35.重い想い
いつもありがとうございますm(__)m
訓練場でいい汗をかき、それぞれが帰る支度をしている。
イスタークとクリストフは訓練場をめちゃくちゃにしたため、辺境伯監視のもと訓練場整備中だ。
カイオム騎士団長が遅れてやってきて、状況を察し、すごく悔しがっていた。
どうやら仲間に加わりたかったらしい。
憐れに思ったミレン辺境伯が稽古をつける約束をして事無きを得た。
でなければ、おっさんが駄々をこねる姿をずっと見させられる所だった。
はっきり言ってツライ…。
クリストフはいつもこんな目に遭っているのかと思うと、ちょっと同情した。
エイダ王女は何故かおっさん二人の遣り取りに興奮していたが、そこはそっとしておいた。
ユリアに聞いたら、「見てないフリがエチケットです」と言われたからだ。
訓練場を後にしようとするとクリストフから声を掛けられる。
「ロイドに朗報」
「何だ」
「ショウ王子がなんで『レティ』呼びしてたかわかったよ」
「えっ!」
クリストフ…、何故俺がソレを気にしているとわかったんだ…。
少し動揺してしまったのがいけなかった。
「やっぱり…」
そう言ってニヤニヤする。
この兄弟のこういう所が嫌だ…。
「まぁ、気持ちはわからなくもないよ。俺だってイザベラが他の男に馴れ馴れしくされてたら、殺ッちゃうだろうし」
朗らかに言っているが、とんでもない発言だ。
確かに俺も同意見だが…。
「で、どういう理由だったんだ?」
「すごい拍子抜けな話。普通にレティが、『レティとお呼びください』と言ったみたいだよ。相手は他国の王子だからね。自分を遜ったんだよ。家族や同性以外に愛称で呼ばれる事が、どんな結果を招くかを考えずにね」
「クリス!サボってんな!!」
ミレン辺境伯の怒声が響く。
「やべっ!俺、もう行かなきゃ。じゃあなロイド!レティにお仕置き頼むな」
そう言って、クリストフは走っていった。
あっ、ゲンコツされた…。
しかし、有意義な情報を持ってきてくれたな。
俺はてっきり、もっと親密になっているのかと思っていた。
殿下の言う、『強制力』というものがずっと気になっていたからだ。
クリストフには、後で美味しい物でも差し入れしておくか。
しかし、溺愛しろと言われているのに、お仕置きしろとは。
なぞなぞかよ…。
俺は、おおいに悩んだ。
仕事より悩むな、これは…。
その夜、俺はレティを自分の部屋に呼んだ。
「失礼します」
そう言って、レティが入室する。
彼女をここに呼んだのは、詩の暴露大会以来だ。
心なしかちょっと緊張しているように見える。
俺もなんだがな…。
頑張れ、俺の理性!
仕事を全うしろ!
「いらっしゃい。どうぞ、こっちに来て」
俺はレティに、ソファの方に来るように指示する。
レティがいそいそと移動し、俺の向かいに座った。
「違うよレティ。こっち」
「えっ!」
戸惑いながらも、レティは指示通り俺の隣に座る。
照れて縮こまっている姿がなんとも可愛い。
俺はにっこりしながらレティの腰を掴み、そのまま横抱きに俺の膝の上に座らせた。
「きゃっ!ロイ様!!」
そしてそのまま、ぎゅっと抱きしめる。
お風呂あがりの良い匂いが、男心をくすぐる。
理性、めっちゃ仕事してるな…。
ただならぬその行為に、レティが心配そうに声をかけてくる。
「ロイ様?どうされました?」
「……」
「ロイ様?」
「レティは…」
「はい」
「レティは、何でショウ王子に愛称を呼ばせているの?」
「わ、私の方が身分が低いので『レティ』とお呼びください、と申しあげたんです」
「俺の気持ちも考えずに?」
そう言って、伏せていた顔を上げレティを見つめる。
「はうぅぅ!!」
なんかレティから、変な声が聞こえた。
が、まぁいいか。
「ねぇ。親しくもない他の男に『レティ』呼びをされて、俺が嫉妬しないとでも思った?」
「し、し、し、嫉妬ですか!?」
「うん。思いを寄せる人の心が、他の人に向かってしまうのではないかというネガティブな気持ち。そしてその人を妬む気持ち」
「意味くらい私もわかりますよ!」
レティが慌てている。チラッとテーブルに目を向け、合点がいったとばかりに話しかけてくる。
「ロイ様、もしや酔ってらっしゃいます?」
「ソレは用意してあるだけで、一滴も飲んでません」
「うっ…」
「ねぇ、どうなの?」
俺は極力、夜の雰囲気を纏いながら聞き返す。
レティが両手で顔を隠しながら、ボソボソ何か言っている。
「何?聞こえない。もう一回、言って」
普段より少し低めの声音で懇願するように言うと、レティは徐ろに顔を隠した手を取って言い返す。
「ごめんなさい!ロイ様が嫉妬されるなんて思いもしませんでした!」
顔が真っ赤で、ちょっと涙目になっている。
「レティ、困ってる?」
「あた、当たり前です!こんな格好で、こんな雰囲気で、好きな人に『嫉妬した』なんて言われたら…。もう、心が追いつかずにパニックです!!」
その言葉に、今度は俺がびっくりする。
レティは、俺のことを『好きな人』だときちんと認めてくれているんだ。飾り気のない、思わず出てしまったという本音に心が温かくなる。
好意を返してくれてはいるが、本当に非情な俺なんかを好きなんだろうか?という想いが、俺には常に付き纏っていた。
そのため、そのマイナスな想いを否定するような言葉を聞くと、ひどく安心する。
俺は口元をフッと和ませる。
「レティ、前にも言ったよね?俺は君に関してはとても狭量な男なんだ。些細な事でも嫉妬してしまう。それくらい君のことが好きで、愛しているんだ」
「ロイ様…」
「こんな重い男は嫌かい?」
「嫌じゃ無いです!私にとってもロイ様は半身のような存在です。ロイ様知ってます?私も重い女なんですよ?」
「ふふっ。じゃあお似合いの二人という事だね」
「そうです。後悔しないでくださいね」
「望む所だよ」
二人の距離が近づき、口付けを交わす。
そして、夜は更けていった。
さて、どうなるのでしょうか(笑)
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