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第32話:巨獣の介入と砂の掟

レオン、アナベル、ポールは武器商人地区の喧騒を背にし、島の鬱蒼としたジャングルを抜けて秘密の入り江へと向かう狭い岩道へと曲がった。

レオンは新調した『斬り込み用の鎖鉤ボーディング・フック』の重い鎖を爪の間で滑らせながら、軽やかで誇らしげな足取りで歩いていた。夕日に照らされたダークメタルの【野獣の指輪】が微かに輝いている。


「このオモチャを試すのが待ちきれねえな」

船長は致命的な笑みを浮かべ、牙を覗かせて呟いた。


しかし、彼らが道の半分も進まないうちに、出口は突然塞がれた。

路地の暗がりや石造りの建物の屋根から、武装した数十の人影が飛び降り、道をバリケードのように封鎖したのだ。

それは、すでに武器を抜いた、人相の悪い海賊の一団だった。その暴徒の中心で巨大なバトルアックスを振り回し、盲目的な怒りで泡を吹いていたのは――あの【レベル48】のサイの獣人だった。


「本当に逃げおおせられると思ったか、犬コロが!!」

巨獣は地面に唾を吐き、咆哮した。

「イカサマして俺の金を奪いやがって! ここにはもう守ってくれる宮殿の近衛兵はいねえ! 全員ぶっ殺して、俺の金を取り戻せ!」


その号令と共に、海賊たちは剣、ハルバード、ナイフ、スパイクメイスを掲げ、血に飢えた猛烈な突撃を開始した。

ポールは本能的に青い稲妻を纏うサーベルを抜き、アナベルは炎の短剣を点火し、レオンは左腕の伝説の盾を構えて右手でフックの柄を握り、大虐殺を解き放つ準備をした。


だが、二つの勢力が激突するよりも早く、巨大な影が路地を覆い隠した。


ズズズーーン!!!


建物の基礎を揺るがすほどの鈍く破壊的な轟音が響き、石畳の道が砕け散り、厚い土埃と岩の破片の雲が舞い上がった。

何か――いや、誰かが、隕石のような力で空から降ってきたのだ。それは路地のど真ん中、レオンのトリオと海賊たちのちょうど中間に着地した。


土埃が晴れると、サイの獣人の一団は急ブレーキをかけた。


彼らの前に立っていたのは、すり切れた革のオーバーコートを羽織り、全身傷だらけの、タイタンのように巨大で止まらない巨躯だった。

ポールの目が大きく見開かれ、全身の毛が逆立った。今朝、手配書で見たばかりのその顔を、瞬時に認識したのだ。


グロッグ。

恐るべき【レベル58】の海賊、『カバの獣人ヒッポマン』。


サイの獣人との「10」レベル差が放つ精神的な圧力はあまりにも圧倒的で、路地の空気を文字通り窒息させるほどだった。

巨獣は地面に足を踏みしめ、巨大で筋肉質な腕を組み、迫り来る土砂崩れのように反響するしわがれ声で、絶対的な命令を唸った。


「そこから一歩でも動いてみろ」


誰も動こうとはしなかった。

サイの獣人でさえ冷や汗をかき、震える手で斧を握りしめている。


グロッグは、その小さく無慈悲な視線を海賊団からレオンへ移し、再びサイへと固定した。


「お前ら二人が殺し合いたいなら、この路地ではやらせねえ」

カバの獣人は砂利を噛むような声で宣告した。

「俺について来い。男らしく戦わせてやる。一対一、正面からな。街のど真ん中で大騒ぎして、甚大な被害を出さずにな……。万が一お前らがバカすぎて気付いてないなら教えてやるが、ここはすでに海軍のパトロールでウジャウジャしてやがるんだ。ここで大乱闘を始めれば、5分で3人の大将アドミラルが尻に噛みついてくるぞ」


サイの獣人は歯を食いしばった。彼のプライドが、このバケモノに対する本能的な恐怖と戦っている。


「な、なんで……なんで俺がてめえの言うことを聞かなきゃならねえんだ、グロッグ!?」

サイは一歩前に出て吠えた。

「てめえには関係ねえだろ! 俺とこのクソイカサマ野郎の問題だ!」


彼が話し終えたまさにその瞬間、頭上の空気が再び笛のような音を鳴らした。

ズドン! ズドン!

岩の地面を振動させる、さらに二つの途方もない着地音。


グロッグが降りてきたのと同じ屋根から、同様に威圧的な二つの人影が飛び降り、カバの両脇に完璧に陣取った。

右には、木の幹のように太い腕にスパイク付きのメリケンサックを装着した、巨大な【レベル55】のゴリラの獣人。

左には、鼻から濃い蒸気を吹き出し、巨大な双斧を握りしめる、激怒に満ちた【レベル54】の牛の獣人。


肩を並べて立つその三体の怪物の姿を見ただけで、サイの部下たちからは一滴残らず勇気が絞り出され、彼らは恐怖に怯えて後ずさりし始めた。


グロッグはまばたき一つしなかった。

その巨体からは想像もつかないほど流麗で恐ろしく速い動きで、彼は両手剣グレートソードを抜き放ち、サイの獣人の喉元に真っ直ぐ突きつけた。


「なぜなら、もし従わないなら」

グロッグは、血の凍るような虚無と殺意に満ちた瞳で唸った。

「俺たちが今ここで、お前らを皆殺しにするからだ」


サイの獣人は強く生唾を飲み込み、斧を下ろした。

彼に選択の余地はなかった。


一行は鉛のような沈黙の中を20分ほど歩き、ジャングルを抜けて隠された入り江に出た。

それは暗い岩の高い崖に囲まれた、孤立した三日月型のビーチだった。太陽はすでに沈みかけている。


グロッグはビーチの中央で立ち止まり、タイタンのような大剣を砂に突き立てた。ゴリラと牛の獣人は両脇に立ち、天然のアリーナの守護者としての役割を果たす。


「お前らはここで戦う」

カバの獣人が宣言した。

「一対一。正面からだ。先に相手を殺した方が勝ちだ。もしお前らのクルーの誰かが手出ししようとしたら、俺たちが全員残らず屠ってやる」


サイの獣人は砂に唾を吐き、部下たちから離れると、肩の筋肉をほぐすために斧を回した。

「分かりやすくていい。俺の素手で、あいつを八つ裂きにしてやる」


ビーチの反対側で、レオンはポールとアナベルに安心させるように頷き、ジャングルの端に留まるよう命じた。

彼は中央へ向かって歩き出す。伝説の盾が夕暮れの光の中で鈍く輝いた。


しかし、戦闘に入る前に、レオンはほんの一瞬だけ目を閉じた。

相手が恐るべき【レベル48】であることは分かっている。彼自身も怪物的な【レベル41】に達していたが、その成長で得たステータスポイントはまだ使っていなかったのだ。


彼はパーソナル・ハブを開いた。

【180ステータスポイント】は計り知れない宝だ。

正面からのぶつかり合いでは、サイの獣人の圧倒的な腕力と「7」レベルのアドバンテージが重くのしかかるだろう。しかし、レオンに攻撃を大人しく受ける気など毛頭なかった。

(標的に当たらないなら、どれだけ腕力があっても全くの無意味だ)と彼は考えた。


爪でインターフェースを素早くスワイプし、彼は120ポイントを『素早さ(SPD)』に全振りし、残りの60ポイントを『防御力(DEF)』に注ぎ込んで耐久力を固めた。


【 ステータスポイントを割り当てました。 】

【 素早さ (SPD): 230 -> 350 】

【 パッシブスキル強化:野生の疾走 ―― 永続的な素早さベースボーナスが100%に増加しました。あなたは生きた稲妻のように動きます。 】


レオンは、純粋な電気エネルギーが脚を駆け上がるのを感じた。

まばたきと共にインターフェースを閉じる。ちょうどその時、サイの獣人が完全に我慢の限界を迎えていた。


雄叫びと共に、装甲の巨獣は脱線した列車のように突進してきた。

彼は巨大なバトルアックスを両手で握りしめ、レオンの頭蓋骨を真っ二つに割るべく、頭上から振り下ろした。


斧は終末的な暴力で叩きつけられた。

その衝撃は大地を粉砕するほどだった。刃はビーチに深さ数メートルのクレーターを穿ち、砂と岩の破片の爆発を巻き起こして、視界全体を覆い隠した。敵クルーの海賊たちは、その止まらない破壊力に勝利の歓声を上げた。


しかし、濃い破片の雲が晴れ始めた時、サイの獣人は目を大きく見開き、息を詰まらせた。

彼の斧の刃の下には、血も、肉もなかった。

そこには、完全に『何もない空間』しかなかったのだ。


「遅いな。悲劇的なまでに、クソ遅え」


レオンの声が響いた。前方からではない。巨獣の巨大な背中の真後ろからだ。

耳の数センチ横で、レオンは致命的な落ち着きを払って囁いた。


サイの獣人は凍りついた。

血が猛烈な勢いで脳に上り、太い灰色の首の血管を膨れ上がらせた。自分のクルーの前で、そしてグロッグの厳しい監視の下でこんな風にコケにされた屈辱は、火薬庫に火を放つ火花となった。


「【野生化ワイルドビースト】!!」

巨獣が咆哮した。


濃く、圧迫感のある血のように赤いオーラが彼の体から爆発した。

不快な骨の鳴る音と共に彼の筋肉が膨張し、鎧の革紐を引きちぎる。その極限スキルの効果により、彼のステータスはほんの数分の一秒で跳ね上がり、腕力だけでなく、何よりも『スピード』を倍増させて、その差を暴力的に埋めてきた。


彼は体を反転させ、空気を切り裂く耳をつんざくような風切り音と共に、レオンを真っ二つに切り裂こうと両手持ちの水平薙ぎを放った。


突然のスピードの爆発に意表を突かれたものの、船長は『素早さ350ポイント』の純粋な本能に身を任せた。

驚異的な跳躍で、彼は上へと飛び上がる。

怪物的な刃がブーツの1ミリ下を通過し、その風圧だけで足元をすくわれそうになるほどだった。


しかし、【野生化】の怒りに突き動かされるサイの獣人は、まだ終わっていなかった。

斧が標的を外した瞬間、巨獣は片手を柄から離し、空いた腕を恐ろしい速度で上方へと突き出した。


巨大な灰色の指が、鋼の万力のようにレオンの足首に絡みつき、彼を空中でロックした。


「捕まえたぞ、チビが!」

サイは血走った目で咆哮した。


暴力的な引き戻しと共に、巨獣は勢いを反転させ、船長を下方へと叩きつけ、人間離れした力で地面に激突させた。

衝撃は壊滅的だった。

レオンの背骨が、砂の下に隠れていた固い岩に砕け散るかと思うほどの衝撃。肺から空気が文字通り絞り出され、絞り出されたような喘ぎ声が漏れる。ホログラムのハブが赤く点滅した――そのたった一度の叩きつけで、彼のHPの半分以上が粉砕されたのだ。


サイは1秒たりとも無駄にしなかった。

彼はバトルアックスを頭上に掲げ、地面に倒れた海賊にトドメを刺そうと構えた。その鼻面には、純粋な殺戮の狂気を孕んだ笑みが浮かんでいる。


レオンは血を吐いたが、その目は凶暴な光を放って燃えていた。

まだ終わっちゃいねえ。


「【船長の鼓動キャプテンズ・ハート】!!」

地面に倒れたまま、レオンは唸った。


深紅のオーラが彼の胸から爆発し、体を包み込み、すでに強化されたステータスを想像を絶する限界の向こう側へと押し上げた。

斧の刃がギロチンのように振り下ろされる中、レオンはそのエネルギーの爆発を利用して、雷のような速さで左へと転がった。


斧は彼の肩からわずか数センチの岩に深く突き刺さり、標的を外した。


苛立ったサイの獣人は、レオンの首をへし折ろうと、再び巨大な空き手で地面の彼を掴みにかかった。

しかし、計り知れないほど強化された船長は、もはや捉えどころのない影と化していた。腰のひねりだけで横へスライドして掴みを躱し、完璧なポジションについたレオンは、その瞬間を逃さなかった。


レオンは新しい武器を前方に弾き飛ばした。

『斬り込み用の鎖鉤』の重い鎖が空気を切り裂く音を立てて飛び、バイパーのようにサイの獣人の太い右足首にきつく巻きついた。


雄叫びと共に、レオンは自分の野蛮な腕力のすべてを込めて鎖を強く引いた。


空振りした斧の勢いで完全に重心が前方に傾いていたサイは、足場を失った。足が重心の下から文字通り引っこ抜かれたのだ。

【レベル48】の巨人は前方に大きくつまずき、顔面から砂と岩に不様に激突し、屈辱的で耳をつんざくような音を立てた。


その勢いを利用して、ほんの一瞬のうちにレオンは前方に這い上がり、彼の上に馬乗りになった。

巨獣の背骨に膝を重く押し付けて彼を地面に押さえつけ、斬り込み用のフックの冷たく鋭い刃を、灰色の頸動脈に真っ直ぐ突きつけた。


「終わりだ」

レオンは息を荒らげ、疲労と痛みで息を弾ませながらも、サイの恐怖に満ちた目を真っ直ぐに見据えて言った。

「もう抵抗するな」


ビーチ全体が墓場のような沈黙に包まれた。

敵のクルーは石化している。サイは冷たい金属が喉に食い込むのを感じ、1ミリでも動けば死を意味することを理解して荒い息を吐いていた。


アリーナの端から、グロッグがしわがれた声で緊張を破った。


「どちらかが死ぬまでが勝負だ」

カバの獣人グロッグが、一歩前に出て唸った。彼の威圧的な存在感が、純粋な殺意で空気を満たす。

「それが砂の掟だ。殺せ、犬。お前がやらないなら俺がやる」


レオンは歯を食いしばり、武器のグリップを握り直した。

彼は聖人君子ではない。だが、6万5000ゴールドのバケモノのサディズムを満たすためだけに、敗北した相手を無残に屠殺したいという欲求は欠片もなかった。

彼の脳は猛スピードで回転し、逃げ道を探していた。大虐殺を引き起こすことなく、あるいはグロッグと二人の致命的な副官を敵に回すことなく、この状況を解決する方法を。


(こいつを勧誘するか、それともカバに直接挑むか……)

レオンが心の中で呪詛を吐きながら考えていたその時だった。


島全体が、息を止めたかのように感じられた。


空気が突然、鉛のように重く、濃密になったのだ。

グロッグのそれすらも遥かに凌駕する、恐るべき力のオーラが、息の詰まるような毛布となって隠された入り江に降り注いだ。


グロッグはピタリと動きを止め、小さく無慈悲な目を大きく見開いた。

ゴリラと牛の獣人は冷や汗を流しながら一歩後ずさった。ジャングルに隠れていたアナベルとポールでさえ、その圧倒的な精神的重圧に押し潰され、膝をついた。


崖の上から、規則正しい足音が聞こえてきた。


入り江を囲む暗い岩の上、夕日の最後の光を浴びて、三つの威圧的な人影が現れた。

青い虎の紋章が刻まれた、豪華な白いマントを羽織っている。

彼らは単なる将校ではない。パトロールの隊長でもない。彼らが放射する致死のエネルギーは、周囲の空気を文字通り歪ませていた。


戦いの準備を整えた海軍の大部隊を従え、武器を抜き、ビーチに視線を固定している。

世界政府の生ける伝説たちが、到着したのだ。


海軍大将アドミラルたちが、そこにいた。

最後までお読みいただきありがとうございます!

「大将のお出ましヤバい!」「どうやって逃げるの!?」とハラハラしていただけましたら、

ぜひページ下部から【ブックマーク登録】と【☆☆☆☆☆を★★★★★に】して応援していただけると、執筆のモチベーションが爆上がりします!

よろしくお願いいたします!

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