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81.アナスタシア殿下⑤

「嘘ですわ…。絶対、そんな筈はありません!」

「アナ様、残念ながら本当です」


アナスタシア殿下が、イザベラ様の告げた人物に驚愕している。

前向きに仕事に励む素敵な方だと思うけど、確かにびっくりだわ。


「アナスタシア殿下、そんな事を言ったら熱狂的なファンに刺し殺されますわよ?」

「え“っ?」

「フフフ…、意外と人気があるんですよ。次期辺境伯夫人として招かれるお茶会でよく話題に挙がりますわ。婚約者もいない、初婚の妙齢の高位貴族なんて、年頃の娘を持つ親にとっては優良物件ですから」


ギャビーお義姉様が婚活情報をくれる。


「でも!私の事を…その…、す、す、好きだなんて…」

「本当ですよ。前にウチで泥酔した時に言っていましたから。お父様だけでは宥めるのに苦労して、私も手伝わされたのでしっかり覚えています」


ベラお義姉様が確信を持って言う。

にわかには信じられないため、つい私も言葉を漏らしてしまう。


「でも、あの方がそんなに酔っ払うなんて想像がつかないですわ。いつもは冷静沈着で、お酒も節度を持って呑みそうなのに…」

「レティ。あの人、実は下戸(げこ)なのよ。部下がいる時は精神力で何とかしているけど、みんなを帰らせた途端に管を巻き出したの…。大変だったわ…」


ああっ!

ベラお義姉様が遠い目をしている!

相当、大変だったのね…。


「でも、本当に信じられませんわ。ヴェルン副団長が、アナスタシア殿下を好いているなんて…。あの方、確か27歳でしたわよね?殿下と12歳も違うじゃないですか!もしや、ロリ…」


シルヴィア様がそう言うのももっともだ。

後妻の話以外で、その年齢差での結婚なんて聞いた事が無い。

私はてっきり、騎士団の仕事が忙しくて婚期を逃しているのかと思っていたが、まさか10年もアナスタシア殿下に恋していたとは…。

17歳が5歳に一目惚れって何だ!

ミストラル王国の王国騎士団副団長で、自身も侯爵であり、高身長で見目麗しいのに…。

なんか、残念だ…。

ヴェルン副団長にキャーキャー言っているお嬢様方に言ってやりたい…。

その人、ロリ✕✕ですよ!

と…。


「アナ様に声を掛けた男性が以降話しかけなくなったのも、ヴェルン副団長が『見極め』と称して、圧を掛けてたからですよ」


ガチだな…。


「どう思います?エイダ様」


私はエイダ様に意見を尋ねてみた。


「めっちゃ、引く!」

『ですよねぇ〜…』


みんなの心が一つになった。


「でも、アナスタシア殿下はヴェルン副団長の事をどう思ってるんですか?」


気になったので聞いてみる。


「名前が長いから、皆さん『アナ』と呼んでくださって結構ですよ」

『わかりました、アナ様』

「そうですねぇ…。面倒見の良い、お(・)父(・)様(・)という感じですわね。いつもさり気なく手助けしてくれるのですが、小言も多くて…」


私も含め、皆さん笑いを必死に堪えている。

面倒見の良いお兄様ではなく、お(・)父(・)様(・)とは…。

ヴェルン副団長、全然伝わっていませんよ!


「フッ…」

「プププ…」

「ハ…」


アハハハハハハ…!!

一人が吹き出した途端、一斉に笑い出す。


「ハハハ…、ダメだわ。物凄く可笑しい…」


エイダ様、涙目です。


「しょ、しょうがないですよ。あの澄ました顔のヴェルン副団長がお父様とは…」


ベラお義姉様も苦しそうだ。


「フフフ…、アハハハ…、フフフ…」


シルヴィア様が壊れている…。


「でも、5歳からずっとアナ様の事だけを好いているなんて…。ロリじゃなくて、本当に心からアナ様の事がお好きなんじゃないかしら?」


ギャビーお義姉様の言葉に皆さんハッとする。

確かにそうかもしれない…。

年齢差のインパクトが大きすぎて気づかなかったけど、ヴェルン副団長は5歳のアナ様が好きなのではなくて、アナ様が5歳の時からずっと彼女一筋なのだ。


「アナ様。よく考えると、アナ様の出した条件にピッタリですね。アナ様の事だけを見てくれる、美麗な方ですよ?」


私はアナ様に告げた。


「確かに…。シルバーブロンドに藍色の瞳、背も高くて容姿も整っている。そして何よりも、5歳の時から私だけを見てくれている侯爵…」

「アナ様にぴったりですわね」


エイダ様も同意してくれる。


「一度、アナ様からデートにでも誘ったらどうですか?騎士団のスケジュールなら、都合つけられますので」


流石はカイオム騎士団長の娘だ。

ベラお義姉様は、使えるものはどんどん使っていく方針のようである。


「ちょっと、チャレンジしてみます…。いつまでもアレク兄様(りゆうじ)の影を追っても、どうしようも無いですし…」

「アナ様、その心意気です!」


私達はアナ様を励まし、彼女の行く末を見守る会を発足した。

上手くいくといいなぁ…。

女性陣、書いてて楽しい(笑)


✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩


読んでみて面白かったなぁと思われた方は、よろしければブクマ評価もお願いしたいです!!

大変、励みになります(。>﹏<。)

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