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67/105

67.大ヒット!

「…という内容の本が原因のようです」


殿下以下、側近たちが口を開けたまま固まっている。

いち早く立ち直った殿下が、頭を抱えた。

そして、イスタークに視線を送る。


「イスターク、理由がわかって良かったな。…その、同情しかないが…」

「まさか、兄貴とロイドのそういう本が出回っているなんて…」

「クリストフ、語弊があります。私とイスタークは決してそのような仲ではありません!」


いや、マジでナイから!


「なるほど…。あの本にはそんな事が…」

「ヨハンは知っていたのですか?」

「タイトルは知っていましたが、中身は知りませんでした。あの本は厳重に管理されていて、今のところ女性しか買えないようになっているのです」

「えっ?そうなの!」


殿下がびっくりしている。


「しかも、シリーズ化されてますよ」

「えぇっ!」

「えーと…確か、『王子の恋〜黄金の煌めき〜』、『狙撃手(スナイパー)の恋〜翡翠の獲物〜』『龍の恋〜黄金の宝玉〜』『奏でる恋〜黄金の旋律〜』という、恋シリーズだったかと…」


そんなに種類があるのか…。

しかし、黄金が付くサブタイトルが多いな。

殿下を見ると、天を仰ぎ見ている。


「あの人…、そんなに書き上げてるの?」

「ということは、やはりエイダ王女ですか…」

「間違い無いよ。しかも、モデルは俺たちかよ!」


『は?』


どういう事だ?

殿下はそのタイトルから何を読み取ったのだろうか?

確かにクロエが、描写が具体的でモデルが誰かはすぐに推察出来ると言っていたな。


「殿下はどれが誰だか、わかっているッスか?」


クリストフが聞く。


「むしろわかり易いぞ。ちなみにタイトルの方が攻めで、サブタイトルの方が受けだな」

「『攻め』と『受け』って何ッスか?」

「『攻め』は男役、『受け』は女役」

「えっ?『役』?」

「あぁ。この本の主人公とヒロインは男だぞ」

「えぇっ!」


クリストフ、大袈裟に驚いてくれてありがとう。

しかし、俺とイスタークは事前知識があるから驚きもしない。

ただただ、苦虫を噛み潰したような顔をしている。


「それで殿下。その本のモデルが俺達とは…」


今日、初めてのイスタークの発言だ。

少し時間が掛かったが、立ち直ってきたようだ。


「まず、『王子の恋』は俺とショウ王子だ。黄金は全てショウ王子を表しているんだろう。恐らく、瞳の色からきている」

「じゃ、じゃあ、翡翠はもしかして僕ですか…?」


ヨハンが恐る恐る聞く。


「間違い無い。そして、その相手はクリストフだ」

『はぁ!?』


二人がハモる。


「考えてみろ。狙撃手(スナイパー)だぞ?この国一番の狙撃手(スナイパー)と言えば?」

「あ〜〜〜…、俺ッスね…」


クリストフが謙遜もなく、返事をする。

自意識過剰のようだが、事実は事実だ。

この場の誰もが認めている。


「ヨハンが相手とか…、マジ無い…」

「僕だって不本意ですよ!しかも女役なんて…」

「まだ、ロイドの方がイケるか…?」

「止めろ、クリストフ」


コイツは、なんてことを言っているんだ…。


「じゃあ、『龍』と『奏でる』は?」

「フェイロン皇子とルドルフ王子だな」

「エイダ王女、兄までモデルにしてるんッスか?!」

「あの人はそういう人だ…」

「恐ろしい妹ッス…」


本当に…。

なぜ、そんな身近な対象で小説を書いているんだ。

しかも内容が恋愛に留まらず、()()にまで及んでいるなんて。

確かにエイダ王女の書いている本は、今までのミストラルには無い娯楽本だ。

クロエに聞いた所、貴族だけでなく平民にも爆発的に広まっているらしい。しかも年齢問わずだ。

理由は、嫉妬せずにいられるし、最高にドラマチックだからとの事。


男女がくっつく話なんて、飽きるほどありふれているし、何ならヒーローに恋しても絶対につまらない(ヒロイン)に持っていかれる。

これが男同士だと、不思議と読んでても嫉妬心が起こらないらしい。それに同性であるという、最大の障害が立ち塞がるため、自然と二人の恋を応援してしまうそうだ。


我が国の女性達は、相当娯楽に飢えていたのか…。


「でも、ギャビーは何で小説を読んで俺とロイドを勘繰ったんだ?普通に考えれば、空想物語だとわかるだろうに」

「兄貴の愛が足りなかったんじゃないか?」

「そんなワケあるか!俺はいつでも全力投球だ!」


イスタークが喚く。

俺だって、レティに全力投球している。

疑われるなんて心外だ!

しかもイスタークと!!

レティには、今以上にわからせてやらねばな…。


「ロイドは、なぜ二人が信じ込んでしまったのかわかるか?」


殿下が聞いてくる。


「クロエが言うには、描写が生々しいそうです」

「描写が生々しい?」

「はい。まるでその情景を見ていたような書き方をされているようです。例えるなら、観察日記でしょうか?」

「観察日記って…。それ、もう事実じゃん」


クリストフが俺とイスタークに、疑惑の視線を寄越す。

…が、すぐにイスタークに殴られた。


「そんなワケあるか!」

「そうですよ。胸クソ悪い…」


殿下が苦笑いする。


「ふむ。観察日記か…」

「殿下?」

「その本を読んだ女性達が、小説までとは言わなくとも、イスタークとロイドのやり取りを見た事があったらどうなる?」

「関連付けそうですね…」

「しかも、噂好きの貴族令嬢達の事だ。今はどこへ行っても二人の話でもちきりだろう。ガブリエラ嬢は、次期辺境伯夫人として茶会も多い筈。最初はあり得ないと思っていても、何度も同じ話をされたら…」

「自分の認識を疑いそうですね」


しかも、尾ひれはひれが付いた話を聞かされていそうだ。

平民まで広まっているとなると、ハウスメイド達も同じ話をしているだろう。

数の暴力は恐ろしいからな…。


「でも、クロエが信じてなくて良かった…」

「あっ!殿下。言い忘れましたが、貴族に出回っているのは『死神の恋』だけですよ。その他のシリーズは、平民にしか販売されていません」

「何っ!」

「どうも、平民の反応を見てから貴族に販売されているようです。凄いですね。エイダ王女は市場調査をしてから、貴族に販売する本を選んでいるみたいなんですよ」

「こんな所で有能さを披露しなくても…。で、次に販売されるのはわかっているのか?」

「『王子の恋』です」

「ヨハン、差止めだ!」


殿下が叫んだ。

ズルい…。


ア)差止めだ!ヨハン!

ヨ)もう、明日には発売されるので無理です。

ア)くそぅ!

ロ・イ)ざまぁ…


✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩


読んでみて面白かったなぁと思われた方は、よろしければブクマ評価もお願いしたいです!!

大変、励みになります(。>﹏<。)

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