はっぴーえんんど
現れたクロヴィスに僕は、どう答えればいいのか分からずに棒立ちになってしまう。
そんな僕に、クロヴィスは更に笑みを深くしながら、
「やはり気付いていたのか」
「あ、う……」
まさかあれから数日しかたっていないのに、約束が破られるなんて僕は思いもしていなかった。
だから、頭の中が真っ白になって、僕は何も言えなくなってしまう。
そんな僕にクロヴィスは優しげな声で、
「もっとも、まさか初めから知っているとは思わなかったな。だが途中で……陽斗は気づいているのではと思ったが」
クロヴィスに告げられたその言葉に僕の体が更にこわばる。
確かに僕は何度か、クロヴィスが訝しそうに僕に問いかけていた事がある。
でも、その後は特に何もなかったから“上手く誤魔化せている”と思っていた。
けれど、実際にはそんな簡単に誤魔化されてくれなかったのだ。
多分黙っていたのは全部、クロヴィスが、彼自身が引いた線を越えていなくて、今のままでいたいとクロヴィス自身が思っていたからだ。
そう僕は思いながら、問いかける。
「……いつ、僕が気付いているって思ったの?」
「石切り場に行って、触手に連れ攫われていた時には既に、予感はあった」
「そっか……」
随分と前から、僕は疑われていたらしい。
それでもクロヴィスは黙って僕の傍にいてくれたのだ。
と、何処か不思議そうな声音を含ませながら、クロヴィスは僕に、
「どうして陽斗は、俺の正体を知っていたんだ?」
「僕達の世界の、“ゲーム”っていう“物語”があって、それで知っていただけでまったく同じじゃなくて……」
しどろもどろになってしまう僕にクロヴィスが嗤う。
「なるほど、そういえば陽斗を呼びだす時に俺の世界と似たものが見えたが、それで“知って”いたのか」
「う、うん。ただその世界の主人公はミレニアムちゃんだったけれど」
「……そうか。それでグッズを集めたり色々していたと」
「う……べ、別にいいじゃないか! まさかここに来て、結婚してイチャイチャしているなんて思わなかったし!」
「まあいい。どの道、お前は一線を越えたのだから……」
「どうするのかな?」
「俺の屋敷に連れ去って監禁して犯してやる。ずっと狙っていたのだから……な」
「初めから?」
「初めからだ。そもそも俺の許可がなければこの世界に、陽斗、お前は来ることが出来なかった。一目見た時から……奪いたいと思ったのだから」
笑うクロヴィスに、僕は話に聞いていたけれど現実感のないそれが正解だったとしている。
今まで戦闘につれていかれたりしたことも含めて、そこまで“溺愛”“執着”されている自覚はなかった。
でも今の話を聞く限り、初めからクロヴィスはずっと……そういった感情を僕に持っていたようだ。ただ、
「僕の感情は無視?」
「俺の心を鷲掴みにして狂わせた責任はとってもらうつもりだった。元からな」
それはいずれ僕を必ず奪うという宣言だった。
だったらどうして僕を初めから、連れ去ったりしなかったのだろう。
まるで、クロヴィス自身が、
「一緒にいたのは、クロヴィスという存在を僕に“好き”になって欲しいから?」
「……退屈で、そして俺は“絶望”していたから、気に入った陽斗と一緒に少しくらいは“遊んで”もいいと思っただけだ」
「この世界で? 新しい世界を作ってではなく?」
ふと頭に浮かんだ単語を告げると、クロヴィスが沈黙する。
どことなく機嫌が悪そうなのを見ながら、僕は図星らしいと微笑む。
クロヴィスは、初めから無意識の内に選択していたのだ。
僕と一緒に、“この世界”で過ごしたいと。
クロヴィスはただ拗ねていただけなのだ。子供のように。
だからはじめからずっと……人や魔族に裏切られた後もずっと、愛着があるから、嫌っていた。
そんな僕を見てクロヴィスは、
「……陽斗、調子に乗るな。お前の命運は今、俺の手の中にある」
「本当の事を言われたから、クロヴィスは機嫌が悪いのかな?」
「……勘違いするな。そもそも俺が許可したから、この世界に陽斗は来ることが出来て、そして今自由でいられるのも俺が自由にさせているからだ。そして、陽斗の使っている力も道具も全部俺が渡した物だ。だから……陽斗の全ては俺のものだ」
傲慢に僕はクロヴィスのものだと言い切った。
それを聞きながら僕は、
「どうしてそんな力を僕にくれたの?」
「……陽斗が自分の身を守れるように。この世界には危険なものがいっぱいあるから。そして、その“ゲーム”の世界を、俺にはよくわからないが、陽斗は見て知っていたようだから、この世界で使いやすいように、身近なものをえて安心するように、その世界の魔法のようなものを複製して陽斗に付加した」
「それがどんなものかはクロヴィスには分からないの?」
「ああ。あの似た、この世界を模した模型のような世界がどのような物なのかは、この世界に存在しない“概念”のようだ」
TVゲーム自体が確かにこの異世界には存在していないようだ。
だからその“概念”自体をクロヴィスは認識できなかったのも本当だろう。
それ故に、僕に魔法を使わさせたりしていたのかもしれないが。
そこでクロヴィスが真剣な表情で、
「だが、その付加させたものがこの世界とこれほどまでに似ているとは俺も思わなかった」
「本当にね。だから僕も“ゲームの世界”にはいったんじゃないかって疑問に思ってた」
「異世界のものを呼ぶにはその媒介となる似た関連するものが必要になるから、“ゲーム”がそれになったんだろう。まさかこの世界にある特殊な道具を俺自身が再生させて持たせたり、この世界の知識まで持っているとは思わなかったが」
「似た知識だよ。全部同じじゃなかったから。でも以前そこにいるルーザリオンから聞いていたとおりだったんだね」
「そうか、俺が力を与えていたことも全部知っていたのか。どうりで落ち着いているはずだな」
クロヴィスが笑いちらりとルーザリオンをみる。
ルーザリオンがそれにビクッとしているのを見て僕は小さく、ざまぁ、と思いながらもクロヴィスをすぐにまっすぐに見据えて、
「クロヴィスが僕にそんな力をくれていたから、僕はこの世界で不安がないんだね」
なんだかんだ戦闘も出来たし。
自分の身を守るすべを与えてくれていて、しかもそばに居て守っていてくれたのだ。
クロヴィスは、僕に“優しい”から。
それが嬉しくなって微笑んでいるとそこでクロヴィスは僕に、口ごもるように告げた。
「それは違う。お前がある一定の不安を感じると記憶が消えるように設定しているからだ」
。" ゜☆,。・:*:・゜★+★,。・:*:・☆゜"
「それは違う。お前がある一定の不安を感じると記憶が消えるように設定しているからだ」
それを聞いて僕は耳を疑った。
今何を言われたのか分からず聞き返すと僕からクロヴィスは後ろめたいのか顔をそむけて、
「この世界に来てなれずに怖がってばかりでは困るからな。キスしてもそこまで違和感を感じなかったのもそのせいだ」
そういえばやけにクロヴィスにキスされていたが、ファーストキスを奪われたと悲鳴を上げる様に思ったくらいでその後は何故キスをするんだくらいで、同性にされていても特に違和感を感じなかった。
でもどうだろうと僕は思う。
自覚したのはついこの前だけれど、途中からは僕はクロヴィスが好きだったから、キスされても平気だったのではないのか?
逆に、驚愕の事実に気付かされてしまった僕は、必死になって心の中で落ち着け、落ち着けと繰り返して、理由を聞く。
「どうして?」
「何がだ?」
「どうして困るのかな?」
「不安にさいなまれてばかりでは、他の物に目がいかないだろう?」
「クロヴィスは僕に、“何”を見て欲しかったのかな?」
「……俺自身を見て欲しかった」
「でも色々な所に連れていったのは、どうして?」
「一緒に遊びたかったからだ」
「この世界で?」
またも沈黙してしまうクロヴィスを見ながら、これ以上追い詰めてもクロヴィスは機嫌が悪くなりそうだと思ってそれ以上は言わず、代わりに、
「でもそんな風に不安がらないようにしたのも、力をくれたのも、僕の事を心配してそうしてくれたからなんだね」
「それは……いきなり連れてきたわけで」
それに関してはひけ目があるらしい。
俺様な傲慢キャラだと皆は思っているようだけれど、僕が見たクロヴィスは全然違うと思う。
そしてそれをクロヴィスは自覚していないようなので、言葉に出して伝える事にした。
「クロヴィスは優しいね」
「どこが?」
「だって僕が危険な事にならないようにそうしてくれたし」
クロヴィスに守られていたので戦闘もどうにか陽斗は戦えていた部分もある。
そして知っている道具だったから、色々な場面でどの道具を使うのかイメージで来た。
それに必要な材料もふんだんに持っていたり。
僕がこの世界で不安になったり困らないように、クロヴィスなりに考えて、僕に告げずにそうしてくれていたのだ。
そんな僕にクロヴィスは苦笑して、
「……陽斗には俺が優しくしていたからか?」
前にも言っていた事をもう一度口にする。
そして今までの会話で僕は更に確信を強めながら、
「それは前もいっていたよ。ふふ、クロヴィスはもうこの世界に十分愛着がある気がしているんだ」
「……煩い」
苛立ったようにクロヴィスが僕に言う。
認めたくない本当の感情、僕の推測は当たっていたらしい。
それが僕には嬉しくてさらに小さく笑っていると、クロヴィスが怒った様に、
「それで俺の正体を知ったから連れさってやる。だから、選択させてやる。大人しくついてくるのか、それとも……無理やり連れて行かれるのかを」
クロヴィスがそう言って僕に嗤うけれど、僕はまっすぐに僕はクロヴィスを見返した。
そもそも、クロヴィスは根本的な部分に全く気付いていないのだ。つまり、
「クロヴィスはどうして僕を連れ去ろうとしているの?」
「それは……陽斗が俺を恋愛感情で好きになるはずがないから」
ほら、やっぱりねと思って僕は嗤いだしそうになりながら、はっきりと伝える。
「恋愛感情で僕はクロヴィスを好きだよ?」
クロヴィスが驚いたように大きく目を見開いて、すぐに苦虫をかみつぶしたような表情になって、
「嘘だ」
「本当だよ」
「その場しのぎの出まかせだ」
そう言いながらも声が震えているのは、期待しているからなのだろうかと僕は思う。
そして僕はそうであって欲しいと思いながら、
「酷いな。でもクロヴィスって案外憶病なんだね」
「……そんな風に生意気な事をいうのなら、その不安の感情をセーブする魔法を解いてやる。不安にならないから、調子に乗ってそんな事を言えるだけだ」
「いいよ、それでも僕はクロヴィスが好きだから」
僕が言い返すと、何か言い返そうとしたクロヴィスがぎりっと歯ぎしりをして、クロヴィスが僕の方に手を伸ばす。
パチンとゴムの様な者が切れる音が聞こえた気がしてて、でも、僕の中の感情は何一つ変わらなかった。
多分、今のその魔法が解けたのだろうと思う。
そして不安そうな声でクロヴィスが、
「どうだ?」
「何が?」
「俺が……」
それ以上は自分からクロヴィスは再び問いかけられないらしい。
それだけ不安なのは、僕が“好き”で、“拒絶”されるのが怖いからだ。
だから僕は精一杯微笑んで、
「僕はクロヴィスが好きだよ、って、うわわ」
そこでクロヴィスが僕を抱きしめる。
それはとても幸せでこのままでいたいという気持ちになる。
そこで轟音がしたのだった。
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一人の魔族が慌てたように、この場所に走り込んできた。
「ルーザリオン様、巨大な歪みが発生しました! この国のすぐ傍です!」
「なんだと……あと数日は大丈夫なはずでは……」
焦った様なルーザリオンの声と共に、彼は僕に、
「その歪みを、消し去って下さい。貴方にはそれだけの力があるはずです」
「え、えっと……」
僕は、どうしようかと思った。
実はこのルーザリオン達魔族と出会って以降、僕が召喚された理由の力は上手く使えずにいた。
なので正直に伝えるとルーザリオンが真っ青な顔で、
「それで出来るといったのか」
「張ったりも必要かなって。だって僕はクロヴィスも含めて皆が大好きだから。それに、あの時力が使えたのは確かだから、もう少し練習すれば出来るかなと思って」
「なんて事だ」
頭を抱える彼に、危機的状況なのに少し胸のすく思いを覚えてしまう僕は駄目だと自分で思う。
でも、だからこそ良かったのかもしれないと思い僕は、僕を抱きしめるクロヴィスを見上げて、
「僕はもう少し、クロヴィスとこの世界で一緒にいたいかな」
「……そんな理由が無くても、歪みは消し去ってやる。この世界に愛着があると俺自身が見たくもない現実を見せ付けられたし、この歪みを直さなければ確実にこの世界の半分はこれで消え去るだろうから」
「あれ、僕と一緒にいるのは嫌なのかな?」
「そんな軽口をたたく陽斗にはこうしてやる」
そこでクロヴィスが僕にキスをして、それと同時に僕は変な感覚になる。
体の中にある“何か”がまるで、歯車がかみ合う様にしっくりと来る。
それと同時に唇が放されて、そんな僕にクロヴィスが、
「そのまま手を目の前に掲げて使いたいと思ってみろ」
「こうかな?」
「そうだ」
クロヴィスもその方向に手を掲げる。
どうやらその方向に歪みがあるらしい。
伸ばした腕がクロヴィスと触れ合って、それが心地い様な気持ちになってそこで地面が光って僕達の体が青白い燐光に包まれる。
眩しい光がひときわ強く僕達を覆った所で、それは唐突に消え、先ほどの揺れは収まる。
「歪みを修正してやったぞ。これで満足か?」
クロヴィスが、茫然としているルーザリオンにそう投げかける。
そこでルーザリオンは、はっとしたようにクロヴィスを見て、
「何故歪みを?」
「……完全に俺はこの世界をどうあがいても切り捨てられないと悟っただけだ」
「……これは、認めるしかないようですね」
「何をだ?」
「陽斗の出した交換条件です。貴方のこの世界を滅ぼしたいという感情を、変えてみせると」
「そんな約束をしていたのか」
「ええ、貴方を殺すために、フィオレという司祭の末裔も廃人か死ぬ予定でしたから」
なんてことないように告げたルーザリオン。
それを聞いたクロヴィスが僕を抱きしめて、
「フィオレのために俺を好きになったのか?」
「どうしてそんな事をいうんだ。僕はクロヴィスの事が好きなのに」
「未だに夢のように感じたから」
「……大体僕がクロヴィスに好きだって気付く前に、クロヴィスはもうとうの昔にこの世界が大好きだったじゃないか」
「そうか?」
「そうだよ。でなければ何で何度もこの世界が好きかって僕に聞くの? この世界が好きだから、クロヴィスが好きな僕にもこの世界が好きになって欲しかったんじゃないのかな?」
僕がそう告げるとクロヴィスは沈黙してまじまじと僕を見てから、僕に軽くキスをして、
「陽斗のくせに生意気だ」
「な、何でそんな事をいうんだ!」
「鈍感だと思っていればこんな風に鋭くて。全く……何処まで俺を魅了すれば気が済む?」
「何となく、馬鹿にされている気がする」
僕がむ―っと呻いているとクロヴィスが僕の頭を撫ぜてくれて、僕はぽわんとなってしまう。
こうされると全てがどうでもよくなってしまうので、困る。
困るのに、と僕が思っているとそこで、ルーザリオンが、
「ではこのまま世界の崩壊は、なかった事にして頂けますか?」
「いいだろう、これからは歪みの修正とこの世界の維持をしてやる」
「……それはどういう事ですか? この世界の破滅は……」
「俺が何もしなかったからだ。放置していただけ。それでこのまま勝手に滅んでしまえと思っていただけだ。だから……俺を“殺す”事で世界の崩壊が止められると言っているお前達が、俺にはおかしくて堪らなかった」
つまり、クロヴィスを殺した時点でこの世界は崩壊するしかなかったらしい。
落ちは酷いが、最終手段であるフィオレの力も使う前にそれを知れた事は僕達にはよかったように思う。
しかもクロヴィスは、
「そういえばクロヴィス。クロヴィスは、どうして僕が石板を集めていても放っておいたのかな? あれって、クロヴィスと戦うための効果も会ったみたいなんだけれど」
「ああ、あれは魔族どもが何だか悪だくみをしているらしいから、面白半分で集めさせていただけだ。そもそも……昔と同じような手を、二度俺が受けると思っていたのか?」
そうクロヴィスはルーザリオンを嘲笑っていた。
つまりこの力を使ってもクロヴィスは倒せないらしいと、今ここで別の選択肢は無理なのをルーザリオンは知ってプルプルと震えている。
クロヴィスに振り回された被害者でもあるんじゃないか、この人はと僕はここで初めて、公式ドSに同情した。
そして全てが終わった所で、
「陽斗、大丈夫か!」
フィオレ達がこの場に姿を現したのだった。
。" ゜☆,。・:*:・゜★+★,。・:*:・☆゜"
現れた人達の中には、道具袋の波長を捕らえてここに辿り着いたらしい。
そしてすぐにタマの父、クラウズがルーザリオンを凄く叱っていた。
また、フィオレが襲われそうになったのを途中、ウィルワードが手助けをしたらしい。
ちなみに昨日から戻ってこなかった理由をウィルワードは、
「ハニートラップに引っかかってしまいまして。あ、でも僕が途中から理性が切れて拘束を解いて逆に襲いかかってしまいまして……つい気絶するまでウィーゼとしてしまったので、僕は現在ここにこれたのです」
と説明していた。
あのウィーゼという魔族が後で怒って乗り込んできそうだなと僕が、確信を持って予知した所で、フィオレに今まで黙っていた事情を僕は話した。
アンジェロに許可をもちろんとってからだ。
それにフィオレはショックを受けていたようだが、アンジェロに慰められたりしていつもの元気を取り戻していた。
他には、ライがこれで全てが終わったからとフェンリルに言い寄られていたりしていて、その中でこれまでの経緯を彼ら全員に話す。
その過程でクロヴィスの正体も含めて全て語ることになったのだけれど、それを聞き終えたクロヴィスが、
「そういえば最後の石板を見つけたあの場所に行くとき、陽斗の魔道具に疑問を持っていないのは妙に思っていたが、その時皆知っていたのか」
「うん、クロヴィスにはまだ話せなかったから」
「……俺が壊した陽斗の道具は“空間”に作用するものが多かったと気付いていたか?」
「……知らない」
初めて聞いたその話に僕は驚くけれど、クロヴィスなりに僕がこの世界で嫌な思いをしないように気を使ってくれていたようだ。
居場所を作ってくれていたことも含めて、クロヴィスは本当に僕のことが大好きらしい。
そしてリリスの記憶を作られていたこともリリスが知っているといった話や、タマとリリスが仲良くなった話をしていく。
そして最後に話したのはフィオレの司祭としての力で、フィオレはクロヴィスの目を上手く見れないようだったけれど、
「……今までどおり、陽斗の友人として仲良くして欲しい」
「! 分かりました!」
といった風に仲直りをして、全てが丸く収まった。
現状では、一番穏やかな結末である。
そこで僕は気付いた。
「折角石板集めたのに使わなかったね」
「なんだ陽斗、使いたいのか?」
「いや、頑張って集めたのに意味が無いのも何だかなって思っただけで……」
「だったら使ってみるか?」
一応は俺を倒すための道具の一つであるらしいからな。
昔使われたが、今も同じように俺に効果があるかは別だが、と、ルーザリオンに聞こえるようにクロヴィスが言っていた。
何でそんな挑発するのかなと僕が思っていると、ルーザリオンが、
「く、石板を使い、だったらここにいる集団対お前一人で戦って勝利してみろ」
「別にいいぞ?」
ルーザリオンのその言葉にクロヴィスが答えて、何故か僕以外の皆が乗り気になって。
こんな所で僕はラスボス戦に巻き込まれてしまった。
だから僕も戦うならと思ってクロヴィスに、
「クロヴィス、僕がかったら……しばらくエロいことはさせないんだから!」
何だかクロヴィスが監禁やら何やら凄いことを言っていたので、事前にそうやって防御をと思ったのだけれど……そこで一斉に全員が僕を見た。
しかもクロヴィスは笑みを浮かべるが、明らかに怒っている表情だった。
何かを間違えてしまった予感を僕が覚えているとそこでクロヴィスがふうと息を吐いて、
「全力で倒してやる」
とクロヴィスが怒った様に嗤う。
クロヴィスはとても怒っているようだと僕は気付いて真っ青になっているとフィオレに、
「陽斗何で挑発するんだ」
「はわわわわ、ど、どうしよう」
慌てて石板を設置して魔力を増強し戦闘。
僕以外が全員倒されたけれど最後に僕とクロヴィスが立っていて一騎打ちに。
そして僕は辛くもクロヴィスに勝利した。
それから意識はあるらしい倒れたクロヴィスに抱きついて僕は頭を撫ぜてもらって、
「僕の勝ちだよ」
「そうだな。俺は幾つも陽斗に負けてしまったな。だが……次は勝つぞ」
「うん」
そう僕は答えてクロヴィスを求めるように更につよく抱きついたのだった。
。" ゜☆,。・:*:・゜★+★,。・:*:・☆゜"
それから、召喚された僕は、元の世界に戻ったり、またここに来たりしていた。
因みに初めて一回、元の世界に戻される前に僕は、クロヴィスにキスされた。
唇が重なって幸せを感じる。
もう少し一緒にいたい様な、切ない感情が湧きあがってくる。
そこで僕は唇を放されて、
「また、必ず来い。一度この世界との接点が出来ているから、次からは呼び出すのが簡単なはずだしな」
「うん……きちんと僕をまた呼び出してね」
「約束する。俺が……陽斗が傍にいない世界なんて耐えられないしな」
そう笑うクロヴィスに、僕も嬉しくなって、僕も同じ気持ちだと伝える。
それから元の世界に僕は戻り、またこの世界にたびたび来るようになる。
結局、魔法使いとしての一ランク上の資格は取って、この世界で生活しないかという事で話はまとまっている。
他には、色々と僕が行ったり来たりしている間にあった事といえば、フィオレとアンジェロはあいかあらず仲良しで、タマとリリスは健全に今度デートをするらしい。
何故ペット達はこんな風に普通のほのぼのした関係なんだろうと僕は少し悩んだ。
だってクロヴィスは毎晩……いや、その話は置いておこう。
他にはとうとう、ライがフェンリル王子に落とされたらしい。
逃げきれなくなったのと、好きな気持ちが大きすぎて耐えきれなくなったらしい。
そしてウィルワードはウィーゼと一緒に仲良くいちゃいちゃしているらしい。
そうそう、魔族の方だが、クラウズがルーザリオンと再婚したらしい。
この前の空飛ぶ国の件も上手くいったものの、身勝手な行動であったので、クラウズは無茶をするのでついている事になったらしい。
タマの母親とルーザリオンの妻はどちらも若くてタマが幼い内に亡くなってしまったとの事。
なので、ルーザリオンの息子と兄弟になってしまったとタマは嘆いているらしい。
苦手な相手だといって、タマは僕にあまり話してくれなかったので、それはそれで会ってみたいなと思う。
他にはタマに空飛ぶ国出身のの、この前止めて頂いたミルスさんの所の幼女レティシアが僕の家に泊まりに来てタマが悲鳴を上げていたりと騒がしい。
そんな日々もまた僕には楽しくて仕方がなかったりするのだけれど、ふと僕は思いだしてクロヴィスに聞いてみた。
「そういえば、ルーザリオンが、昔クロヴィスを退けたって言っていたけれど、あれって確か、クロヴィスがいじけて引きこもったんだよね?」
「……」
それは聞いてはいけない話しだったらしく、僕はその後クロヴィスの部屋に引きずり込まれて、もう、もう……。
それ以降僕にとってその話は禁句になった事は言うまでもなく。
僕達の楽しい日々はまだまだ続いていきそう。
「今度は、異民族の異国の町に行きたいな」
「いいぞ、連れて行ってやる」
ゲーム内でもあった場所でまだ行っていない場所も幾つもあるのだ。
そしてその場所に行くには多分、何時だってクロヴィスや仲間がいるのだろうと容易に想像が出来て嬉しい。
これからこの世界をまだまだ僕は楽しむ事になるんだろうという予感が僕の中で、生まれてくる。
そこで僕はクロヴィスにキスされる。
相変わらずクロヴィスとのキスは僕を幸せにしてくれると思う。
大好きな人と一緒に居られるのが、幸せだ。と、
「陽斗、今日は皆で食事に行く約束だろう」
「! そ、そうだった。クロヴィス、行こう!」
フィオレに呼ばれて僕はクロヴィスの手をひいて皆の元に向かう。
当り前の穏やかな日常。
僕の異世界トリップは、こうしてハッピーエンドに終わるのでした。
「おしまい」




