77.アナスタシア殿下①
視点は、ロイド→スカーレットです。
「レティ。今日も遅くなってしまうと思うから、先に休んでていいよ」
「わかりました。それにしても、最近遅いですね」
「式典が近いからね。こんなに国内が賑やかなのも、あと少しだよ」
問題だらけだったからな、早く終わって欲しい。
「寂しくなりますね…」
「えっ?」
いったい、誰のことを言っているんだ?
まさか、ショウ…
「私、お祭りの雰囲気が好きなんです!」
「あ、あぁ!そうなんだ。お祭りの雰囲気ね!じゃあ、今度大きなお祭りがあったら一緒に行こうか?」
「はい!楽しみです!」
レティは、満面の笑みで返事をする。
ビックリしたぁ…。
また、寝室に連れ込む所だった。
「ところでレティは今日、何するの?」
「今日はエイダ様に呼ばれているんですよ。なので、午後に王宮に行くつもりです」
「そうなんだ」
アイツがいるから、あまり王宮には来てほしく無いんだけどな…。
「フフ…。ロイ様に会えるといいですね。あっでも、お仕事の邪魔はしませんよ!」
レティ〜〜!!
可愛っ…。
「レティなら邪魔してくれてもいいんだけど…」
「駄目です!」
「レティは真面目だね」
「だって…、それで仕事が遅くなったら、もっと悲しいじゃないですか…」
ちょっと恥ずかしそうにムクれてこんな事を言う…。
俺の婚約者、完璧だな!!
「なるべく早く帰れるように頑張るよ」
「はい。でも、無理しないで下さいね」
俺は、レティを抱き締め、触れるだけのキスをする。
名残惜しいが、頑張るか!!
――――王宮庭園
「エイダ様、本日はお招きいただきありがとうございます」
「こちらこそ、急な申し立てで、ごめんなさいね」
この場に招待されたのは、クロエ、ギャビーお義姉様、イザベラ様、シルヴィア様と私だ。
ユリアさんも侍女として控えている。
「それでエイダ様、なぜ私達を集められたのですか?」
クロエが聞く。
確かに…。
共通点としては、皆、アレクシス殿下と側近達の婚約者だけれど…。
「アレクシス王子との約束を果たすためですわ。貴女達がいれば、きっと彼女も緊張せずにいられると思いまして…」
エイダ様がそう言うと、最後の参加者が姿を現した。
「ご機嫌よう、アナスタシア様。本日はお越しいただき、嬉しく思いますわ」
エイダ様が立ち上がり、カーテシーを披露する。
私達も彼女にならい、カーテシーで出迎えた。
最後の参加者は、この国の王女、アナスタシア殿下だった。
まだ幼さが残ってはいるが、輝くような美貌の王女である。
きっと、婿選びは熾烈な争いが繰り広げられるであろう事を予感させられた。
「わ、私こそ、お招きいただき、ありがとうございます」
可愛らしい声でお礼を述べ、アナスタシア殿下は完璧なカーテシーを披露した。
流石は王族。
所作がとても素晴らしい。
きっとその背景には、血の滲むような努力をしたに違いない。
15歳という年下の王女殿下に対して、不敬ながら私は姉のような気持ちになっていた。
「それで、エイダ様。何故、私が呼ばれたのでしょうか?」
アナスタシア殿下が質問する。
「回りくどい話は好きではないので、単刀直入に言いますわ。アナスタシア王女、貴女はアレクシス殿下の事をどう思っているのですか?」
「えっ?」
アナスタシア殿下の大きなブルーの瞳が更に見開かれる。
「先日の態度。私には本心のようには思えませんでしたが…」
エイダ様の言葉にアナスタシア殿下が俯いてしまう。
アレクシス殿下とアナスタシア殿下…。
確かにあまり接点が無いように思う。
アナスタシア殿下が未成年のため、お二人は公務で揃う事はない。
エストワール殿下のように、プライベートでアレクシス殿下に会いに来る事もない。
お二人の兄妹関係って謎だわ…。
クロエなら何かわかるのかしら?
そう思いクロエを見ると、クロエはオロオロしていた。
「クロエ?」
「あら?クロエ様は何かご存知なの?」
それに気付いたエイダ王女が聞く。
クロエは、アナスタシア殿下をチラチラと見ながら、おずおずと口を開く。
「私からは何とも…。ねぇ、イザベラ様」
「えっ!私?」
クロエにしては歯切れが悪い。
そして、イザベラ様も何か知っているようだ。
「イザベラ。知っている事があるなら話してしまいなさいな。今はエイダ様が取り仕切っているのよ?」
シルヴィア様に促され、観念したようにイザベラ様が話し出す。
「アナスタシア殿下、申し訳ございません!実は…」
「イザベラ様、いいです!私が自分で言いますわ!」
そう言って、アナスタシア殿下は顔を上げる。
そこには、15歳とは思えない顔つきの殿下がいた。
「エイダ様。実は私にも前世の記憶があるんです」
「まぁ!そうなの!?」
エイダ王女だけでなく、ユリアさんも驚いている。
しかし次の発言で、皆、固まってしまった。
「えぇ。私は、大神真奈と言います。アレクシス殿下の前世、川田隆二の元カノでした…」
まさかの参戦(笑)
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