それは、鬼と言うより
今日は何となく二話投稿しときます。
「んで、何だ?」
光明を見出だしている最中のダイゴに、ドキルクが問い掛ける。
「?何だ・・・って何スか?」
ダイゴはその問いの意味を解すことが出来ず、質問に質問で返した。
ドキルクが言う。
「いや、さっきお前『え?』って呟いただろ?だから、その呟きの真意を聞こうと思ってな」
「呟き・・・あ、アレっスか!」
ダイゴは先程自分がドキルクの何気ない言葉に対し、何となく呟いていた事を思い出した。ダイゴは後頭部を掻きながら言う。
「いや、別に大したことじゃ無いっス。ただ、『死界にも天気予報とかあんのか』って思っただけっスよ」
「ふーん、そうなのか。ま、確かに死後の世界に生前と同じ様な物が有ったら少し驚くかもな」
「他にもテレビ番組みたいなのってあるんスか?」
「ああ、有るぞ。ニュースにバラエティー、アニメにドラマと何でもな」
「へー!そこら辺も現世と変わんないんスねー!!」
ダイゴは通算何度目か分からないが、また目を輝かせた。流石に輝きすぎだろう。もう少し物事に対し無感動に生きる事は出来ないのか。
そんなダイゴを他所に、ショウタロウが傘片手にまだ何か話そうとしているドキルクに言った。
「さあドキルク!仲間とのコミュニケーションも良いが、そろそろパトロールを再開させるぞ!市民の平和を守る為にな!!」
「はいはい、分かったよ。ったく、暑苦しい奴だ」
ドキルクはそう言いながら肩を竦める。
ショウタロウはその姿に満足そうに頷くと、マリオに向かって言った。
「ではマリオさん!俺達はこの辺で行かせて貰います!また近い内に会いましょう!!」
マリオもその台詞に笑って頷き、
「分かったわ。じゃあまた会いましょうね。ショウタロウちゃ」
手を振って別れようと"した"。
直後、
マリオの耳に、ダイゴの耳に、ショウタロウの耳に、ドキルクの耳に、
爆音が、届いた。
「おわぁっ!?な、何スか今の音!!?」
ダイゴがあたふたしながらマリオに問い、
「分からないわ!・・・でも、恐らく・・・」
マリオは真剣な表情を作り、
「『転生者』か・・・!チクショウ、こんな晴れた日に・・・!」
ドキルクが忌々しげに呟き、
「先ずは音のした場所に駆け付けるぞ!!話はそれからだ!!」
ショウタロウがそう叫ぶと、四人は一斉に音の鳴った方へ走り出した。
※
爆音がした場所、そこは四人が居た場所から100m程離れていた。
何故そこが爆音がした場所だとはっきり分かるかと言えば、やはりその場所にある店が何件が瓦礫と化し、繁華街だと言うのに、通行人が一人も居なかったからだろう。
目前の光景を見て、ドキルクは状況を分析する。
「一般人は全員逃げたみたいだな・・・。・・・だが」
「犯人はいまだに此処に残っている、そうだろうドキルク?」
ショウタロウがそう言えば、ドキルクは頷いて続けた。
「ああ、恐らく今はもぬけの殻と化した店の中でせっせと略奪行為に励んでる最中じゃないか?ま、何にしても大した奴等じゃ無いことだけは確かだ」
「ええ!?店を何件もブッ壊してんのに!?」
ダイゴが驚愕する。しかし、ドキルクは当たり前だと言わんばかりに頷く。
「その『店を何件もブッ壊すところ』からして既に雑魚臭い。店を壊すことは略奪したい貴重品とかを壊すことと等しいからあまりあいつらにとっても好ましいことじゃ無いだろうし、仮に一般人をビビらせて逃げさせる威嚇が目的だとしても、壊す店は一件で良い筈だ。なのにわざわざ何件もブッ壊したって事は、犯人側がテンションに任せて行動した可能性が高い。そういう事をする奴等は総じて小物か愉快犯だけだ」
「わ、分かるような分かんねぇような・・・」
ダイゴはチンプンカンプンと言った様子だ。
しかし、そんなダイゴを他所に、ショウタロウが言う。
「相手が手練れか雑魚か、愉快犯か計画犯か、そんな事はどうでも良い!相手が誰で有ろうと、市民の平和を脅かし笑顔を奪う様な輩は俺が許さん!!」
「おーおー、暑苦しい事で」
ドキルクがショウタロウに対し、そう苦笑した時だった。
崩落していない店の中から、わらわらと犯人と思われる男達がホクホク顔で出てきたのだ。
「いやー、大漁大漁!!こんだけありゃ暫くは生活に困らんだろ!!」
その中の一人である黒いパンチパーマの男が言う。その手にはパンパンに膨れたビニール袋が握られていた。ビニール袋が半透明だった為、中にある紫色や赤の物体の集まりが透けて見える。
パンチパーマの男に対して、近くに居る赤いメッシュの入った黒髪の少年が言った。
「しっかし、今回はラッキーっしたね!金庫の中が一万DPや五千DPばっかで!!」
「ああ全くだぜ!これで金庫の中が青い色した一DP ばっかだったらこんな事した意味がねぇからな!!」
そんな事を青髪のロン毛の男が言えば、他の男達も「違いねぇ違いねぇ!!」と笑いながら声を揃えて言った。
「さて、略だ・・・DPゲッツの成功を喜ぶのも良いが、まだまだこれは今回の計画の通過点に過ぎねぇ!この調子で他の店からもドゥンドゥン頂戴するとしようぜ!」
パンチパーマの男が言う。どうやらこの男がリーダー格の様だ。周りの男達もその言葉に呼応し、おー!だの、ウェーイ!だの、アッー!だの歓声を上げている。
それを満足気に確認した後、パンチパーマは続けた。
「じゃあなるべくパパッと終わらせるぜ!もたもたしてっと獄犬の奴等がすっ飛んでく」
「もう来てるぞ!!!」
パンチパーマの台詞をショウタロウが遠くから大声で遮る。
瞬間、男達は驚愕して飛び上がった。
「「「「「「アイエエエエ!ヘルハウンド!?ヘルハウンドナンデ!?」」」」」」
「いや、あんだけド派手な爆音たてりゃ、そりゃすっ飛んでくるだろうよ・・・」
ドキルクが可哀想なものを見る目で男達を見る。
しかし、そんなドキルクに対し、先程のメッシュ少年が吠えた。
「おいテメッ、何だよその目はよぉ!!俺達は天下の『昇る太陽』なんだぜぇ!!スゲェんだぜぇ!!」
「すごく・・・小物臭いです・・・」
「んだとぉ!?」
ドキルクが引き気味に言ったのに対し、メッシュ少年が赤くなって叫ぶ。
そんなやり取りを他所に、ダイゴは考えた。
(ライジングさん・・・どっかで聞いたことあるような・・・あ!昨日ジェームズさんが言ってた転生者集団のことじゃねぇか!!しかもかなり巨大な戦力を持ってるっていう!!)
そこまで考えてダイゴは冷や汗を流すが、それとは対照的に他の獄犬隊員は動揺など微塵もすること無く、戦闘態勢を取る。
ショウタロウが叫んだ。
「貴様らが昇る太陽だろうが沈む太陽だろうが知ったことか!!俺は"正義"の元、貴様らの様な"悪"を正面から薙ぎ倒すだけだ!」
ドキルクが蝙蝠傘を閉じる。
「あーチキショウ今日は厄日だ!何だって二回も太陽と対面しねぇとなんねぇんだよ!!という訳で先ずはテメェ等から沈める!!」
マリオが言った。
「そこのメッシュ少年!あなた可愛い顔してるわね!私の店に来ない!?」
「ふっざけんな!!誰が行くか!!!」
メッシュ少年が突然の勧誘に動揺しながら叫ぶ。
それに続く形でパンチパーマの男が言った。
「テメェ等ァ!!ここは俺が引き付けるから、その隙にDP持ってズラかれぇ!!」
「「「「「オッス!!」」」」」
男達は威勢良く返事をすると、各々がビニール袋を持ち、その場からすたこらさっさと逃げ出した。
「あ、おい!待たんか!!」
ショウタロウが男達を追い掛けようとするが、パンチパーマが立ち塞がる。
「へっへっへっ!そうはイカの金玉だぜ兄ちゃん!!ここで俺と一発タイマンと行こうや!!」
「一対一か!悪くない!!受けて立つ!!!」
ショウタロウはパンチパーマを相手取り、他の三人に言った。
「お前達は逃げた奴等を追ってくれ!!」
「「「分かった(っス・わ)!」」」
そう返事をして、ドキルク、マリオ、ダイゴの三人は逃走した男達を追いかけた。
三人が追い掛けて来た事に感付いた青髪ロン毛が、近くに居る金髪のソフトモヒカンをした男に言う。
「チィッ、まだ追っかけて来るか!!仕方ねぇ!ボルーピン、心象使え!!」
「オーケー!」
ボルーピンと呼ばれた男は、走りながら叫んだ。
「心象認識『疾輪』!!」
すると、逃走中の男達全員の隣に、"金色のバイク"が現れた。
男達は一斉にそれに跨がると、勢い良く走り出した。
ダイゴは驚愕する。
「はぁぁぁぁ!!?な、何だよ今の!?今のも心象!!?」
「そうよ。見たところによると、今のは"何も無いところから変わった能力を持った道具を生み出す"系統の心象、まあ簡単に言えば具現系の心象ね」
マリオが走りながら説明する。ダイゴはその説明に対し、言った。
「ええ!?あんなにポンポン出せるモン何スか!?具現系の心象って!!」
―少なくとも、自分が今日会ったキーオと言う少年は、具現系の心象に見えたが、出したのは一本のギターだけだった―とダイゴが思っていると、マリオが言った。
「ええ。具現系はその心象を大体何個でも出せるわ。まあ、心象を出す事に魂気も消費するから、出し過ぎると死んでしまうっていうデメリットもあるけど」
「な、なるほど・・・」
そう納得しているダイゴに、ドキルクが走りながら釘を刺す。
「今はそんなこと話してる場合じゃねぇ。具現系って事はあのバイクにも何か特殊な力が有るってことだ」
そんなドキルクの懸念は、直後に現実のものとなった。
男達の乗っているバイクが、空をまるで高速道路の様に"駆けた"のだ。
「ええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!?もうこれ打つ手無くね!?」
男達との高度も距離もグングン開いていくのを見ながら、ダイゴは叫ぶ。少なくとも、こうなってしまうと今のダイゴに成す術は無かった。
しかし、そんなダイゴを尻目にドキルクが安堵の表情で言う。
「・・・何だよ、一瞬警戒して損したぜ」
「え?」
ドキルクの言葉の真意が掴めないダイゴ。そんなダイゴにドキルクが言った。
「打つ手が無い?何言ってんだ。寧ろ打つ手が多すぎて悩んじまうとこだろ」
「はい?」
ますます言葉の真意が掴めないといった様子のダイゴ。
そんなダイゴを横目に、ドキルクは疾走の勢いそのままに跳躍し、地から脚が離れた状態で呟いた。
「心象認識『蝙蝠』」
瞬間、ドキルクの背中から蝙蝠の如き黒い翼が生え、力強く羽ばたく。
「見せてやるよ。空での戦い方」
日輪の元、銀色の天日が降り注ぐ中飛翔するその黒影は、さながら巨大な蝙蝠の様でも、悪魔の様でもあった。
飼ってる猫が蝙蝠を捕って喰ってたのを子どもの頃見たことがあります。蝙蝠があんなに身近な存在だとは当時知らなかったので、すごくビックリしました。




