39.頼もしい助っ人
「そういえばユリア。ショウ王子はフェイロン皇子とルドルフ王子と、この滞在で仲良くなるんだよな?」
「そうですよ」
「仲良くなるなら攫われないんじゃないか?」
アレクシス殿下がユリアに尋ねる。
「そういえばそうですね…」
「ならそんなに警戒しなくてもいいんじゃないか?」
殿下が俺を見る。
「しかし、万が一…という事もありますから。相手はフェイロン皇子ですし」
「だよなぁ…、可能性が少しでもある以上、警戒しておいた方がいいか…」
「でも、どうやってお三方は友好を深めるのでしょう?」
ヨハンが漠然とした疑問を投げかける。
「ユリア、覚えてる?」
「う〜ん。以前レポートにも纏めましたけど、私は攻略重視でプレイしていたので…。そんなサイドストーリーまで記憶に無いですよ…」
「困りましたね…」
「あっ、でも!」
「何か思い出したのか?」
「もう一人いるじゃないですか〜、詳しいお方が…」
ユリアがニマニマしている。
「あっ!エイダ王女か!」
「そうです!しかも、おそらくですけど、本編より男同士のシナリオ部分に精通していると思います!」
「あ〜…、確かに…」
アレクシス殿下が何とも言えない顔をする。
つられてイスタークも変な顔をしている。
この前の事を思い出したようだ。
「では、エイダ王女に時間を作ってもらわないとな…。時間…、あるかな?」
殿下がそう懸念するのには理由がある。
折角オルフェル連邦国の天才音楽家達が来訪しているのだからと、異文化交流という名のもとに、国内の音楽学校や劇団・オーケストラなどが二人のスケジュールを目一杯抑えているのだ。
流石は芸術の国からの来賓である。
同じくフェイロン皇子やショウ王子、レオ王子ですら、各国に縁のある各所から声が掛かっており、外交に忙しくしている。
意外と皆、暇ではないのだ。
そんな中でどうやって交流を持つのか…。
「取り急ぎ、エイダ王女との面会は急務だな」
「殿下、その前に会って頂きたい方がいます。もう、スケジュールも押さえてありますので」
「誰だ?そんな人いたか?」
殿下が首を傾げる。
「ユファ王太后様ですよ」
「ああ!!すっかり忘れてた…」
「まったく…。ついでにシュブラン皇国についてもきちんと探りを入れて下さいよ」
「えっ?ロイド、一緒に来てくれないの?」
「同じ場にはいますが、王太后様と王太子の会話に割って入れるワケ無いでしょう」
「え〜。叔父上の時は違ったじゃん!」
「それはサミュエル様から私に要請がありましたからね。今回はアレクシス殿下が申し入れた形になっています」
「え〜〜」
「文句言わない」
殿下が不貞腐った顔をしている。
「殿下は王太后様も苦手なんですか?」
イスタークが聞く。
「というより、お祖母様と叔父上の二人だけだよ。苦手なのは…」
「何でまた?」
「叔父上は、あのテンションに付き合いきれないから体力的にキツい。お祖母様は、底が知れないし腹の探り合いになるから精神的にキツい」
「なるほど」
「でも、ロイドは平気なんだろ?」
「サミュエル様は私も苦手ですよ。王太后様は…、師匠ですからね。慣れました」
『えっ?』
イスタークとヨハンとユリアが驚いている。
「どういう事なんですか?」
ヨハンが聞く。
「師匠と言っても、『政治』のですよ。父も王太后様に鍛えられたそうです」
「ウィラー公爵家と縁が深いんですね…」
「最近は王族が少ない為、めっきり減りましたが、一昔前までは公爵家には王族が降嫁してましたからね」
「そういえばロイドは公爵家の人間だったな」
「どういう事ですか?」
俺はイスタークを睨む。
誂おうとしているのが見え見えだ。
「ロイドは、もう…『ロイド』っていう人種な気がして…」
「は?」
「爵位なんか超越した存在ってこと」
「それ、褒めてるんですか?貶してるんですか?」
「褒めてる褒めてる!」
俺はジト目でイスタークを見るが、相変わらずニヤニヤしている。絡んでもこちらが疲れるので放っておこう。
「では、褒め言葉として頂いておきますよ」
「そうしてくれ」
イスタークとの会話に区切りをつけ、アレクシス殿下に向き直る。
「苦手意識かあっても、頑張って王太后様と腹の探り合いをしてくださいね」
「わかったよ。で、いつ会うんだ?」
「明日の午後です。アフタヌーンティーをご一緒したいそうですよ」
「げぇ!長くなりそう…」
「可愛い孫を演じてきてくださいね」
「善処するよ…」
憂鬱そうに殿下が返事をする。
だが、ここで一肌脱いで頂かなければ、お先真っ暗だ。
殿下には後で、王太后様マニュアルでも伝授しておくか。
次回はユファ王太后様との面会です。
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