34.sideショウ
目の前で、先ほどよりも激しい戦いが繰り広げられている。
剣を持っているのは、レティとロイド様だ。
素人が見ても、レベルの高さがわかる。
それと同時に、僕との試合が如何にロイド様にとって児戯に等しかったのか、わからされた。
これで得意な武器が剣では無いなんて信じられない。
レティにしてもそうだ。
フェイロン皇子との戦いの時より、動きに鋭さが増している。
先ほどから隣にいるテオ団長の口からは、「すげぇ」という言葉しか聞こえない。
僕もそう思う。
語彙力が無くなってしまうくらい、二人の戦いはこの場を圧倒していた。
しかし、段々とレティがロイド様を追い詰めていく。
その時、イスターク様が大声を張り上げる。
「ロイド!!コレ、必要か?」
そう言って掲げたのは、槍だった。
「頼む!」
ロイド様も声を張り上げる。
そしてレティとの間合いを取るため、一度彼女を突き飛ばす。
その瞬間、イスターク様が槍を投擲した。
『投げた』のではない。あれはもう『投擲』だ。
鋭い矢のように飛んでいく槍を見て、アレでは誰も取れないだろう…と思ったが、ロイド様はそれを難なくキャッチした。
驚きである。
テオ団長を見ると、失神寸前だった。
「イスターク!感謝する」
普通にお礼を言うロイド様を見て、彼等は人間では無いのかもしれない…、と思った。
「ロイ様!それなら私も本気でいきますよ!」
そう言ったレティの雰囲気が変わった。
えっ?今までは本気じゃなかったの!?
あんなに激しかったのに、これからが本番なの!?
この二人…、怖い…。
結果、槍を手にしたロイド様はめちゃくちゃ強かった。
きっと、ロイド様の得意な武器は槍なのであろう。
そうじゃなかったら怖い!
あれ以上強くなるなんて考えたくない…。
最後はロイド様がレティの武器を破壊して勝利を収めていた。
試合後の二人の清々しい様子が目に焼き付いて離れない。
すると、意外な人物に声をかけられた。
レティのお兄様のクリストフ様だ。
「ショウ王子、お疲れ様です」
「お疲れ様です。クリストフ様」
「私に『様』なんて要らないです。クリスと呼んでください」
「ハハッ、流石はレティのお兄様ですね。彼女と同じ事を言う」
「まぁ、兄妹ですから。しかし、コレで謎が解けました」
「何がです?」
僕は心当たりが無かったため、首を傾げる。
「ショウ王子が、どうして我が妹を『レティ』と呼ぶのかがです」
「もしや…。ミストラル王国では、重大なルール違反だったのですか!?」
僕はその話を聞いて青くなる。
「いえいえ。本人が許可したなら異論はありません。ただ、狭量な友人のために話を伺いに来ただけですよ」
クリスはそう言って、人当たりの良い顔でケラケラと笑った。
「ショウ王子。あの二人の試合をご覧になってどうでしたか?」
「はっきり言って、ついていけません。僕が今から鍛錬した所で、追いつけるかどうか…」
「そうですね。そんなに後ろ向きな方では難しいでしょうね」
「貴様!殿下に向かって!!」
テオ団長が臨戦態勢に入る。
「私たちは、始める時期が早かっただけです。そしてたゆまぬ努力をした。見てください、今からアレクシス殿下が戦いますよ」
訓練場の中央を見ると、レティとロイド様の代わりにアレクシス殿下とヨハン様が対峙していた。
「えっ?あの二人、戦えるのですか!!」
僕はびっくりしてクリスに聞き返す。
「戦えますよ。どうやら、ロイドとレティの戦いぶりに触発されたようです」
開始の合図が出た後、二人は戦いだした。
先ほどの戦いぶりには及ばないものの、この二人の動きも常人離れしている。
とにかくスピードが早く、手数が多い。
僕が口をポカンと開けて見ていると、
「あんな華奢なヨハンも、王子であるエレガントなアレクシス殿下も、最初はショウ王子と同じでした。しかし、強くなりたい一心で頑張り今のようになったのです。全ては、心の持ちようですよ。では」
そう言って、クリスは去っていった。
「心の持ちよう…」
僕も、努力すればあんな風になれるのだろうか…。
考え込んでいると、テオ団長が声をかけてくる。
「ショウ王子、一つダイス王国に報告しなければなりませんね」
「何を?」
「命が惜しければ、彼等がいる間は絶対にミストラル王国ヘ攻め入ってはいけない、という事です」
その意見には、僕も激しく同意した。
よそ行きバージョンのクリストフなので、こんな口調です(笑)
アレクシス・ヨハン戦の後は、イスターク・クリストフ戦でした。
ただ、激しすぎて訓練場を壊す所だったので、父のエドワードにぶん殴られて終わりました。
辺境伯、強し!!
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