18.ティーダ国レオ王子、ダイス王国ショウ王子
いつもありがとうございます!
豪奢な衣装に、浅黒い肌。
ホワイトグレーの髪に、切れ長の紅い瞳。
イスタークのような長身で均整のとれた体のワイルド系イケメンは、妻のアビゲイル嬢の腰を抱きながら登場した。
アレクシス殿下の顔が引き攣っている。
まぁ、見た目の華やかさのレベルが違う。
小さな声で「負けた…」と呟いているのが聞こえた。
確かに、年下なのにあの貫禄は感嘆に値する。
レオ王子は現在18歳。
レティやクロエ達と同い年だ。
大人びたその姿は、俺達より年上に見えた。
隣にいるアビゲイル嬢も、こちらにいた時より垢抜けている。母になるからか、昔と違い落ち着きがプラスされていて、なるほど『聖女』とティーダ国で言われている理由がよくわかる。
金髪碧眼で色白の彼女に、ティーダ国の衣装はよく似合っていた。
だからなのか、しきりにレオ王子が邪な視線に対して牽制の睨みをきかせている。
アビゲイル嬢…、めちゃくちゃ愛されてるな。
その後ろを大人しくついてくるのがダイス王国のショウ王子だ。
中肉中背、猫背で覇気は無い。髪の毛の色は濃い緑色で、瞳の色は前髪に隠れてよくわからないが、なんとなく金色?っぽい。顔の造形もよくわからないが、悪くはないと思う。
彼の兄弟達は美形だからな。
どちらにしても、今の自身の無い姿からは野暮ったさしか感じられない。
コイツが主人公?と、側近の誰もが思っていた。
アビゲイル嬢の話を聞くまでは…。
「レオ王子、ショウ王子、アビゲイル嬢、遠路はるばるようこそ」
「アレクシス王子、此度はおめでとうございます。また、先だってはイロイロご支援くださり、感謝しています」
そう言って腰を折ったのはレオ王子だ。
アビゲイル嬢は軽く腰を落とすカーテシーをする。
「ありがとうございます。隣人なのです。困った時はお互い様ですよ」
アレクシス殿下はそう言って、レオ王子と握手する。
「それに我が国の令嬢を伴侶に選んでくださり、こちらも大変喜ばしいです。アビゲイル嬢も息災のようで」
「はい、アレクシス殿下。レオ王子には大変良くしていただいています。良い縁を結んでくださり、ありがとう存じます」
そう言ってニッコリ笑ったアビゲイル嬢は美しかった。こちらもレオ王子の事を心から愛しているのだろう。
レオ王子も素直なアビゲイル嬢に感動している。
「ショウ王子もお出でくださり、ありがとうございます」
「そ、そ、そんな!こちらこそ!ア、アレクシス王子の戴冠、楽しみにしています。おめでとうございます!!」
オドオドしながらショウ王子が挨拶をする。
アレクシス殿下がそれに応えるように握手を求める。
慌ててショウ王子も手を差し出し、握手する。
それを見ながらアビゲイル嬢が口を開く。
「アレクシス殿下、私は先程ショウ王子に助けていただいたんですよ」
「おや、そうだったんですか?」
「はい。馬車酔いして少し気分が優れなかった所にショウ王子が通りがかってくださり、薬を処方してくださいましたわ。しかも私の様子を一目見て妊婦と察してくださり、適切な薬をくださいましたの。大変立派な行いでしたわ」
そう言って、キラキラした目でアビゲイル嬢がショウ王子を見つめる。
「いや、あのぅ…、当然の事をしただけなので…。そんなに褒めないでください…」
アビゲイル嬢の羨望の眼差しにタジタジになっている。
「何をおっしゃいますか!少なくとも、私はそれで救われたのです。もっと誇らしく思ってくださいませ!!」
アビゲイル嬢…、グイグイ行くな…。
ショウ王子の手を両手で握りだしたぞ。
見てみろ、さっきまで幸せな顔をしていたレオ王子が般若のような顔をしている。
落差が凄いな。
さすがにこれは止めに入るだろう、と思っていたら案の定、レオ王子がアビゲイル嬢を自分の元に抱き寄せた。
「私からも礼を言うぞ、ショウ王子」
全然、礼を言う態度では無いんだが…。
レオ王子、めちゃくちゃ目で牽制している…。
ショウ王子は、それに気付いていないのかヘラヘラしたままだ。
そんな状況の中、宰相が来て彼等を連れて行く。
俺達は顔を見合わせた。
「あれって、アビゲイル嬢が攻略されたって事ッスか?」
「そのようですね」
「凄いですね。アビゲイル嬢、ティーダ国に行く前はロイドさんしか見えてなかったのに…」
「そういえばそうだったな。今日はロイドには一瞥もくれなかったぞ」
「あれが主人公の女の子ホイホイか…。俺も気をつけないとクロエを奪われて、レオ王子の二の舞だな…」
それぞれがそれぞれ、思う所があったようだ。
「いや〜レオ王子、すっっごい美形でしたね!!攻略したかった…」
『ユリア!!』
何処からともなく、ユリアがひょっこり現れる。
「見てたのか」
「はい!バッチリ」
「それで…。ショウ王子の様子をどう見る?」
アレクシス殿下が訊く。
「ショウ王子はたぶん転生者では無いですね。今作ではレオ王子は出て来ないのに、対応に戸惑いがありませんでした。ただ、ショウ王子の主人公力は絶好調とみます。まだ前髪を切って無いのに女の子を攻略してますからね」
「えっ?あの前髪、切るイベントとかあるの?」
「はい!ある程度女の子達と仲良くなったら、ラストスパートかけるために、『決意の現れ』として前髪を切って顔を晒すんですよ。そうすると…」
「そうすると…」
「女の子達が入れ喰い状態になります。お察しかもしれませんが、場合によってはハーレムエンドですね」
「やっぱりあるのかよ!ハーレムエンド!!」
アレクシス殿下が荒れている。
「『ハーレムエンド』って?」
クリストフがユリアに訊く。嫌な予感しかしないが…。
「『僕は一人なんて選べない!みんなといつまでも仲良くいたいんだ!この気持ち、みんなならわかってくれるよね?』『当たり前じゃない!私たち、そんな優しいショウが大好きなんだから♡これからも、みんな一緒に仲良く暮らしましょう』エンドです」
……。
『はぁぁぁ〜〜!?』
ハーレムエンドって、そりゃ当事者からしたら
「はぁぁぁ〜〜(# ゜Д゜)」
って案件ですよね…。
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