75.悪役令息リターンズ
今日は凄く疲れた…。
早く帰って、レティに癒やされたい。
そんな事を思いながら帰路についていると、途中でショウ王子に呼び止められる。
「ロイド様」
「これはショウ王子。どうしてこんな所に?」
あ〜〜…、面倒くさい。
俺はもう、あなたには用が無いんだけどな…。
「何か、私に御用ですか?」
いつもの貴族らしい笑顔で尋ねる。
俺は早く家に帰りたいんだ!
早く用件を言ってくれないかな。
ショウ王子は、何かを言いかけて黙るを繰り返す。
疲れも相まって、俺は段々イライラしてきた。
………。
イライラ?
はて、俺は今までこんな感情を持った事があっただろうか?
こんなに長いこと、特定の個人を疎ましく思った事なんてあっただろうか?
初めて湧く感情に戸惑う。
確かに、殿下や側近たちに苛立つ事もあったが、疎ましく思った事は無い。あれは叱るという行為が伴っていたからだ。
ただ、ショウ王子は違う。
存在自体が疎ましい。
不快な気持ちが勝手に溢れてくる。
あぁ。俺は、この人間が生理的に嫌いなのだ。
今、やっとそのことに気付いた。
原因は言うまでもない。
レティが関わっているからだ。
俺はレティがとても大事だが、いざという時には平気で切り離せると思っていた。
なぜなら、それがウィラー公爵家の性だからだ。父や母からも聞かされていたし、殿下にも同じような事を指摘された事がある。
俺はそれを宿命だと思っていた。
しかし心も体も重ねた今、その宿命に逆らう気持ちが溢れてくる。
何よりもレティが大事だ!
もう、今までのような付き合いは出来ない。
俺から彼女を取り上げようとする者は、全て敵と認識する!
俺は、嫌悪感たっぷりにショウ王子に向き合う。
「特に何も無いようなら、帰らせていただいても宜しいですか?愛する婚約者が私の帰りを待っているので」
「くっ…!」
何をそんなに悔しそうにしているんだ?
今まで、一度たりともレティはお前のものになった事など無いだろうに。
そんな風に思っていると、覚悟を決めてショウ王子が話し出す。
「この前はすみませんでした!不仲になったタイミングを狙って、彼女につけ入るような真似をして…」
やはり、罪悪感は持っていたんだな。
俺はそんな感想しか浮かばない。
「謝ってもらう必要はありませんよ。誤解も解けましたし。逆に程良いスパイスになり、二人の仲がより深まりました」
ショウ王子がとても悔しそうな顔をする。
その顔を見ただけで、過去の溜飲が少し下がる。
ただ、ショウ王子は諦めていないようだった。
「本当に?彼女の演技ではなくて?」
「何が言いたいんです?」
「あんなショッキングな事があったんです。レティのトラウマになっていなければ良いのですが…」
チッ…。
流石は医療大国の王子だ。
メンタルヘルス的な見解を述べてきた。
だが、そんな口先だけの挑発なんて屁でもない。
「ご心配いただきありがとうございます。では、レティの事は隅々まで心を配る事にしましょう。だって…、彼女が選んだのは俺ですからね。では、失礼します」
そう言ってショウ王子の前を失礼する。
嫉妬に歪んだ顔が、俺の優越感に更に拍車をかけた。
まぁ、俺は性格がすこぶる悪いですから。
目的のためなら手段も選びませんし、挑発だってグイグイやりますよ。
悪いのは、俺の外面に騙されたヤツラだ。
この世の中では、綺麗事だけでは渡っていけない。
ショウ王子も、そろそろ一皮剥ける時期だろう。そういった意味では、今回の件は良い実習だったのではないか?
しっかり学んで自国ヘ帰ってくれ。
アレクシス殿下の戴冠式まで、あと僅か。
行動を起こすにしても、次がラストチャンスだろうな。
アレクシスの側近は、皆すこぶる性格が悪いです。
唯一の良心はクリストフかなぁ?(笑)
✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩
読んでみて面白かったなぁと思われた方は、よろしければブクマ評価もお願いしたいです!!
大変、励みになります(。>﹏<。)




