70.死神
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最悪なタイミングでヤツがレティに会ってしまった…。
これは、エイダ王女とユリアだけには任せておけない状況だな。
イスタークを見ると、同じ事を思っていたらしい。
「それで、王女様。どこで接触したんだ?ショウ王子は、バートレット侯爵家に用は無いだろうに…」
「王都のカフェのようですわ。出会ったのは偶然のようです」
これがシナリオ強制力というヤツなのか。
この世界に働いている目に見えない力は、どうしてもレティとショウ王子を結ばせたいらしいな。
俺の怒りを買うとも知らないで…。
「ところで、何故ショウ王子の動きがわかったんです?」
殿下がエイダ王女に聞く。
「小説のモデル達の動きは、私直属の侍女達に様子を探らせていますわ。アレクシス王子達の事はユリアさんが見てくれていたんですの」
事も無げに、爆弾発言をしてくる。
俺達、ストーカー被害に遭っていたのか…。
「いやいや!他国に来て、他国の王族を見張ってたらダメだろ!ユリアも、情報漏洩だからな!」
「すみません!!」
すみませんで済む話では無い。
今回は国家としての機密を漏らしたワケではないが、普通に考えれば処罰の対象だぞ。
わかっているのだろうか…。
「とりあえず、兄貴とロイドはそのカフェに向かった方がいいんじゃないか?これ以上拗れたら、後戻りできないだろう?」
「そうですね。イスターク、行きますよ」
「ああ。お前達も来るんだぞ」
そう言うと、イスタークはエイダ王女を荷物のように脇に抱えた。
「えっ!ちょっ!」
「ロイド様、イスターク様!待ってくださぁい!」
ユリアも慌ててついてくる。
城門前で馬に乗り、王都のカフェヘ急いだ。
馬を近くに止め、イスタークはまたエイダ王女を脇に抱えて、人混みの中を行く。
行き交う人は何事かと思い、ジロジロと俺達の様子を見てくる。エイダ王女は羞恥心が限界突破し、放心状態だった。
イスターク、はっきり言ってそれは不敬行為だからな。
――――カフェにて
俺達はレティ達を探した。
すると、報告のあったカフェのテラス席に4人いる。
レティ、ガブリエラ嬢、ショウ王子、テオ騎士団長の4人だ。
「アイツ…、いい度胸してるな。この俺の女の隣に座るとは」
イスタークが好戦的な視線を送る。
見ると、テオ騎士団長はガブリエラ嬢の隣に座り、愛を囁いているようだった。
うっとりした目で見つめ、言葉を交わし、談笑する。
そういえば、テオ騎士団長はダイス王国で侯爵位を持っていたな。爵位的には釣り合うのか…。
見た目もイスタークほどではないが、茶髪紫眼の中々の美丈夫だ。
金色の髪に紫の瞳で、グラマラスな癒やし系美人のガブリエラ嬢と似合わなくもない。
しかし…、
「ロイド、何を考えている?」
「瞳の色も同じですし、お似合いと言えばお似合いですが…、やはりガブリエラ嬢の隣にはイスタークがしっくりきますね」
「わかってるじゃないか」
イスタークがニヤリと笑う。
「レティの隣もロイドじゃないとな。アイツの顔の造形は多少整ってはいるが、ロイドには全然及ばないし、背丈や振る舞いがまったく釣り合っていない。見てみろ!レティのヤツ、うわの空だぞ。アレは、ロイドの事を考えているんじゃないのか?」
レティを見ると、心ココに在らずという様子であった。
隣で一生懸命に話し掛けているショウ王子が、ちょっと憐れに思えた。
「本当ね。スカーレット様は、完全にロイド様に攻略されているのね」
うわっ!ビックリした…。
そうだ。そういえば、エイダ王女はイスタークに脇に抱えられていたんだった。忘れてた…。
「イスターク、エイダ王女を降ろして差し上げて下さい」
「あぁ!すっかり忘れてた…」
エイダ王女の足が地に着く。
「セカンドバッグから、やっと人に戻れた気がするわ…」
「イスターク様の腕力、凄いですね…」
ユリア、どこに関心しているんだ…。
すると、エイダ王女を降ろしたイスタークはそのまま4人に突進していった。
「ギャビー」
「イスターク!」
ガブリエラ嬢が驚いてこちらを振り返る。
イスタークはそのままガブリエラ嬢を抱き締めて口付けた。
「ちょっ!イスターク!」
抵抗するが、イスタークの拘束は緩まない。
昼下りの長閑なカフェで、突然、濃厚なキスシーンが繰り広げられる。
最終的にガブリエラ嬢は、くったりとイスタークの体に自らを預けるカタチになった。
勝ち誇ったようにテオ騎士団長を見下ろすイスターク。
この雰囲気、どうしてくれるんだ…。
イスタークはそんな事も気にかけず、ガブリエラ嬢の顔に手を添え、見たこともない悲哀に満ちた表情で顔を覗き込む。
「ギャビー…、思い出して。君の事を唯一無二の存在だと言った、俺の事を…。君が居なければ、俺は生きる理由がない…。君の心が近くに無ければ、俺は人を愛する事もできない…。不完全な俺を真っ当な人間にしてくれるのは、ギャビー。君だけだ」
「…イスト」
「心の底から愛している」
「イスト…、ごめんなさい…」
そう言ってガブリエラ嬢は、イスタークにしがみついて泣いた。周囲が皆、涙ぐんでいる。
エイダ王女とユリアを見ると、めちゃくちゃ泣いていた。
…はぁ。
みんな、状況に呑まれすぎだ。
イスタークの瞳をちゃんと見ろ…。
あんな仄暗い瞳をした人間が、この後彼女をどうするのかなんて…、想像もしたくない。
俺にはイスタークが、悲しみが満ちる葬儀の中、魂を嬉々として刈り取る『死神』にしか見えなかった。
セカンドバッグ・エイダ(笑)
さて、イスタークが作り出した雰囲気の中、ロイドはどうするのでしょうか?
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