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30.悪役令息

レティとフェイロン皇子との手合わせ当日。

その前に、絶対負けられない戦いの火蓋が切って落とされた。


「ロイド様、約束は覚えていますよね?」

「ええ、勿論です」


ショウ王子、やけに自信満々だな。

見た感じ、あまり上達したと思えないが…。


「僕はこの日のために、テオ団長の厳しい特訓を受けました!もう、会った時の僕とは違いますよ!」

「そうなんですね。それは楽しみだ」


その自信を挫くのがな。



――――ショウ王子


僕は今日のために頑張った!

それもこれも、鬼畜な婚約者からレティを救うためだ。

対戦まで日数は少なかったが、テオ団長から直々に特訓を受けた僕と、公務に追われ碌に練習が出来ていないだろうロイド様とでは雲泥の差だろう。


テオ団長の特訓は厳しかった…。

短期間で上達させろ!、なんて無理難題だったからだ。

でも僕はそれに食らいついた。

テオ団長も、そのガッツに心を打たれたようだった。


今まで、こんなにも剣術に打ち込んだ事はない。

体が悲鳴をあげている。

でもこれは負けられない戦いなんだ!

この戦いに勝利したら、自分の殻を破る事ができる気がする。


ロイド様は涼しい顔をしている。

きっと、情けない僕しか知らないからだ。

その油断が命取りになる事も知らずに…。

余裕でいられるのも今のうちだけだからな!


レティがやって来た。

相変わらず綺麗だ。

婚約者の義務だからか、ロイド様に声を掛けている。

一見、仲が良さそうに見えるが、彼女の尊厳を踏みにじっていることはわかっているんだからな!

テオ団長から、フェイロン皇子は素晴らしい剣技の持ち主だと聞いている。

そんな相手に自分の婚約者を当てるなんて、本当にどうかしている。テオ団長も怒り心頭だった。

いくらレティが『剣姫』と呼ばれていても、フェイロン皇子には敵わないだろう。

『剣姫』とは()()()()()()()()()()だと、テオ団長は言っていた。

さすがに実践経験は浅いだろう。


…というかあの二人、イチャイチャしすぎじゃないか?

これが対決前だとわかっているんだろうか…?


はっ!まさか、僕への当てつけか?

でも、レティもきっと本心では戸惑っているに違いない!

おのれ…、ロイド・ウィラー!

絶対にお前の魔の手から彼女を救ってみせる!!


僕は鋭い視線をロイドヘ送った。



――――ロイド


ショウ王子がこちらを睨んできている。

はっきり言って、全然怖くない!

子犬が涙目でこちらを見ているようにしかみえない。


「ロイド様!初手が重要ですよ!初手が!」

「ありがとう、レティ。初手が肝心なんだね」

「ロイド様は剣筋にスピードがありますが、いつも少し威力が抑え気味になっています。思いっきり力を込めてくださいね!」

「いや、それだとショウ王子が死んでしまわないか?」


レティのアドバイスは的確だが、確実に息の根を止めるアドバイスだ…。

俺の実力を考えると、ある程度手加減しないと本当に殺しかねない。全力で叩きのめしたいのは山々だが、国際問題にも配慮しなければ…。

どうしたら一番、相手に絶望を与えられるかなぁ?

やっぱり、あの方法が一番かな?


まぁ、改めて俺も性格が悪いと思う。

でも、この俺に勝負を挑んだのだ。

覚悟の上だと俺は理解する。


「ロイド様。頑張ってくださいね」

「あぁ、レティの声援にきっと応えるよ」

「ロイド、頑張れよ」

「ロイドさん、負けないでくださいね!」

「義弟よ!恥は晒すなよ?」

「心の兄貴!頑張れ!」

「お兄様、ぶちかましてやりましょう!」

「みんなもありがとう」


クロエの口が悪いのが気になったが、みんなの気持ちもありがたい。

俺は剣を携え、ショウ王子に対峙した。



「両者、構え!」


豪華なことに、ミレン辺境伯が審判を務めてくれる。

義父の前で情けない姿は晒せないな。

俺は剣を構える。


「始め!」


俺はレティが褒めてくれたスピードを武器に、アドバイス通り力を乗せ、ショウ王子の()の一点を狙って振り下ろす。

ショウ王子が苦悶の表情になる。

そしてそのまま剣を落とした。

落ちた剣は床につく前に、真っ二つに割れる。


「あぁ、すみません。剣が割れてしまったので、仕切り直しですね。新しい剣を用意しますので、少々お待ち下さい」


ショウ王子の顔が絶望に染まった。

だが、「参った」などとは言わせないぞ。

お楽しみの時間はこれからだ。


チラッとミレン辺境伯を見ると、ニヤニヤしている。

伯も、意外といい性格しているな…。

おそらく俺のやろうとしている事がわかっている。

テオ騎士団長は、驚き過ぎて口が開きっぱなしだ。

俺の実力を見誤るからだ。


俺は腰を抜かしているショウ王子に手を貸し、立たせる。


「あの…ロイド様、僕…」

「ショウ王子、新しい剣が到着しましたよ。さぁ、続けましょう!ショウ王子も、まだまだやる気ですね!私も頑張ります」


ショウ王子が青ざめた。

そこに、無情にもミレン辺境伯の声がかかる。


「男のプライドを賭けた戦いと聞いています。私も()()()()きっちり見守らせていただきます。では、構え!」


俺とショウ王子は強制的に構えさせられる。


「始め!!」




主人公なのに、きっちり悪役令息やってます(笑)


✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩


読んでみて面白かったなぁと思われた方は、よろしければブクマ評価もお願いしたいです!!

大変、励みになります(。>﹏<。)

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