが、大丈夫ですか?」


その懸念は。


当然だった。


新しい中隊。


新しい小隊。


まだ。


隊員同士の連携すら。


十分ではない部隊もある。


それを。


もう。


中隊単位。


さらには。


大隊単位で動かす。


「私も」


リシアが答える。


「少し早いとは思っているわ」


だが。


その表情が。


僅かに真剣になる。


「現状の情勢によって、育成が急務なのよ」


戦争が終わった。


だから。


ゆっくり育てればいい。


そういう状況ではなかった。


王国軍は。


多くの兵を失った。


多くの指揮官を失った。


そして。


軍そのものの再編が。


進められている。


「少しでも早く」


リシアは続ける。


「運用できる状態にしてほしいらしいわ」


「まっ」


コルドが。


椅子へ身体を預ける。


「しゃあねぇな」


「そういうこと」


リシアが。


苦笑する。


「みんな、よろしくね」


「はい」


「分かりました」


それぞれが答える。


ラウルも。


小さく頷いた。


六月。


遠くはない。


それまでに。


ローウェン小隊を。


どこまで形にできるか。


「質問はないかしら?」


リシアが尋ねる。


ラウルは。


少し考えてから。


手を上げた。


「はい」


「ローウェン少尉」


「そろそろ」


ラウルが聞く。


「任務の依頼もありますか?」


リシアは。


すぐに頷いた。


「ええ」


「問題がないようなら、各小隊に軍務長から依頼があると思うわ」


「分かりました」


訓練だけではない。


実際の任務も。


これから。


入ってくる。


小隊長として。


隊員を率い。


任務を遂行する。


それも。


遠い話ではない。


「他にはないかしら?」


誰も。


手を上げない。


「それじゃあ」


リシアが言う。


「今日はこれで解散よ」


椅子が動く。


「では、お先に失礼します!」


リゼットが。


明るく挨拶をして。


部屋を出ていく。


続いて。


ガレスも。


席を立った。


ラウルは。


まだ座っていた。


その後ろを。


ガレスが通る。


その時。


「……」


ほんの一瞬。


足が。


僅かに緩んだ。


そして。


小さな声。


「俺は認めんぞ」


「……?」


ラウルが。


振り返る。


だが。


ガレスは。


そのまま。


会議室を出ていった。


扉が閉まる。


「……」


(認めない?)


何を。


とは。


言わなかった。


だが。


あの視線。


そして。


今の言葉。


自分へ向けられたものだということだけは。


分かった。


◇ ◇ ◇


会議室に残ったのは。


四人。


リシア。


マーク。


コルド。


そして。


ラウル。


以前。


同じ小隊で過ごした者たちだった。


正式な会議が終わると。


空気も。


少しだけ柔らかくなる。


「それで」


リシアが。


マークを見る。


「そっちはどう?」


「今のところは問題ありません」


マーク・オベール大尉。


彼の小隊は。


以前のルミエル小隊の隊員を。


ほとんど引き継ぐ形となっていた。


そのため。


一から関係を作る必要はない。


「補充された人員もいますので」


マークが続ける。


「今は、そちらの教育に力を入れています」


「順調そうね」


「はい」


リシアが。


今度は。


コルドを見る。


「コルドは?」


「俺か?」


コルドが。


頭を掻く。


「まぁ、なんとかやってるよ」


今回。


初めて。


小隊長となったコルド。


「ちょっとやんちゃなのが多いけどな」


「あなたには合ってるんじゃない?」


リシアが笑う。


「どういう意味だよ」


マークも。


小さく笑った。


そして。


最後。


三人の視線が。


ラウルへ向く。


「ローウェン小隊は?」


「……まだ」


ラウルは。


少し考える。


「形を作っている途中です」


「そう」


ラウルは。


これまでの状況を説明した。


小隊員を観察したこと。


適性を見ていること。


小隊の方針を決めたこと。


そして。


全員が。


その方針に納得しているわけではないこと。


リシアは。


黙って聞いていた。


「焦ることはないわ」


話を聞き終え。


リシアが言う。


「……ですが」


「できたばかりの小隊でしょう?」


「はい」


「なら」


リシアは。


穏やかに笑った。


「ゆっくりやりなさい」


「……」


「最初から完成している小隊なんてないわ」


ラウルは。


その言葉を聞く。


「お前ならできるさ」


マークが言った。


コルドも。


頷く。


「そうそう」


そして。


笑う。


「お前なら、なんとかするだろ」


「……ありがとうございます」


ラウルは。


少しだけ。


肩の力が抜けた。


だが。


同時に。


一つの目標もできた。


六月。


中隊訓練。


その時。


ここにいる。


他の小隊と。


共に動くことになる。


その前に。


まず。


自分の小隊を。


しっかりと形にする。


グレゴール。


ザック。


テオ。


エレナ。


ベルン。


コルティオ。


そして。


他の隊員たち。


まだ。


一つになったとは言えない。


それでも。


(やるしかない)


ラウルは。


静かに思う。


ローウェン小隊を。


小隊として。


しっかりと形にする。


そして。


中隊訓練で。


その力を見せられるように。


ラウルの中に。


次の目標がはっきりと定まった。

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