68.sideエイダ②
「先生!大ヒットですね!」
「ええ。もう、笑いが止まりませんわ!オーホッホッホ!」
本当にすごい売れ行きで、テンションがおかしくなりつつある。まさかBLがこの世界でも、こんなに需要があるなんて。やはり、BLは次元を超えて愛されるのね…。
「次は『王子の恋』でしたよね?」
「そうね、ユリアさん。販売の手筈はいい?」
「はい!バッチリです!」
ユリアさんは本当によく働いてくれる。
アレクシス王子によって付けられた侍女だが、転生者であり、私と意気投合し、今や「私の目と耳」となってくれていた。
「それで、ユリアさん。何かいいネタはありまして?」
「殿下とロイド様の話はどうでしょう?二人は幼馴染だそうです。本当に私的な場では、『ロイド』『アレク』と呼び合っています。私や側近の方がいらっしゃる時は、絶対にそんな風に呼ぶ事は無いんです!」
「何それ!もっと詳しく!」
私は、ユリアさんからネタを提供してもらった。
鉄板、幼馴染ネタ!これは良い話が書けそうだ。
腕がなるぜ!
「ところでユリアさんは…」
「私は断然、ロイ✕アレです!」
「えぇ〜…。アレ✕ロイでイスターク様との三角関係をと思ったのにぃ〜」
「イスターク様、出すんですか!」
「『死神』、大好評だからね」
「確かに…。あれ以来、イスターク様ファンが増えた気がします。整ったご容姿なので前からファンは多かったですが、いかんせん大きすぎて…。か弱い令嬢達には恐怖の対象でしたからね」
「あれがイイのに…」
「まったくです!イスターク様出すなら、アレ✕ロイですね。ロイ✕アレは執務室でいつでも見れますし」
「ちょっとユリアさん、どういう事!」
「それはですねぇ〜…」
と、このようにユリアさんは趣味が合うのだ。
彼女を重宝している理由も、ココにある。
これがもし違った場合は…、
血を見る事になるだろう…。
「そういえば先生、お便りがこんなに」
「まぁ、嬉しい!」
お便り。
それは私の生きる糧。
読者さんからの励ましが、私の次の創作のエネルギーとなる。
中にはアンチも入っているが、きちんと作品を読んでのアンチは大歓迎だ!意外とそういう人ほど本当のファンだったりする。次回作への反省点としよう。
「先生…」
「どうしたの?ユリアさん」
「こんなお便りが…」
「どれどれ…」
私は問題のお便りを読んでみる。
そこには、イスターク様の婚約者のガブリエラ様とロイド様の婚約者のスカーレット様が、共に辺境伯家、公爵家を出てしまったという内容が書かれていた。
「どうしましょう…。ガブリエラ様とスカーレット様が…」
ユリアさんが、お二人のことを思い憂いているようだ。
きっと、話を盛り上げてしまった後悔の念もあるのだろう。
「コレは…、ネタになるわね」
「せ、先生!?」
しか〜し!私にとってはそれすらもネタにすぎないわ!
こんな所に、オルフェル王家の血筋を感じるとは…。
ルディの事、言えないわね。
「先生、マズいですよこれは…」
「えっ?」
ユリアさんが青褪めて震えている。
どうしたのかしら?
「お二人が婚約者の家を出たからと言って、何かマズい事でもあるの?所詮は私の妄想小説が原因よね?事実では無いのだから、誤解なんてすぐ解けるでしょう?」
「誤解うんぬんの話では無いんです!お二人が、婚約者の家を出たという事実が、もうヤバいんです!」
えぇ〜…、何ソレ。
だって元々はお二人共、『四季恋3』の攻略キャラよね?
ロイド様やイスターク様と仲良くいってないからショウ王子に攻略される、というシナリオなんじゃないの?
スカーレット様のシナリオしか知らないけど、ガブリエラ様の話もだいたい同じでしょう。
本筋とは違う展開かもしれないけど、私的にはシナリオ補正がかかっただけにしか思えないんだけど…。
それにしても、ユリアさんの怯え方が尋常ではないわね。
「ユリアさん、具体的に私たちはどうなるの?」
「殺されます」
「は?」
「デッド・オア・デッドです!」
「どういう事なの!?」
ちょっと、冗談じゃないわよ…。
またまだやりたい事があるのに、こんな所で死んでなんていられないわ!
「先生…、相手が悪いです」
「相手?というと、ロイド様とイスターク様?」
「そうです…」
「理由は、モデルにした事かしら?」
「違いますよ」
「違うの?」
「おそらく、あの方達はモデルにされても怒りません。ただ、それによって最愛の婚約者が離れていくことに、異常に反応すると思うんです…」
「えっ?出て行っただけでしょ?死別したワケじゃないんだし、誤解を解けば…」
「もちろん、あの二人の事です。おそらく力づくでも自宅に連れ帰るでしょう。ただ物理的にも精神的にも、ほんの少しでも自分から離れてしまった事を許しはしないです。そして、その怒りの矛先は原因に行きます!間違いありません!」
「執着、怖っ…」
え〜〜…。
二人共、そんなに執着野郎だったの?
モデルにする人、間違えたかしら…。
「ちなみにこの国の男性は、みんな漏れなく執着気質です」
「早く教えてよ!!」
涙目で叫んでしまった。
よく考えたら、ロイド様もイスターク様も強さはチート級じゃない!アレクシス王子達だってそうだ。
あの訓練場での一件を忘れたの、私!
ユリアさんの怯え方が尋常じゃなかったのは、命の危険を感じていたからなのね!
そんな中、本国から連れて来た私付きの侍女から声がかかる。
「エイダ様。アレクシス王子とその側近の方達が、面会を求めていらっしゃってます」
『ヒイィィィ!!』
詰んだ…。
さよなら、私の人生…。
急いで、命を守る行動を取ってください(;´Д`)
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